スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

スマートなカーチェイスが圧巻! ジェイソン・ステイサムの大人気シリーズ第1弾

トランスポーター|映画の名車
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DVD『トランスポーター』発売中!! 2002年・仏/米 製作:リュック・ベッソン、スティーブ・チャスマン 監督:ルイ・レテリエ、コリー・ユン 出演: ジェイスン・ステイサム、スー・チー、フランソワ・ベルレアン、マット・シュルツほか 発売:アスミック 販売:角川エンタテインメント 2,500(税込)
頭頂部の寂しい世界中の男性諸氏に夢と希望を与えてくれるジェイソン・ステイサム。以前に紹介した『ミニミニ大作戦』を筆頭に、さまざまな映画にイケメン然として堂々と登場、美女という美女がズキューンズキューンと撃ち抜かれていくのだからたまらない。今回紹介する『トランスポーター』でも、もちろんクールな立ち振る舞いで、ビビアン・スーに勝るとも劣らない人気を誇る台湾出身のアイドル女優、スー・チーをメロメロにしている。それでもちっとも嫌味じゃないのは、やっぱり…ね!!

日本では2003年に公開されたこの『トランスポーター』。タイトル通り主人公の職業は“運送者”だ。南仏の豪邸に住んでいる元特殊部隊員のフランク(ジェイソン・ステイサム)は、表向きは年金暮らしを装いながら、裏世界の運び屋を生業としている。ピカピカに磨き上げられた頭…じゃくなくて、1999年製の黒いBMW735を駆って、どんな荷物でも迅速かつ時間通りに目的地に運ぶことで、一目置かれた存在である。

面白いのは、フランクが厳守する3つのルール。「契約厳守」「名前は聞かない」「依頼品を開けない」。契約厳守は余計なトラブルに巻き込まれないため。後の2つは極力情報を入れないことで、身の安全を確保するためだ。ところがある日、フランクは自ら3つ目のルールを破ってしまう。タイヤ交換のために開けたトランクの中には、ウネウネと動くボストンバッグが。思わず中をのぞいてみると、手足をしばられたアジア系の若い女(スー・チー)が出てきた。この瞬間からフランクは予想外の災厄に次々と見舞われることになる…。

観る者に小難しいことを考えさせずにイッキに畳み込むアクションはまごうことなきリュック・ベッソン印。とくに序盤のカーチェイスが素晴らしい。超A級のドライビングテクニックをもつトランスポーターのフランクは、どんなに激しい運転をしてもスマートさにこだわるという設定のため、たとえポリスカーと壮絶なデッドヒートを繰り広げていても、車に極力キズをつけずに目的地までたどり着くのだ。これが実に新鮮で、目に楽しい。ハリウッドのように高級車を惜しげもなく爆破できる余力がないために生まれたアイデアの勝利である。

後半になると、特殊部隊員ってそこまでスーパーマンなのか…とツッコミを入れたくなるくらいフランクが無敵モードに突入するが、そこは、まぁ、この手のアクション映画のご愛嬌ということで。うだる暑さを吹き飛ばす爽快作として、オススメの1本だ。

映画に登場する車たち

BMW 7シリーズ 735i(E38)

ジェイソン・ステイサム演じるフランクの愛車は1999年製の黒い735i。高級セダンだが、乗り味はスポーティだ。普通、闇世界の運び屋といえば、足のつかないように車を乗り捨てるものだが、フランクはナンバープレートを毎回変えているだけで、いつも同じ車を使っている。当然のように735所有者として刑事のマークもついているが、カーチェイスを行った車とは思えないピカピカのボディを保っているため、スルーされている。
Text/伊熊恒介