▲販売が好調なダイハツの回転&昇降シート車。中でもタントウェルカムシートは前年比で約3倍、工場の生産能力のほぼ限界まで売れている。また衝突被害軽減ブレーキ機能を含む、安全装備のスマートアシストIIを装着する率は約90%と、標準車と比べて約10%高い" ▲販売が好調なダイハツの回転&昇降シート車。中でもタントウェルカムシートは前年比で約3倍、工場の生産能力のほぼ限界まで売れている。また衝突被害軽減ブレーキ機能を含む、安全装備のスマートアシストIIを装着する率は約90%と、標準車と比べて約10%高い

タントウェルカムシートは旧型の3倍売れている

ダイハツの福祉車両が売れている。中でも回転&昇降シート車の販売台数の伸びが顕著だ。タントは2013年に、ムーヴが2014年にそれぞれフルモデルチェンジしたが、「旧型と比べてタントは約3倍、ムーヴは約2倍の売れ行きです」とダイハツの太田さんはいう。

福祉施設からのニーズの高い車いす仕様車と比べ、個人ニーズの強い回転&昇降シート車。しかし車いす仕様車と比べると、認知度は低く、店頭で初めて回転&昇降シート車の存在を知ったという人もまだまだ多い。

それでも売れているのは、車の魅力はもちろんだが、同社の福祉車両が気軽に試せるフレンドシップショップの普及が影響しているようだ。

フレンドシップショップとは、ダイハツの福祉車両が展示されていて、購入のアドバイスを行える専門知識を持ったスタッフが常駐するダイハツディーラーのこと。「普通の車だけでなく、福祉車両も気軽に見ることができる」というディーラーがフレンドシップショップとして認定される。2013年12月からこの制度がスタートし、2015年5月時点で全国約680店舗中、114店舗になった。

さらに太田さんは「福祉車両の専門知識を持った、福祉車両取扱士の資格を持つスタッフが想定以上に急増しています」という。その数は約4600名。しかも、フレンドシップショップではない店舗でも、ほとんどの接客スタッフが取得し、メカニックなどにも有資格者が増えているそうだ。

▲ダイハツ営業本部特装車両室の太田吉彦室長。2016年度中にフレンドシップショップを全国500店に増やしたいという ▲ダイハツ営業本部特装車両室の太田吉彦室長。2016年度中にフレンドシップショップを全国500店に増やしたいという

約60%が親のために回転&昇降シート車を購入している

では、どんな人が回転&昇降シート車を購入しているのだろうか。同社がタントウェルカムシートやムーヴフロントシートリフトの購入者を対象にアンケートを行った結果、回答を得た人の約60%が親のために購入。また夫や妻のためという方も約25%いたという。

一方、介助される側の人は、要介護2~3が約30%と最も多いが、要介護5も約10%、介護が不要な人も約10%mいる。移動する際に車いすが必要な人も、そうでない人も、幅広い状況の方が利用しているそうだ。

回転&昇降シート車なら介助用に使わない時でも、普通のマイカーとして使いやすい。回転&昇降するシートは、他の席同様に誰でも使える。座り心地も他の席と変わらない。だからいつもは買い物や通勤などに使い、必要に応じて介助の必要な人を乗せることができる。いわば介助「兼用車」だ。

これらのメリットを、身近にあるフレンドシップショップで体感できることが、購入に繋がっているのだろう。先述のように、全国に気軽に福祉車両を試せるフレンドシップショップが増えている。もし家族の中で車に乗る際に足腰が痛くてつらそうな顔をする人がいるのであれば、一度近くのフレンドシップショップを訪れてみてはどうだろうか。

text/ぴえいる