スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
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貧乳と巨根の凸凹コンビが大活躍する大人気ミステリー(一応)完結編

TRICK -劇場版2-|映画の名車
(C)2006「トリック劇場版2」製作委員会
『TRICK -劇場版2-』(DVD・発売中)2006年・日 監督:堤幸彦 出演:仲間由紀恵/阿部寛/生瀬勝久/片平なぎさ/堀北真希/野際陽子ほか 販売:東宝 ¥3,990(税込)
2009年1月現在、『トリック劇場版2』の公開から約2年半の月日が流れた。公開当時「これで終わり」を強調したCMを流しまくり、一応完結編ということにはなっているものの、「要望があれば続けるよ…」という意志はそこかしこに見られているので(CMテロップの右端に小さく“かも”と記されていた)、しれっと続編が作られるものだと思っていたが、現在まだその動きは伝わってこない。2003年12月の「トリック3」放送終了から2005年11月の「新作スペシャル」まで2年弱待たされたことはあったが、今回のブランクはすでにそれを超えている。ファンの待望感はマックスに達しているので、そろそろ新作をお願いしたいところだ。

「トリック」シリーズは仲間由紀恵扮する売れないマジシャン山田奈緒子と、阿部寛の演じる小心者の物理学教授・上田次郎の(貧乳と巨根で文字通りの)凸凹コンビが超常現象にまつわる事件の謎を解き明かしていくコメディタッチのミステリードラマである。シリーズ第1弾のスタートは2000年7月。テレビ朝日系列の金曜ナイトドラマ枠(23時15分~)という環境下で、曲者・堤幸彦の陣頭指揮のもと、遊び心満載の世界観を構築。画面のあらゆるところに小ネタが仕掛けられ、観る者を大いに楽しませてくれた。

番組はすぐさま話題沸騰となり、2002年に公開された劇場版も大ヒット。シリーズ第3弾ではゴールデンに進出するなど、出世街道まっしぐらだ。しかしながら毎回毎回、山奥の村で超常現象絡みの不思議な事件が発生→山田と上田がドタバタを繰り返しながら解決する…というパターンで物語が進むため、当然のごとくマンネリ化。それでも根強いファンに支えられてきたが、2006年の夏に公開された『劇場版2』をもって一応の完結と相成った。

上田は『どんと来い、超常現象』を持参した青沼和彦(平岡祐太)という青年から、とある相談をもちかけられる。曰く、10年前に失踪した彼の幼なじみ、西田美沙子(堀北真希)から助けを求める手紙をもらったが、彼女が囚われているのは宗教団体「箱のゆーとぴあ」が支配する筺神島なのだという。果たして上田はいつものように山田を巻き込み、2人で筺神島に乗り込むのだが…。

映画ならではの大仕掛けもあるにはあるが、基本的にはいつもの「トリック」ワールド。そもそも細かな配役から設定に至るまで、できるかぎり“変えない”ことが本作の特徴なのだ。だからしてシリーズ第1弾から見続けているコアなトリックファンにはたまらないギミックが満載で実に楽しい(そのぶん、ビギナーにはやや敷居が高いかもしれないが)。物語の終盤には山田と上田の関係性の変化が示唆されるのも今までにない展開だった。そして、いわゆる次郎号=パブリカで2人が走り去り、俯瞰ショットにシフトするエンディングでは、いよいよ「完」の文字が!! とはいえ、ここでも右隅に“かも”とある。

シリーズ第1弾のスタート当初は弱冠20歳だった仲間由紀恵も今年で30歳。小娘キャラから三十路の負け犬キャラに変化した山田を主役にすえた新しいシリーズを早く見たい。いろいろと企画が目白押しでご多忙でしょうが、どうか「トリック」もお忘れなく。待ってますよ、堤さん。

映画に登場する車たち

トヨタ パブリカ(UP10)

トヨタ パブリカ(UP10)|映画の名車
上田教授の愛車はメドウ・グリーンの初代パブリカ。恩師・柏崎教授が通勤用に使っていたものを譲り受けたものだ。身長190cmの大男が窮屈そうに40年落ちの旧車を運転する様が印象的だ。パブリカは1961年に発表された4人乗りの大衆車(バブリックカー→パブリカ)。後のスターレットやヴィッツにつながるトヨタ・コンパクトカーのパイオニアである。このパブリカ=次郎号は記念すべきシリーズ第1話から登場し、峠で壮絶なカーチェイスを繰り広げるなど大活躍。一方でサイドミラーを破壊され、ドアは両側とも外れるなど、回を追うごとにボロボロになっていった。それでも最後の最後まで上田は手放さなかったのだから、相当愛着がわいているのだろう。いま見てもモダンで可愛いルックスである。気になった人は、下の検索窓に「トヨタ パブリカ」と入れて探してみてほしい。
 

Text/伊熊恒介