マツダ アテンザスポーツワゴン VS スバル レガシィツーリングワゴン　PART4：ステーションワゴンとして優れているのは？

ワゴンとしての要件をクリアし、高い次元でまとめたレガシィ

まず両車に言えることは、ともにミドル〜アッパーミドルクラスのステーションワゴンとして、実用性は問題なく高いということ。なので、スーパーマーケットにまとめ買いの習慣がある、犬も乗せる・・・などの普段使いはもちろん、週末は家族でレジャー、旅行に出かける、友人が多い・・・といった人まで、車を使いこなしたいユーザーにはどちらのモデルとも不足はないはずだ。

レガシィツーリングワゴンはこのジャンルを代表する車種として資質を磨いてきただけのことはある。実用性、快適性、それから居住性など、どの項目でもソツなく高いレベルに仕上げられている。

レガシィについてはレポーターも初代以来、歴代モデルすべてのエンジニアと話をさせていただいてきたが、責任者にしろ、各部門の担当者にしろ、例外なく共通するのは、クールで誠実な人ばかり・・・ということ。何世代か前のとき「カップホルダーに缶を収めるとカタカタ音が立つ」と伝えたところ、直後に底面にラバーを付けて対処してくれ驚いたことがある。今なら「フフン！」とだけ、気のない返事でかわす、どこかの首相に見せたいほどの誠意である。

もちろん機能性が十分なうえ、走りも心強いのは、レガシィのもう一つの魅力。天候、季節を問わず安心感が高く、しかも走らせることも楽しめてしまう。もはやワゴンというくくりを超え、“ジドウシャ”としても魅力の高い車でもある。

それから、安易に流行に流されたりしないところもレガシィの持ち味。いい意味で愚直さがあるのもレガシィだ。なのでチャラチャラしていない、地に足のついた車がいいと考えるユーザーにも馴染むだろう。

欧州志向の走りに加え、質感の向上が目覚しいアテンザ

対してアテンザは、コチラは欧州、とくにドイツ市場を大きく意識しているだけに、車としての基本性能は確かなものがある。それはもともとマツダ車のキャラでもあった。が、ここ最近は走りの良さは変わらず、内外観のデザインやセンス、仕上がりレベルもメキメキと腕を上げ、洗練されてきた。

アテンザでいえば、スリーク（滑らか）だが存在感のある外観スタイルは魅力。特徴的なフロントフェンダーを際立たせるため、エンジンフードの見切りと左右の稜線を合わせるデザインなど、とても生産管理が難しいはずで、しかしそんな処理を量産車で実現しているアテンザは、実はデザインにもさりげなくこだわっているのである。さらに広々とした質の高いインテリア空間も、人を乗せる機会も少なくないであろう、このクラスのワゴンとしてまさに望むところだろう。

滑らかだがスポーティな走りは、先代アテンザ譲り。レガシィがあくまで田村正和のように独自の世界を貫き通すことで走りを磨いてきたのに対し、アテンザは横文字名義で世界市場に打って出た歌手みたいに、輸入車とも真っ向から張り合える、そんな姿勢が特徴。なので欧州車マニアの心をつかむ車にも仕上がっている。