ライバル車比較 THE!対決

前回、居住性でホンダ アコードツアラーをわずかに
上回ったスバル レガシィツーリングワゴン。
今回はいよいよ両者の総合評価だ!!

ライバル車比較 THE!対決

スバル レガシィツーリングワゴン 総合評価

スバル レガシィツーリングワゴン ホンダ アコードツアラー 2台絡み|ライバル車比較 THE!対決

スバル レガシィツーリングワゴン フロント|ライバル車比較 THE!対決

スバル レガシィツーリングワゴン 走り|ライバル車比較 THE!対決

スバル レガシィツーリングワゴン 駐車|ライバル車比較 THE!対決

主要諸元のグレード:2.5i Sパッケージ
サイズ
[mm]
ミッション エンジン種類 最高出力
[ps]
最大トルク
[kg-m]
10・15モード燃費
(km/L)
4775×1780×1535 CVT 水平対向4気筒SOHC 170 23.4 13.2

ダイナミックなデザインをファンが受け入れられるか

実車を目のあたりにした瞬間に大胆な変貌ぶりをいやがうえでも思い知らされるのが新型レガシィだ。繰り返すがボディサイズの拡大など、新型と先代BP型を並べると、まるでスケールの違うミニチュアカーを眺めているかのよう。顔つきもランプ、グリルなど個々の構成要素が過去最高のダイナミックさで、これなら北米の路上でも埋没しないだろう…と想像できる。

けれど、ツーリングワゴンの特徴だった“隠しDピラー”までやめた点はどうか!? 物事に固執してばかりいては前進はないが、寂しい思いをしたレガシィファンも少なくなかったのでは!?

もはや数少ない、初代以来のメンバーでもあり開発責任者の日月丈志さんは知的な方だから「時代の要求に応えた、しかし魂は捨てていない」とおっしゃるに違いない。が、TV局の都合で水戸黄門の再放送が、ある日突然、夕方4時から5時に変えられたら視聴者が混乱させられるみたいに、慣れ親しんだユーザーの感覚が追いつかなかったとしたら。そこが気がかりだ。先入観のない新規ユーザーには新型は抵抗ないだろうが、レガシィファンだったら、歴代モデルの中古車も、依然、選択肢かもしれない。とくに直前のBP型の完成度は高い。

とはいえ、スタイリング含め“年改”で今後、どう手が入っていくかにも期待を込めたい。発売後1カ月の受注が月販目標の倍以上と好調だったようで、うちツーリングワゴンはほぼ半数、2.5i(52.9%)は2.5GT(43.0%)を上回る支持を集めたという。そしてボディ色はサテンホワイト・パールが31.7%で1番人気…まさにほぼ今回の試乗車が、新型レガシィでまず支持された仕様ということになる。

現状でも、たとえミニバンから乗り替えても実用性に不満はない、乗り味も快適などなど、魅力と思える部分は多い。となると、あとは、レガシィと認めるかどうか…つまり受け手側であるユーザーの気持ちの切り替え方次第、なのかもしれない。

ホンダ アコードツアラー 総合評価

ホンダ アコードツアラー 2台絡み|ライバル車比較 THE!対決

ホンダ アコードツアラー フロント|ライバル車比較 THE!対決

ホンダ アコードツアラー 走り|ライバル車比較 THE!対決

ホンダ アコードツアラー 駐車|ライバル車比較 THE!対決

主要諸元のグレード:24TL
サイズ
[mm]
ミッション エンジン種類 最高出力
[ps]
最大トルク
[kg-m]
10・15モード燃費
(km/L)
4750×1840×1470 5AT 直4DOHC 206 23.7 11.4

パーソナル感が強いクーペのようなワゴン

試乗を済ませ、撮影が行われているアコードツアラーを遠くから眺めていたら「久々のスタイリッシュなホンダ車かもしれない」「リヤビューはアルファ・ブレラ!? 」などと思った。もちろん「」内はレポーターの主観だから、感じ方は人それぞれ。

だがもともとアコードは初代の頃から“日本車から欧州車に乗り換える前のツナギ”などと言われ、日本車のなかでも走り、センス、雰囲気が欧州車っぽかった。そのニュアンスが、新型アコード(セダンも含む)から、しばらくぶりに感じられるように思えるのだ。そしてライバル車は、BMW3シリーズというより、今ならシトロエン C5、プジョー 407、アルファ 159あたりにさえ思える。

実は最新のアコードも、先代に対し前席左右間隔が40mm広げられ、肩口の幅方向の余裕も65mmもプラスされた。資料にも“ワイドな空間”と書かれていて、それは絶妙な表現なのだが、単に数字で室内スペースを拡大したというより、人をより余裕をもって着座させ、ゆったりとした気持ちを味わえるようにした…という訳だ。

さらに車をよくよく観察すれば、ドアを開けた際に見えるドアラッチ(ロック時にピラー側のストライカーを噛む部品)のまわりのゴムシール室内側まで樹脂トリムで覆うなど、見栄え品質にもかなりのこだわりが。近年のホンダ車のなかではガンダムチックさが抑えられた室内デザインも好感がもてるし、各部の感触、仕上げに十分な上質感が感じられる。

レポーターはこの運転席に座ったときのしっくり感は、BMW6シリーズクーペに似ているとさえ思ったほど。つまり実用前提のミニバン、セダンではなく。パーソナル感覚が味わえる上質なクーペのような車ということだ。横方向のサイズのゆとりも、スペックではなく気持ちの余裕代(しろ)を増大させてくれる。

ずっと車好きだった50歳代の心にも響く!? そんな車に思える。

Judge|ライバル車比較 THE!対決

事務的に3項目の判定結果を合計すると、1点差でレガシィがアコードをおさえた。実用前提、多様性といった立ち位置でいえば当然の結果といえる。が、アコードツアラーの総合評価に切々と(笑)書いたように、この車のセンスのよさは、同車ならエアロデッキ(日本では3代目)のレベルにも匹敵するようにも思う。そういえばクォーターガラスにリヤドアのガラスを繋げ2ドア風にみせる細部の処理も、リヤドアをカモフラージュしスタイルを気にしている証拠。実力、ポテンシャルでレガシィを認めつつ、アコードツアラーのハイセンスぶりも認めたい…今回はそんな結論である。

  走り 居心性 使い勝手 総合
スバル レガシィツーリングワゴン 4 5 5 14
ホンダ アコードツアラー 4 4 5 13

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Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之