「高い車はやっぱりいい」という身も蓋もない事実

7560円のまな板が教えてくれたこと

様々な事情により、最近の筆者は「いいモノを所有し、そして使用する歓び」をすっかり忘れてしまっていたような気もする。しかし先日、それを思い出させてくれた品物があった。まな板である。

筆者はそれまでごくフツーの木製まな板を使用しており、それについて何の不満も感じていなかった。しかし先日、双葉商店なるマニュファクチャラーのイチョウまな板に買い替えた。「ものすごくイイらしい」という噂と、「とはいえ8000円しない程度で買えるらしい」という噂を聞いたからである。

「8000円級のまな板」というと贅沢すぎる気もするが、「その世界では地球トップクラスの品物が8000円で買えてしまう」と考えれば安いものだ。そう考えた筆者は迷わず7560円(消費税8%込み)にてイチョウまな板をポチリと購入した。

最高であった。まず第一にルックスというかたたずまいが非常に良いため、流しの隅に立てかけておくだけで炊事場全体の印象がビシッと引き締まる。そして何より「包丁吸着フィール」の圧倒的素晴らしさである。

通常のまな板の上で何らかの食材を切断する際、包丁から「タタンッ!」という反発を感じるのが常だと思うが、イチョウまな板では「シュットッ」という感じで包丁が超絶スイートに収まってしまうのだ。この甘く陶酔感あふれる感触は、リサーキュレーティングボールを使用していた時代のメルセデスのステアリングフィールに極めて近い。

包丁吸着フィールに感動した筆者は約10本のネギを意味もなく小口切りするとともに、「あぁ、“いいモノ”はやっぱりいいなぁ!」という、忘れかけていた感慨を思い出したのだった。

新車時600万円以上の車はたいてい「ものすごくいい!」

それと同時に「やはり“いい車”はいい」という、すっかり忘れかけていた事実も思い出した。

これは科学的なアレではなく筆者の経験則に基づく見解だが、車というのは国籍やメーカーに関わらず新車価格400万円出せば「かなりいい」という出来栄えおよび乗車フィールになり、600万円も出すと「すごくいい」になり、1000万円以上出すと「ものすごくいい!」になるものだ。

それゆえ、車に興味がない人に無理強いするつもりはないが、興味があるのであれば、ぜひ新車価格1000万円以上の車、それが難しいとしても600万円以上の車に一度は乗ってみていただきたいと思うのである。

しかし世の中「乗ってみていただきたいと思うのである」のひと言で話が済むわけはなく、モノを買うには具体的なお金が必要となる。で、600万円以上というのは一部の人間を除きなかなかの大金。そう簡単に用意できるものではない。

だからこそ「中古車」の出番である。中古車であれば、新車時おおむね600万円超のモデルでも、200万から300万円前後も出せば結構な1台が買える。「高額品の中古品である」という点に懸念を覚える人も多いかもしれないが、実際はさほどの心配はいらないものだ。

たしかにボディパネルやヘッドライトユニットなどは車格なりに高価な場合も多いが、消耗部品については決して目玉が飛び出るほど高価ではないのが欧州車の通例。それでも不安ならば、保証が充実した「カーセンサーアフター保証付き」に絞って探すという手もある。

ということで今回の伊達セレクションはずばり「新車時600万円超級の狙い目欧州車」だ!

現行BMW5シリーズ。新車価格はすべて600万円超で、乗ればやはりものすごくいい。相場は430万円付近が中心だが、300万円以下の物件もチラホラ

現行BMW5シリーズ。新車価格はすべて600万円超で、乗ればやはりものすごくいい。相場は430万円付近が中心だが、300万円以下の物件もチラホラ

こちらは旧型アウディA6アバントで、新車時価格は586万円~。2012年からの現行型の相場は450万円超だが、旧型なら100万円台でもイケる

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「乗用車的」と言われることも多い水冷911だが、乗ってみればやはり1000万円超級ならではの手触り。この型なら今や300万円ほどで狙えるはず

「乗用車的」と言われることも多い水冷911だが、乗ってみればやはり1000万円超級ならではの手触り。この型なら今や300万円ほどで狙えるはず

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE