ホンダフィット VS トヨタヴィッツ　PART5：フル乗車対決

カテゴリー: クルマ

2008/02/28

PART5 フル乗車対決

Report／島崎七生人　Photo／奥隅圭之

ホンダフィット


↑フル乗車すると通常時のフラットな乗り味が一変、路面の入力に対しシビアな反応を示すことも。この辺りが改善されれば、さらに上質なコンパクトになるはずだ

トヨタヴィッツ


↑乗員が増えたときでも通常時と変わらずに、どっしりとした乗り心地が保たれていた。走行性能対決で挙げた乗り味の良さがこの対決でも感じられた

両車とも5名乗車はかなりキツイ・・・

フル乗車。この連載企画で、取材中のアクセントのひとつになる項目である。毎回同乗してくれる親愛なる取材スタッフは、皆、遠慮深い。なので毎回、イヤな顔ひとつせず、キチンとコメントを述べてくれるのでありがたい。あるいは、取材前に皆、レポーターの知らぬ間に酔い止めの薬でも飲んでいるのだろうか?

だが、たとえコンパクトカーでも定員が5名なら、5名で乗車でしっかりと同乗取材をこなす主義。勢い、今回の2車の判定は、いささか厳しいものになる。

とくに後席の左右席の乗員からは「首を傾げていないとトリムに当たる。隣同士、肩も重なっている」（ヴィッツ）、「ヘッドレストの機能を果たさなくなる」（フィット）など、後席3人がけ状態での不都合が発見された。もちろん、後席3名がけは常時ある訳ではないだろうから・・・と、メーカーを擁護するつもりはないが、輸入車（VWポロなど）のように、3名分のヘッドレストを用意するなどの姿勢は見せてほしいとは思う。

が、後席2名状態であれば、スペースは想像以上に余裕だった。「クッション中央部分の盛り上がりも、2人がけなら気にならない」（フィット）、「前後方向の広さは十分」（ヴィッツ）と、評価は好転。要は、実際の使い方次第だが、緊急的に5名乗車も可能なのがこのクラスのコンパクトカーだ、と思っているべきか。

フル乗車時の乗り心地はヴィッツのほうが上

一方でドライバビリティ面では、トータルでヴィッツの評価がフィットを上回った。後席の乗員からは「人が多く乗ってもドッシリとした乗り心地を保っている」「路面からの突き上げもあまり気にならない」「エンジン音も意外と低い。前後席での会話だってできる」「クッション（座面）の弾力感があっていい」と好評価続出だった。

また前席では「センターコンソールのポケットが足にあたり、ペコペコしている」の指摘があった。

片やフィットは「フル乗車だとピッチングが出てくる」「路面の目地を拾う。しかもカドのあるショックになって伝わる」「Sモードでドライバーがアクセルを踏み込むと、けたたましいエンジン音が聞こえてくる」など。加えて「前席があまり後ろまでスライドしてくれない」といった声もあった。

また助手席の乗員は、ビジーなデザインのインパネがいやおうなしに目に入ったらしく「チョコザイな物入れがやたらある」とのコメントをICレコーダーに残した。

今回のまとめ

本来ならは4人乗りと割り切るべきなのかもしれないが、車検証には“定員5名”と書かれているので、ならば・・・とテストした5名乗車。後部座席の狭さはどちらも否めないが、フィットは一人乗りで感じた快適さがフル乗車時にはなくなってしまったのが残念。反対にヴィッツはフル乗車で車体が重くなったときのほうが乗り心地が良かった。