【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、フォルクスワーゲン「R」を推す
カテゴリー: クルマ
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2014/04/17
いわゆる「羊の皮を被った狼」が好きならコレしかない!
一見地味だけど、本気で走らせるとじつは凄いんです
「あからさまなもの」に魅力を覚える人も多いだろう。例えば、もう見るからに速そうで凄そうなフェラーリという車や、いつだってキラキラ&ギラギラしてるエグザイルの皆さん。あるいは劇画ルパンⅢ世に登場する「峰不二子」みたいな体型の女性。
そういったモロモロを「ステキだ!」と思う人々がいるいっぽうで、「あからさまではないもの」こそステキだと感じる一派も多いものだ。その一派にとっての愛の対象は、普段はさえない感じのサラリーマンであるクラーク・ケント(スーパーマンの中の人)であったり、いわゆる着痩せするタイプの女性だったり、あるいは「一見地味なんだけど、本気で走らせると実は凄い車」であったりする。
「一見地味なんだけど、本気で走らせると実は凄い車」のことを昔は「羊の皮を被った狼」と呼んだものだが、これをお読みのあなたが峰不二子とかフェラーリとかがお好きなタイプなのか、それとも着痩せする女性や「羊の皮を被った狼」がお好きな一派なのか、筆者にはわからない。しかし、もしも後者であるならば、今注目すべきはフォルクスワーゲンのRシリーズだ。
すでにご承知のこととは思うが、フォルクスワーゲンのRシリーズというのはメルセデスにおける近年のAMGモデルや、アウディのSシリーズのようなもの。通常モデルのトップグレード(フォルクスワーゲンでいえばGTI)以上の超武闘派スペックに仕上げられたスペシャルマシンである。
だが同じ武闘派でも、メルセデスのAMGやアウディのSは、いくぶん「あからさま」だ。車に詳しくない者が見ても、派手めの空力パーツや極太なタイヤなどから「よくわかんないけど、なんか凄そう」と予感するだろう。
素人衆にはわかりにくい点が逆にRの魅力かも?
しかしフォルクスワーゲンのRシリーズは「……よくわかんないけど、でも結局ワーゲンでしょ?」みたいな反応をする素人衆が多い。もちろん、我々のような車好きからすると空力パーツもタイヤもホイールも、もう何もかもが通常グレードとは違う「R」なのだが、素人的には「だってワーゲンでしょ?」で終わりなのだ。
「あからさまなもの」を好む人々からすると、せっかくスペシャルな武闘派を買ったのに「だってワーゲンでしょ?」のひと言で終わられたらたまったものではない。
しかし「あからさまではないもの」に魅力を感じる一派としては、それこそが願ったり叶ったりの反応だ。「ごくフツーに見えて、じつは全然フツーじゃない」という状態こそ恥じらい多き文系マン(?)の夢なのだからして、フェラーリのように街中で振り返られては逆にダメなのだ。一見地味であればあるほど、イイのだ。嬉しいのだ。
何を言っているのかよくわからない人もいるだろうが、「そうだよね!」と思っていただける方は、ぜひぜひ下記物件リンクをチェックしていただきたい。R系のなかではベストだと個人的に思っているが、絶滅気味だと勝手に判断していたⅣ型ゴルフのR32が、いまだ結構な数掲載されているというだけで胸がいっぱいである。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「フォルクスワーゲンのRシリーズ全般」だ!
4代目ゴルフをベースとするR32。フェラーリ風ともいえるエンジンの快音とコンパクトなサイズゆえ、個人的にはコレがベストR。年式的に少々古くなったが
こちらは5代目ゴルフがベースのR32。この地味すぎる外観からは、まさか最高出力250psの3.2L V6エンジンが搭載されているとは想像できないはず!
玄人受けする(というか素人受けしない)旧型パサートヴァリアントに最高出力299psの3.6L V6をブチ込んだR36。こんな顔して実は鬼のように速い車だ
【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中