▲意外にもNAロードスターに触れたことがなかったというBoseさん。26年目の初乗りに興奮気味! ▲意外にもNAロードスターに触れたことがなかったというBoseさん。26年目の初乗りに興奮気味!

若い子たちからはATのロードスターが人気だったことも

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMC、Bose。中古車情報誌『カーセンサー』にて彼がお届けする人気連載「Bosensor」。カーセンサー本誌で収録しきれなかったDEEPでUNDERGROUNDな話を編集部員ペリーと一緒にお届けっ!!

編集部ペリー(以下、ペリー):Boseさん! 今回は日本が世界に誇るオープン2シーターモデルのマツダ ロードスター。それも26年前にデビューした初代(NA)ロードスターを見に来ました。

Bose:おっ! 僕さ、この車もギリギリありだと思ってるのよ。やっぱここまでが楽しいんだよね、ゴルフは。

ペリー:こら! それはゴルフIIのカブリオ。車検で預かっているものだから触っちゃダメですって。今日は同じオープンでもロードスターなんですから!

Bose:ちょっとふざけただけじゃん。そんなにムキにならなくても……。NAロードスターといえば“ユーノス”ブランドから発売されたやつだよね。

ペリー:そうです。それまで世界的に“売れない車”の代名詞だったライトウェイトオープン2シーターに敢えて挑み、世界中で大ヒットしたモデルです。BMW Z3、メルセデス・ベンツ SLK、ポルシェ ボクスターなどマツダ ロードスターに追随するモデルが多数登場したのは有名スね。

Bose:このロードスターは友達がずっと乗っていて楽しそうだなって思っていたんだよね。でも自分では乗ったことがないんだ。新型のNDロードスターも出てきた今、ちょうどいい枯れ具合になったNAに敢えて乗るのはカッコいいよね。

下島社長:Boseさん、こんにちは。NAロードスターを見に来てくれたんですって? 嬉しいなあ。

Bose:(うっ、見るからに車好きの職人という雰囲気。乗ったことないなんて言ったらヤバいかもしれないな……)

ペリー:(でも、「嬉しいなあ」と言ってくれているし大丈夫じゃないスかね。下手に知ったかぶるとかえってまずい気がします)

Bose:(そうだね……)社長、はじめまして。実は最近、初代ロードスターがいい感じになってきているような気がしていて。今日はいろいろ教えてもらっていいですか?

下島社長:もちろんです。NAロードスターはおもしろい車ですよ。

Bose:(よかった。良い感じだ)この時代のロードスターのおもしろみってどこにあるんですか?

下島社長:感じ方は人それぞれですが、僕はバイクに乗っているような感覚で走らせられることだと思います。風を感じるっていうんですかね。同じ2シーターオープンでも、最新型や先代のNCロードスターだとちょっと違うんですよね。

Bose:最新のだとなんか違うっていう感覚、僕が思っているのと近いのかも。僕はゴルフが好きなんですが、最新のには興味がなくてゴルフIIとかに目が行っちゃうんですよね。

下島社長:かなり近い感覚だと思います。私もゴルフIII カブリオが好きですから。そこにあるのも私が好きだから店に並べて、私と同じ感覚のお客さんに買っていただいたやつです。BoseさんもきっとNAロードスター、好きだと思うな(笑)。

ペリー:ちなみにロードスターは今、ジャッキアップしている1台だけですか?

下島社長: いいえ、ストックはここではなく別の場所にあるんですよ。Boseさんも見ているだけじゃつまらないでしょう。そちらに行ってみませんか?

Bose:行きましょう! 楽しそうなものが近くにあるのに、我慢するのなんて嫌だよね(笑)。

▲お店のロードスターを見て、BoseさんのテンションUP!! 下島社長ともすぐ打ち解けました ▲お店のロードスターを見て、BoseさんのテンションUP!! 下島社長ともすぐ打ち解けました

NAとNBは互換性のある部品もけっこうあるので、NAは今でも乗りやすい

Bose:というわけでお店のヤードに案内してもらいました! いろんなロードスターがあるなあ。

ペリー: NAはもちろん、NBもありますね。あっ、見てくださいよ。ミラーやホイールまでノーマルのNAまでありますよ。

Bose:やっぱ20年以上前の車がたくさん並んでいる光景を見るとアガるよね。

下島社長:うちはロードスターの専門店ではないんですが、常時5~6台は在庫がありますね。やっぱり自分が好きな車に囲まれていると気持ちいいので(笑)。NAとNBは互換性のある部品もけっこうあるんです。NAが今でも乗りやすいのは、そういうところも影響していると思いますよ。たとえば幌。NAはリア部分がビニールなので何度も開け閉めしていると擦れて後ろが見えなくなってしまう。NBはガラス製なのでそれがないんです。だからNBの幌に交換している人も多いですね。

Bose:そういうのってマニアの間では常識でも、これから飛び込む人は知らないじゃない。だからこそ面倒がらずに教えてくれる先輩が必要なんだよね。社長はビギナーと話すのも面倒だと思わないでしょう? 見た目は近寄りがたい職人っぽいけれど、話すととてもフランクだから(笑)。

下島社長:面倒どころか、楽しいですよ。私が気付かないところに興味を持っている子なんかも来ますから。例えば……今は全部MTですが、うちは一時、ATのNAが多かったんです。なぜかというと20代の子がたくさん来てくれる時期があってね。彼らは免許がAT限定なんですよ。

Bose:そうなんだ!NAロードスターといえばMTっていうイメージだけれど、ATもあったんだね。

下島社長:もちろん予算的に新しいものに手が届かないというのもありますが、リトラクタブルライトがカッコいいと。クラシックな雰囲気で乗りたいという子たちも多かったので、インパネに木目を書いて渡したりもしています。

Bose:木目調じゃなくて社長の“絵”なんだ。スゲエ(笑)。

▲ロードスターの車内。Boseさんも「思ったより広い」と驚いていました ▲ロードスターの車内。Boseさんも「思ったより広い」と驚いていました

走り出しから楽しめる! MTを味わうには最高の1台だよ

ペリー:社長、せっかくだし試乗させてもらっていいですか? どれが乗れます?

下島社長:インテグラル神戸のマフラーが付いた黒いやつが車検が残っています。これで行きましょう。

Bose:へえ、ロードスターって思ったより車内が広いんだ。シート、かなり前まで出す感じ。うわっ! 走り出したら、いきなり気持ちいい!! これって何リッターですか?

下島社長:これは1600ccです。

Bose:それでこんなに速いんだ。でも街中だし全然スピードは出てない。速く感じるんだな。1.6Lでこれなら、NCの2Lとか、排気量がでかすぎるくらいなのかも。

下島社長:そうなんですよ。NA、NBともに1.8Lエンジンもあるのですが、私は1.6Lの方が楽しいと思います。

Bose:音もいいなあ。これで第三京浜とか走ったら最高だろうな。

下島社長:最高ですよ。私もあそこを走るのが好きで(笑)。

Bose:そうなんだ。僕、今は鎌倉に住んでいるからよく通るんです。鎌倉に住んでから距離を走るようになって、都内に住んでいたとき以上に車が楽しくて仕方ない。それからスピードが出てないのにいきなり楽しい車が気になって仕方ないの。

下島社長:鎌倉あたりだと道が狭いからこれくらいのサイズ感がいいですよね。鎌倉とロードスターは鉄板でハマります! 私が保証しますよ。朝比奈あたりの山道なんか最高ですね。実は私、鎌倉にあるキャラウェイっていうカレー屋さんが大好きで、NAロードスターでしょっちゅう行っているんです(笑)。

Bose:うわ、マジすか! そこ、僕も行くし(笑)。でも実際に走っている人が言うんだから間違いない情報だよ。

下島社長:たぶんBoseさんも同じだと思うんですが、車ってパワーがあるのもいいけれど、小さなエンジンを思い切り回してあげるのが面白いんですよね。ロードスターはそういう使い方にピッタリ。

Bose:もちろん奥さんと子供が乗れる車も必要だけれど、それは1台あるので、こういう走って楽しい車があると僕が東京に“通勤”する時間が楽しくなるなって。やっぱこれはマフラーがだいぶいい感じですね。

下島社長:後はマキシムワークスのタコ足が入っています。当時人気のあった仕様ですね。

Bose:すごく運転しやすいし、音もいい。マニュアルを楽しむという上では最高の1台だなあ。

ペリー:あっ、Boseさんたち帰ってきた。どうでした、初めてのロードスターは。

Bose:最高だね。走り出していきなり気持ちいいんだから。それにいろいろ分かったよ。あと、社長はカレーが好き(笑)。

ペリー:へ? なんスか、それ。

Bose:いいのいいの(笑)。次回はそんな下島社長とロードスターをはじめ、いろんな車について語り合うのでお楽しみに!

▲ロードスターを試乗するBoseさんと下島社長。そんなにスピードが出ていなくても気持ちいい!! ▲ロードスターを試乗するBoseさんと下島社長。そんなにスピードが出ていなくても気持ちいい!!
text/高橋満(BRIDGE MAN) photo/篠原晃一