【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、「クラシカル系最新世代」を勧める
カテゴリー: クルマ
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2014/01/30
昔の名前、じゃなくて形で出ています
世の中のデザイントレンドはクラシカル志向なのに車は?
カメラをたしなむ人はよくご存じと思うが、プロユースではない一般向けデジタルカメラの世界は、一時期のキラキラした子供っぽいデザインから一転、クラシカルなデザインが主流になってきている。一例だが、昨年11月に登場したニコン「Df」の、特にシルバーのタイプなど、ほとんど筆者の父が昭和の時代に使っていたフィルムカメラ“まんま”である。
カメラ以外でもデザインにおけるクラシカル志向はそこかしこで散見され、80年代的なキラキラ・ギラギラを相変わらずやっているのは自動車界だけなのではないか? とさえ思えるほどだ。何をボケッとしておるのだ自動車界。
……などという筆者に対して「ばか者。VWザ・ビートルは50年代・60年代・70年代をそれぞれイメージした限定車を発売し、トヨタからは往年のビッグネーム“ハチロク”が復活。ミニやフィアット500なども続々とリバイバルし、自動車界もしっかりトレンドに乗っているではないか。いい加減なことを言うなボケ」というお叱りもあるかもしれない。
お叱りはお叱りとして謙虚に受け止めるが、それでも、自動車のデザインは一般的にまだキラキラ・ギラギラしすぎていると私には思われる。それゆえ、どうにも新車には魅かれない筆者であり、夜な夜なカーセンサーnetやカーセンサーEDGEnetをさまよっては70年代しばりで輸入車を検索したりして、ひとり「ぐへへへ……」などと悦に入っている次第だ。
筆者は古めの中古車に対してまったく抵抗がないため、新車が気に入らないならば中古車を探して買えばそれでよい。実際、そうしている。だが、なかには中古車アレルギーというか、「年数が結構たっている機械に対する警戒心」が強い人もいるだろう。
古い機械アレルギーな人もこれなら安心
そういった人がキラキラ・ギラギラしたデザインを好むのであれば、そのまま新車を買えばいいので問題ないのだが、問題は、そういった人がキラキラ・ギラギラ系を好まない場合だ。
「俺の心はオールディーズを欲しているのに、身体がそれを拒否するのだ」というようなケースである。不幸なことである。
だが、そんな不幸なあなたにも救いの道はある。「ほぼ昔のまんま」の意匠で販売され続けている、一部の高年式輸入車を選べばいいのだ。具体的に言えばM・ベンツのGクラスとランドローバー ディフェンダー、ジープのラングラーアンリミテッドである。
これらはどれも70年代や80年代、あるいはジープのように40年代までさかのぼる“初代”と比べると、最新世代のそれは、細部はかなり異なっている。しかし基本骨格と大まかなデザインはほぼ昔のままであり(マニア的な視点では全然違うとも言えるが、まぁ固いことは言いっこなしということで……)、それでいて中身はある意味最新。高年式車であれば、中古車アレルギーが強い人であっても問題なく選択し、維持することができるだろう。素晴らしいではないか。
問題は、特にGクラスとディフェンダーの高年式車はなかなか高価であるということだが、このあたりは趣味の代償として割り切るほかないだろう。冒頭で例として挙げたデジタルカメラも、クラシカルなデザインを採用しているのは安物系ではなく主にハイエンド機。趣味を極めるには、それなりのお金がかかるのだ。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「シーラカンス系(?)輸入車」だ。
こちらの写真はM・ベンツGクラスの2012年モデル。79年に登場した初代(軍用車の民生版)と違うと言えば違うが、同じと言えば同じ。無骨さが魅力だ
こちらはランドローバーのディフェンダー。写真はやや古いタイプだが、12年からの現行型は(昔のものと比べれば)かなり扱いやすい車へと変身している
いわゆる「ジープ」の最新世代。マニアから言わせると「昔のとは全然違う」となるが、非マニア的視点で言うならば、味わいも形もクラシカルで好ましい
【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中