▲トヨタ 2000GT。海外のクラシックカーオークションで1億円以上の値がついた国産スーパーカーです ▲トヨタ 2000GT。海外のクラシックカーオークションで1億円以上の値がついた国産スーパーカーです

原稿執筆時点でカーセンサーnetへの掲載が1台だけという希少車をご紹介します。今回、2014年6月24日に発見したのは「トヨタ 2000GT」です。映画「007シリーズ」においてジェームズ・ボンドが乗った唯一の日本車です。なお、市販されなかったオープンボディが映画用に製作されたのは、「当時のジェームズ・ボンド役である、ショーン・コネリーの身長が高くクーペに乗れなかったためだ」という説が有力です(笑)。

レアなクラシックカーとして海外からの需要も急上昇

2000GTはコレクターズカーとして長年、一部の車好きの間では高値で取引されていました。3000万円台って物件もチラホラあったものです、15年ほど前は。それがグングン値を上げ、ついには昨年、海外のクラシックカーオークションの落札価格が1億円の大台を突破して話題を呼びました。これは国産車では初の出来事でした。

絵画、宝飾品などと同様、昨今のクラシックカー市場は投資資金の分散化の流れを受け、相場は総じて右肩上がり。これは推測でしかありませんが、「他に値上がりしそうな車はないか?」と見渡したところ、「300台ちょっとしか生産されていないトヨタ車がある!」という感じに市場参加者の間で盛り上がったのでしょう。いずれにせよ、ようやく歴史的な価値を見いだされたわけです。

▲空力特性解析うんぬんよりも、風を切って走る流麗なラインを考えてデザインされているようです。大型ウィンカーレンズが後期型の特徴です ▲空力特性解析うんぬんよりも、風を切って走る流麗なラインをデザインされているようです。大型ウィンカーレンズが後期型の特徴です

2000GTが誕生した1967年といえば、日本車の評判は必ずしも今のようなものではありませんでした。特に、トヨタ車は実用一辺倒な雰囲気が強かったんです。そんな頃に投入された2000GTはセンセーショナルな話題になりました。海外の自動車メディアからは「欧州のスポーツカーにも匹敵」と謳われたんです。

そんな経緯を考えると「値上がりすべくして値上がりした」とも解釈できます。同時に、現代の日本車が評価され、黎明期のエポックメイキングな車にも注目が集まり始めたとも言えます。

▲ウッドパネル・ウッドステアリングはヤマハの楽器職人が手掛けました。前期型はウォールナット、後期型はローズウッドが採用されています ▲ウッドパネル・ウッドステアリングはヤマハの楽器職人が手掛けました。前期型はウォールナット、後期型はローズウッドが採用されています

当該中古車ですが、写真を見る限り、程度は抜群に良さそうです。写真を眺めているだけでも幸せな気分に浸れます(笑)。そもそも大卒初任給が2万円台半ばだった時代に238万円もした国産スーパーカーです。歴代オーナーに大切にされてきた、と思って間違いないでしょう。

オークション的価値という観点で見ると、当該車両は珍しいAT仕様なのが玉にきずかもしれません。しかし、流麗な姿や、ヤマハの楽器職人が手掛けたウッドパネルはMT車と同様です。加えて言うと、後期モデルとあってエアコンを装着しているのもポイント。時代が時代だけに、当時のクラウン2台分の価格の車でありながら、前期型にはエアコンが設定されていませんでした。

いやぁ、カーセンサーnetには本当に色んな車が掲載されているものですね。

■本体価格(税込):応談 ■支払総額(税込):---
■走行距離:2.8万km ■年式:1970(S45)
■車検:無 ■整備:無 ■保証:無
■地域:兵庫

text/古賀貴司(自動車王国)