【オンリーワンを探せ】男同士で乗る36年前のクーペ
2013/04/23
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年4 月15日に発見したのは「三菱 ランサーセレステ」です。浜口庫之助さん作曲の「私のセレステ」というCMソングを覚えている方もいるかもしれません。「セレステ♪Myセレステ♪My lucky car♪」と軽快な音楽が印象的でした。このころは、主要な車両にはCMソングが用意されていたんです。ぜいたくな時代ですね。
当時のクーペといえば、男女のカップルでのドライブを連想させるテレビCMが多かったのですが、ランサーセレステは「男・同・士」というキャッチフレーズでした。最近、海外ではゲイ・カップルに向けた自動車CMが存在しますが、ランサーセレステはゲイの方をターゲットにしたのではなく「硬派」を狙ったようです。スタリオンやパジェロのCMも男同士のイメージですし、このころの三菱は「男同士」をコンセプトに他社との差別化を図っていたのでしょう。
当時のスポーツカーデザインの流行といえなくもありませんが、ランサーセレステのロングノーズ&ファストバック(ルーフからリアまでが流線型になっているボディ形状)スタイルは1970年代のフォード マスタングマッハ1を連想させます。それでいてアメ車にはなかったコンパクトさがあって、パワーもそこそこあった(92~110ps)というのが世界で人気を得た理由なんでしょうね。ちなみに、アメリカでは当時の提携先であるクライスラーから「プリムス アロー」という名称で販売されていたそうです。
当該車両の写真を見ているだけでタイムスリップしたような気持ちになれます。シートはチェック柄で、個人的には萌えます。飛行機のコクピットのような計器類のレイアウトにも萌えます。当時のCMのように男同士で乗るもよし、家族で使ったらノスタルジックな雰囲気でほんわかするもよし。デートに使って趣味ある男を演出するのもいいと思います。新しいモノを追い求めるのも楽しいですが、古い車とじっくり付き合う生活もいいものですよね。
いずれにせよ36年落ちとしてはキレイな中古車のように見受けられます。カーセンサーnetの販売店のページには「在庫は私の好きだった車など……」と書かれていて店主の旧車愛を感じます。どんな車を維持していくうえでも情熱は大切。特に旧車は、周囲の手助けあってこそです。
Text/古賀貴司(自動車王国)