スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

地球温暖化の恐怖をわかりやすく描いたパニックムービー

デイ・アフター・トゥモロー|映画の名車
(C)2007 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
DVD『デイ・アフター・トゥモロー』発売中! 2004年・米 監督:ローランド・エメリッヒ 出演:デニス・クエイド、ジェイク・ギレンホール、イアン・ホルム、エミー・ロッサムほか 販売元: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン ¥1,490(税込)
主要8カ国の首脳が参加して毎年開催されるサミットが、2008年7月7日から3日間にわたり北海道洞爺湖町で行われている。今年の主要議題は、「もはや一刻の猶予もない!! 」と叫ばれて久しい地球温暖化だ。この地球温暖化をいち早く取り上げ、エンターテインメントに昇華したのがローランド・エメリッヒ監督。2004年公開の『デイ・アフター・トゥモロー』は、地球温暖化により海流が急変し、猛烈な勢いで北半球に氷河期が訪れるというパニックムービーだ。

気候学者のジャック(デニス・クエイド)は、南極で大規模な氷棚のひび割れに遭遇した。地球温暖化による異常気象を察知したジャックはすぐさま帰国し、アメリカ政府を相手に警鐘を鳴らすも一笑に付される。しかし、確実に地球崩壊の足音は近づいていた。東京ではゴルフボール大のひょうが降り注ぎ、ロスでは何本もの巨大トルネードが猛威をふるう。ついには、加速度的に冷気が北半球を覆い始めた…。

劇中でもチラリと触れられているが、世界最大の温室効果ガス排出国であり、京都議定書にも締約していないアメリカが、地球温暖化で自国が滅びる映画を撮るとはなんとも皮肉な話だ(エメリッヒ監督はドイツ人だが)。ただし、全体を通してアメリカにネガティブな風情かといえばそうではなく、中盤以降は親子愛で落とし込み、「これからもみんなで頑張ろう」とポジティブにシメている。なんだかなぁ…という気もしないでもない。

100億以上の潤沢な予算で作られているだけあって、CGによるパニックシーンは圧巻。トルネードで飛ばされてくる車に吹き飛ばされるテレビレポーター、巨大な津波に飲みこまれるマンハッタン、瞬時に凍てつく自由の女神…どれもこれもが観る者のドギモを抜いてくれる。ただし肝心の「突然氷河期」に関しては、説得力が今ひとつ。これだけの異常気象が起こる兆候を、世界中の科学者が全員見過ごしていたとしたら困りモノだ。しかもジャックが異変に気づいた直後に、猛スピードで北半球全体が絶対零度の世界に突っ走るってのも、ご都合主義に満ちている。

このように大味極まりないのがエメリッヒ作品(『インディペンデンス・デイ』しかり、『GODZILLA』しかり)の特徴なのだが、一つだけ「小技が利いているな~」と感心したのが、デニス・クエイド扮するジャックの愛車がインサイトだったこと。日本が誇るハイブリッドカーをさりげなく登場させることで、ジャックが常日頃から環境問題に高い意識をもって、気候調査に従事していることが窺い知れるのだ。北米でバカ売れのプリウスにしないところがミソですな。

とにもかくにも「地球温暖化の恐怖をわかりやすく世界中の人々に伝える」という意味では、なかなかのデキ。地球温暖化の影響について懐疑的な諸兄もいるとは思うが、むやみやたらに大量消費していたものを削減、抑制することは決して悪いことではない。巨大な雹が降ってくる前に、一人ひとりが地球のためにできることを考えてみよう。

映画に登場する車たち

ホンダ インサイト

いち早く地球の異常を見抜いた気候学者ジャックの愛車は、ホンダ インサイト。エンジンを主動力として、モーターが走行状況に応じてアシストする「Honda IMA SYSTEM」を搭載し、世界最高水準の低燃費を目指した2シーターのハイブリッドカーだ。徹底して空気抵抗を低減するためのデザインが施され、後輪の一部がボディに隠れる独特のスタイリングとなっている。1999年に発売され、2006年に生産終了。前述の「Honda IMA SYSTEM」を使ったハイブリッドカーは、シビックハイブリッドに受け継がれている。劇中では、ニューヨークで行われる高校生クイズ大会に出場する息子のサム(ジェイク・ギレンホール)を、ジャックが送っていく際に登場した。
Text/伊熊恒介