初代の外観デザインを踏襲しながら中身は大幅に進化した使えるSUV

OVERVIEWモデル概要

手になじむ道具として使えるクルマを目指した2代目
昭和の終わりから平成にかけて巻き起こったクロスカントリー4WDブームが落ち着いた後、一般ユーザーには過剰な悪路走破性や耐久性を省いたライト感覚のSUVが台頭し始めた。
他車がプレミアム路線やコンフォート路線を打ち出す中、唯一かつてのクロカン4WDのような道具感とリーズナブルな価格設定で大成功を収めたのが、初代エクストレイル。
2代目となる現行型はそのコンセプトをキープしつつ、機能性や走行性能を大きく進化させている。

MECHANISMメカニズム

エンジンは、厳しい排ガス規制をクリアしたディーゼルを含む3種類
プラットフォームはデュアリスと共用。ガソリンエンジンは2Lと2.5Lの2種類あり、いずれも直4DOHCだが、形式は異なる。2Lのターボディーゼルは、世界で初めて“ポスト新長期排ガス規制”をパスし、税金面で優遇される。
オールモード4×4と呼ばれる4WDシステムは制御を刷新。

EXTERIOR & INTERIOR内外装

外観のシルエットはボクシー。ラゲージの使い勝手はさらに向上
直線基調のボディは初代のイメージを色濃く残すが、全長は135㎜長くなっており、そのほとんどがラゲージスペースの拡大に充てられている。
インテリアのカラーもブラックとメタル調のモノトーンでまとめられ、大人っぽい上質感あるものとなっている。
ディーゼルモデルを除く全グレードには、防水シート+フル防水内装を標準装備。特にシート生地には防水透湿性素材が採用され、夏場の蒸れも緩和されている。
ラゲージは2層構造となっており、下段右側には引き出しを標準装備。標準的なキャンプテーブルがピッタリ入るサイズだ。

DRIVING IMPRESSIONドライブフィール

オン、オフ問わず質の高い、快適な乗り心地に進化
滑らかなロール感を伴いながら、粘っこくロードホールディングする乗り味。しなやかで懐深いステアリングフィールは、走りを知り尽くした大人にも好感をもって受け入れられるはずだ。 2Lエンジンは低速トルクが厚くなっている上、5500rpmぐらいまでなら軽快に回る。広大なラゲージに荷物を満載したときを除けば、2.5Lの必要性は感じない。
ディーゼルモデルは1500rpm以下の時点ではトルクが細く感じられるが、それを超えると過給圧の高まりに呼応して一気にトルクが盛り上がる。
2007年 8月/デビュー 走行性能と使い勝手の良さを高め、より「使える」道具に進化
「使える4駆」をコンセプトとした初代エクストレイルのDNAを引き継ぎ、より進化させた2代目が登場。
エンジンは、排気系の見直しによって実用域での出力特性を向上させた2Lと、低回転から大きなトルクを発生する2.5Lの2種類で、いずれも直4DOHCとなる。

グレードは大別すると、ベーシックなS系、17インチアルミホイールやオートライトシステム、オートエアコンなどの上級装備が与えられたX系の2系統。
2L車なら20S、2.5L車なら25Sといった形で、それぞれに排気量を示す数字が与えられた。駆動方式は4WDが中心だが、20Sと20XにはFF車もラインナップ。トランスミッションは2L車にCVT、2.5L車に6速マニュアルモード付きCVTを搭載したほか、20Xの4WD車には国内でクラス唯一となる6MTも用意されていた。

ユーティリティ性が格段に進化したのも特徴だ。たとえば、初代で好評だった水洗いできるウォッシャブルラゲージボードの下には、同様に水洗い可能な引き出し式アンダートレイを追加。ラゲージルームに荷物を満載していても、欲しいものを簡単に取り出せるようになっている。

また、フル防水インテリアを継承しながら、シートの背もたれと座面にはダイビングスーツ並みの防水性と高い透湿性を両立した素材、セルクロスを採用。後席にエアコン吹き出し口を標準装備とするなど、快適性も向上している。
日産 エクストレイル フロントスタイル リアスタイル|人気中古車完全カタログ サイドウインドウを大きくし、良好な視界と開放感を実現。ヘッドランプマーカーの採用で、視認性も向上した。また、ステップ高は初代より前席で28㎜、後席で14㎜下げ、乗降性もアップ
日産 エクストレイル インパネ|人気中古車完全カタログ インパネ回りやドアトリム、アームレストにはソフトパッドを採用して質感を向上。アッパーパネル中央には、ティッシュボックスも収納できる大容量インストアッパーボックスを装備している
  • 日産 エクストレイル ポップアップチルトステアリング|人気中古車完全カタログ
  • 日産 エクストレイル アンダートレイ|人気中古車完全カタログ
左/20XのCVT車と25Xに採用されたポップアップチルトステアリングは、1アクションでステアリングを跳ね上げられる。駐車して着替える時などに最適だ。右/耐荷重10㎏のアンダートレイは、3枚の仕切り板で自由にアレンジできる。右側には標準で、左側はオプション装備となる
  • 日産 エクストレイル アクシス|人気中古車完全カタログ
  • 日産 エクストレイル アクシス インテリア|人気中古車完全カタログ
左/オーテックジャパンからは20Sと25Sをベースとしたカスタムモデル、アクシスが登場。専用フロントマスクや外装のフルカラー化により、洗練された雰囲気を醸し出す。右/アクシスの内装色は、上質な印象のベージュ。本革シートや前席シートヒーターなどが奢られた
2008年 9月/グレード追加 厳しい排気規制「ポスト新長期規制」を世界で初めてクリア
可変ターボチャージャー付きの2L直4DOHCディーゼル+6MTを搭載した20GTを追加。エンジンは黒煙発生を抑えるコモンレールシステムなどを採用したことで、環境性能を高めている。

燃費性能にも優れ、10・15モードで15.2km/Lと同クラスのガソリン車と比較して約3割も燃費が向上。また、高剛性ボディや遮音ガラスなどにより、ディーゼルのネックだった騒音や振動も軽減された。

これらのことからエコカー減税の恩恵を大きく受けており、エクストレイルの中でも唯一、自動車重量税と自動車取得税が免税。また、中古車でも自動車取得税が2010年3月31日までなら1%(2009年10月1日からは0.5%)軽減されることが決定している。
日産 エクストレイル20GT フロントスタイル|人気中古車完全カタログ フロントグリル&バンパーのデザインは欧州仕様と共通。ガソリン車では一部ボディ色のみとなるキズがつきにくいスクラッチシールドを標準装備する。ガソリン車に比べ、全長が40㎜長い
  • 日産 エクストレイル20GT エンジン|人気中古車完全カタログ
  • 日産 エクストレイル20GT インパネ|人気中古車完全カタログ
左/最高出力173ps、最大トルク36.7kg.mを発生する20GTのエンジン。2Lながら3.5L V6ガソリンエンジン並みの高トルクを低回転から発生する。右/ステアリングやシフトノブ、パーキングレバーは本革巻き。なお、ポップアップチルトステアリング機構は非搭載だ
2008年 11月/一部改良&特別仕様車 人気装備の標準化とウインタースポーツに最適な特別仕様車
プライバシーガラスやスクラッチシールドが全車標準装備となった。
また、オプションのナビに新型のカーウイングスナビゲーションシステムを設定。パソコンからのダウンロードや携帯電話の通信による地図更新のほか、iPod接続や地デジ対応など、最新の機能が使えるようになっている。

このほか、SとXの4WD車をベースに、前席&後席左右ヒーター付きシートなどを装備したStとXtを追加。これを受けて25Sと25Xは廃止となっている。
  • 日産 エクストレイル20Xt フロントスタイル|人気中古車完全カタログ
  • 日産 エクストレイル アクシス 専用チューンドサスペンション|人気中古車完全カタログ
左/追加となった20Xt。ヒーター付きシートに加え、アクセルから足を離しても一定の速度で走行するASCDやマッドガードも採用されている。右/アクシスには新グレード、パフォーマンススペックを追加。専用チューンドサスペンション(写真)などの装備が奢られていた

SPECIFICATIONS代表グレードスペック

  2007年8月(デビュー時) 2008年9月(グレード追加時)
グレード 20X 25S 20GT
駆動方式 FF 4WD FF 4WD
トランスミッション CVT CVT/6MT CVT 6MT
全長(mm) 4590 4630
全幅(mm) 1785 1785
全高(mm) 1685 1685
ホイールベース(mm) 2630 2630
車両重量(kg) 1440 1500/1480 1530 1660
乗車定員(人) 5 5
エンジン種類 直4DOHC 直4DOHC
総排気量(cc) 1997 2488 1995
最高出力[kW(ps)rpm] 101(137)/5200 125(170)/6000 127(173)/3750
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 200(20.4)/4400 230(23.5)/4400 36(36.7)/2000
10・15モード燃費(km/L) 14.0 13.6/13.2 11.6 15.2
文:安藤 眞、ユニットクワトロ