▲交通安全発祥の地にあった日本初のガソリン車「タクリー号」のパネルで記念撮影! ▲交通安全発祥の地にあった日本初のガソリン車「タクリー号」のパネルで記念撮影!

絵馬には国産初のガソリンエンジン自動車が描かれている

編集部員A(以下、A) ったく、この忙しいのになんで僕がここにいるんでしょうかね~。それに車のお祓いに行くのに、こんなうす汚れたままなのはマズいでしょ? 神様への冒涜ですよ、ボ ウ ト ク!
ぴえいる(以下、ぴ) まぁまぁ、旅は道連れって言うじゃない? しょーがない、どこかガソリンスタンドを探して洗車するか

約30分後……。

 ぎゃー! 知らない土地で洗車したから、道に迷ったじゃないか(怒)! しかも道が狭くて、片輪が落ちそうだよ!
A ちょっと、僕、まだ死にたくないですよ! あ~、もう(怒)! 神様もぴえいるさんには会いたくないみたいですね!
 えっ? 神様「も」って何!? ねぇ、「も」って……

まるで神様から「来るなよ! シッ、シッ!」とされたかのように我々は狭い道に迷い込んでしまった……。が、なんとか「交通安全発祥の地」といわれている東京都国立市の谷保(やぼ)天満宮にやってきた。愛車を購入してからもう10年。今後も安全にライター人生を送りたい私は、車のお祓いをやっているという噂を聞きつけてAくんを無理矢理連れ出したのだった。

▲東京都国立市にある谷保天満宮。本殿の手前に「交通安全祈願発祥の地」という立て看板が掲げられている ▲東京都国立市にある谷保天満宮。本殿の手前に「交通安全祈願発祥の地」という立て看板が掲げられている
▲まずは窓口にて受付を済ませる。初穂料は5000円。べ、別にケチなワケじゃないぞ! オジさんにも色々あるのだ…… ▲まずは窓口にて受付を済ませる。初穂料は5000円。べ、別にケチなワケじゃないぞ! オジさんにも色々あるのだ……
▲次に本殿にて運転手のお祓い。本殿内は撮影禁止。中でどんな神事が行われたのかは、ナイショだ! ▲次に本殿にて運転手のお祓い。本殿内は撮影禁止。中でどんな神事が行われたのかは、ナイショだ!
▲最後に車をお祓い。ドアを全部開けて、四方を大麻(おおぬさ)で清めていただき終了。全部で約10分程度 ▲最後に車をお祓い。ドアを全部開けて、四方を大麻(おおぬさ)で清めていただき終了。全部で約10分程度

 何かもらった(嬉)
A 卑しい人だ……。お守りとか、絵馬が入ってますよ
 あれ? この絵馬には車の絵が描いてあるね
宮司さん この絵は、国産初といわれるガソリンエンジン車です
 へぇ~、ところで、ここはなぜ「交通安全発祥の地」なんですか?
宮司さん そもそも1907年(明治40年)に、有栖川宮威仁(たけひと)親王が吉田真太郎氏に国産初といわれるガソリンエンジンの自動車を作らせたのがきっかけです
A トヨタや日産より先にガソリン車を作った人がいたなんて知らなかったです!
宮司さん 翌年には、タクリー号3台の他、フィアットやフォード、メルセデス・ベンツなど約10台による「遠乗会」が行われたのですが、日比谷を出発して、ここが折り返し地点になったのです。その際に本殿にて「遠乗会」の安全を祈願したことが、谷保天満宮が「交通安全発祥の地」たる所以になります
A つまり、日本で初めてのドライブツアーで、ドライブの安全を祈願したので、その安全祈願も当然「日本初」である、というわけですね

▲お祓い後にいただいたもの。絵馬に描かれている車は、ガタクリ、ガタクリと走るので「タクリー号」と呼ばれていたそう ▲お祓い後にいただいたもの。絵馬に描かれている車は、ガタクリ、ガタクリと走るので「タクリー号」と呼ばれていたそう
▲宮司さんによれば、有栖川宮親王は日本に自動車産業を興すべく「遠乗会」を企画したのだとか。そのため当時の各界の有力者が集められたという ▲宮司さんによれば、有栖川宮親王は日本に自動車産業を興すべく「遠乗会」を企画したのだとか。そのため当時の各界の有力者が集められたという
▲谷保天満宮に残る梅林。ここで有栖川宮親王をはじめ、井上馨や福沢諭吉の子息、陸軍少将の長岡外史、第一生命保険の創設者となる矢野恒太など、そうそうたる顔ぶれが自動車産業の未来を語りながら昼食をとったそう ▲谷保天満宮に残る梅林。ここで有栖川宮親王をはじめ、井上馨や福沢諭吉の子息、陸軍少将の長岡外史、第一生命保険の創設者となる矢野恒太など、そうそうたる顔ぶれが自動車産業の未来を語りながら昼食をとったそう

 さ、この絵馬を奉納して帰るとしよう!
A 「交通安全祈願!」 って、交通安全祈願の絵馬に交通安全祈願って書いてどうするんですか! あ、「結婚できますように」って追記してるよ……。そりゃ神様に「来るなよ! シッ、シッ!」されるわけだ……

text/ぴえいる