THE!対決

PART2 使い勝手が優れているのはどっち?

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之
トヨタ iQ
トヨタ iQ 運転席|THE!対決 トヨタ iQ リアシート|THE!対決
↑幅方向に圧倒的なゆとりがあるため、もっと大きな車に乗っている感覚。濃い茶色の内装色は落ち着いてはいるがやや重たく、もう少し明るい色があってもいいのでは?
トヨタ iQ ラゲージ(通常時)|THE!対決 トヨタ iQ ラゲージ(後席格納時)|THE!対決 トヨタ iQ 乗り降り+ゲート|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ
スマート フォーツーカブリオ 運転席|THE!対決 スマート フォーツーカブリオ メーター|THE!対決
↑直線基調の抑えの利いたデザインは先代ほどコンセプチュアルではないが、色や素材の使いかたはポップ。通常の状態でのラゲージスペースがiQよりも広いのはさすが
スマート フォーツーカブリオ ラゲージ(通常時)|THE!対決 スマート フォーツーカブリオ ラゲージ(助手席格納時)|THE!対決 スマート フォーツーカブリオ 乗り降り+ゲート|THE!対決

幅方向の圧倒的なゆとりはiQの美点の一つ

前席の居住性は、2車ではまったく“別世界”だ。iQはサイドウインドウ、フロントスクリーンの下端がやや高め。よって包まれ感、安心感がある。それと幅方向で圧倒的なゆとりがあるのが美点。メカ以外は案外とオーソドックスな印象をもつiQの数少ないサプライズというべきか。左右席の間隔にゆとりがあるので、もっと大きな車に乗っているような得した気分も味わえる。

インテリア全体の“作風”も、2車ではおおいに異なる。iQはプレミアムを謳い、ポップなスマートとは正反対のムード。濃い茶色の内装色は落ち着いてはいるがやや重たく、もう少し明るい色調を望みたいところ。またオプションのレザーシートだが、座面部分(本革)とサイド部分(フェイク)の縫い合わせ部分が、素材が違うためにビニールレザー側の“シワ”が引きつっていて、ひと目でフェイクと見破れてしまう。またシンプルでスペースを稼ぐのに精一杯だった風で、もう少し身の回りの収納ポケット類など、デザイン、工夫をこらして増やしてほしかった気もする。

4座使用状態でのラゲージスペースは、小猫も忍び込む気になるかどうか? といった“隙間”に過ぎない。段ボールは畳まれた状態なら載る(笑)。計測データは10cmだが、ブリーフケースでもスリムなタイプでなければ入れられない。つまりiQは、実用性を考えるなら2名乗車が基本といえる。ただし後ろにエンジンがないから、ラゲージスペース床下に深さのあるサブトランクが設けられている。

後席の背もたれを倒すと(ヘッドレストを取り外さなければならないのは面倒)、ザックリと言えば、小型ミニバンの3列目シートを倒した程度のスペースが確保できる。参考までに、後席をチップアップさせると、前側からのアクセスにはなるが、床面からの高さを使ったラゲージスペースにすることもでき、その下にもポケット状のスペースが用意されている。

リアゲートがスマートのように下側のゲートが手前にせり出さないのが好みなら、こちらのほうが扱いやすいだろう。ただしバックドア外側の、いかにもココに指をかけなさい…といった形状の無粋なハンドルは、もう少しデザイン的な処理はできないものか?

1名乗車なら長さのある荷物も積めるスマート

包まれ感、安心感があるiQに対してスマートは、例のごとく床がやや高く着座位置もやや高めな上、ウインドウ下端が相対的に低く、よくいえば見晴らしがいい。

インパネは先代のようなカタツムリの目玉みたいなメーターなどはなく、直線基調の抑えの利いたデザイン。先代のほうがコンセプチュアルで、色、素材の使いかたは適度にポップだが、デザイン的にはそれほど楽しげというほどではない。また右ハンドル仕様だけなのか、助手席側の床の奥行きが運転席側よりも“浅い”。フル乗車テスト時にスタッフの1人が「スマートは足が伸ばせない」と証言していたのはこのせいか。ただし床面は高いが乗降性に配慮してか、サイドシル形状は足の運びに合わせて下側にえぐられた形状だ。

通常の状態でのラゲージスペースは、実は小さなスマートのほうが大きい。それは2シーターで、背後のスペースを完全にラゲージスペースに割り当てているためだ。テールゲートも上下2分割を採用するため、ガラスハッチ側だけ開け閉めして使用できる。買い物袋などを積み込むのに便利である。

また、助手席の背もたれを前倒しできるのも強み。計測値は149cmだったから、1名乗車なら、長さのある荷物も呑み込める。このあたりは、いざというときの実用性をおろそかにしないヨーロッパ車らしいところだ。
今回のまとめ
“エイ”のイメージのセンターパネルや図案化された雲の絵のようなメーターバイザーなど「普通でもいいかも」といったディテールは散見される。が、iQはコンパクトカーらしからぬ幅方向のゆとりが独自の居住空間を作り出しているのがいい。
今回のテスト車両
トヨタ iQ フロント|THE!対決
トヨタ iQ リア|THE!対決
トヨタ iQ インパネ|THE!対決
トヨタ iQ
テスト車両 100G“レザーパッケージ”
160万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 2985×1680×1500
ホイールベース(mm) 2000
車両重量(kg) 890
最小回転半径(m) 3.9
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 996
最高出力
[kW(ps)/rpm]
50(68)/6000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
90(9.2)/4800
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 32L
10・15モード燃費
(km/L)
23.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 175/65R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
スマート フォーツーカブリオ フロント|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ リア|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ インパネ|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ
テスト車両 mhd
213.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 2720×1560×1540
ホイールベース(mm) 1865
車両重量(kg) 850
最小回転半径(m) 4.2
乗車定員(人) 2
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 999
最高出力
[kW(ps)/rpm]
52(71)/5800
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
92(9.4)/4500
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 33L
10・15モード燃費
(km/L)
23.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 155/60R15
175/55R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です