▲軽自動車と普通乗用車のギャランの隙間を埋める三菱 ランサー。コンパクトなボディで車両重量はわずか890kgしかありません ▲軽自動車と普通乗用車のギャランの隙間を埋める三菱 ランサー。コンパクトなボディで車両重量はわずか890kgしかありません

三菱のスポーツカーにおける歴史的存在

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年9月15日に発見したのは「三菱 ランサー1600GSR」です。1973年に登場し、1977年まで生産されたランサーのスポーツモデルです。

ランサーのスポーツモデルといえば最近、ランサーエボリューションの生産終了となったことが思い起こされます。ランサー1600GSRはラリーでの輝かしい戦績を持っており、ランサーエボリューションにとって「祖先」と呼べる存在でしょう。

デビューしてすぐランサー1600GSRは第8回サザンクロスラリーに参戦し1位から4位までを独占。以後、3年間連続で優勝を収めたことで、世界から注目を浴びました。1974年にはWRCのサファリラリーに初参戦し、見事に優勝を飾ったのもランサー1600GSRでした。

もっとも、昨今のランサーエボリューションは電子制御システムで“武装”しているのに対し、ランサー1600GSRは極めてシンプルです。そもそも軽自動車とギャランの隙間を埋める車格として登場したランサーゆえに、車両はコンパクト。最小回転半径はたったの4.8mでした。

▲ボディサイズは全長3995mm×全幅1535mm×全高1365mm。当該中古車には若干のヤレが見られ、ノスタルジック感が増しています ▲ボディサイズは全長3995mm×全幅1535mm×全高1365mm。当該中古車には若干のヤレが見られ、ノスタルジック感が増しています

車両重量は890kgなのにエンジンは最高出力110ps(後に排ガス規制に対応するために100psにパワーダウン)を誇る1.6L4気筒エンジンを搭載していました。組み合わせているトランスミッションは5速MTのみです。38年前の車ですからクーラー、FMステレオはオプションでした。

▲1.6L直4エンジンはデビュー時は最高出力110psでしたが、昭和53年排ガス規制に対応する後期は100psとなりましたclass= ▲1.6L直4エンジンはデビュー時は最高出力110psでしたが、昭和53年排ガス規制に対応する後期は100psとなりました

当該車両、新車時登録から38年が経過しています。しかし走行距離はわずか3万kmとあって、写真を見る限り、経過年数を鑑みればキレイな状態が保たれているようです。ドライバーズシートはバケットシートに交換されていますが、その他のシートはオリジナルです。ステアリングホイールやホイールなども前オーナーによって交換されていますが、38年も経過するとフルオリジナルであることは珍しいことだと言えるでしょう。

▲ヒーターは標準装備ですがクーラーはオプションでした。当該車両、クーラーは装着されていないようです ▲ヒーターは標準装備ですがクーラーはオプションでした。当該車両、クーラーは装着されていないようです

約40年前はスポーツモデルではありましたが、今では立派なクラシックカーです。もちろんチューニングのベース車両にもなりますが、このまま乗ってもオツだと思います。さすがに今の基準で「スポーツ」とは呼べませんが、軽量コンパクトでパワフルですから思いのほかキビキビしています。そして、なんといってもノスタルジックな雰囲気がオシャレです。

昨今、クラシックカーの部類は総じて値上がりしている中、三菱のスポーツカーにおける歴史的存在が100万円以下で買えるのはバーゲンだと思います。そのまま乗ってもカッコいいですし、少しずつ自分好みにチューニングしていくのも楽しいでしょう。

■本体価格(税込):70.0万円 ■支払総額(税込):---
■走行距離:3.0万km ■年式:1977(S52)
■車検:無 ■整備:別(7万5600円) ■保証:無
■地域:静岡

text/古賀貴司(自動車王国)