車社会の変化が加速しています。今週の車ニュース斜め読みは、その変化に取り残されないためのニュースに注目しました。では、早速いってみましょう。

インフラ

■スマートフォンを利用してドライバー特性を解析!?(日本経済新聞発|8月5日)

『産業革新機構は4日までに、自動車の走行データから運転者の特性を分析するベンチャー企業、スマートドライブ(東京・渋谷)に6億6千万円を出資した。同社は走行分析機器から得た運転者の情報を保険会社に提供して利益を得る事業モデルが強み。社外取締役も派遣し、成長を後押しする』

アナタは常にクールな冷静沈着型ドライバーなのか? なにかをキッカケにして熱くなる劇場(激情)型ドライバーなのか? そのような定義付けがアナタの知らない間に行われることになるのかもしれません。

スマートドライブ社が開発したシステムは、車に搭載されている「ODB-II」ポートから運転状況を読み出し、スマートフォンとアプリを介してデータを送信することで、ドライバーがどのような運転をしているのか解析できてしまうものです。

ODB-IIとは世界標準規格のポートで、速度やエンジン回転数、不具合発生時の各種エラーなど、約150種類の関連情報を車から読み取れるもので、主に自動車の整備などに活用されています。

今回の仕組みが発展することで、安全運転を心がけるドライバーは保険料が引き下げられたり、もちろん逆に引き上げられたりすることもありえます。

今から安全運転に磨きをかけ、模範的なセーフティドライバーになっておくと、お得なことがありそうです……。

▲近い将来、常にドライビングの習慣が監視されることになるのかもしれません。常に朗らか、かつ安全に運転できる「優良」ドライバーになりたいものです ▲近い将来、常にドライビングの習慣が監視されることになるのかもしれません。常に朗らか、かつ安全に運転できる「優良」ドライバーになりたいものです

テクノロジー

■曲面タッチパネルが車の内装をもっと自由にする!? (日刊工業新聞発|8月6日)

『パナソニックは車載用「静電容量方式曲面タッチパネル=イメージ」を開発し、今秋から量産する。運転席まわりのデザインやカーナビなどの操作性を高めたい自動車メーカーのニーズに応える。デザインの自由度向上、手袋で操作可能な高感度と位置精度、高い視認性・耐久性を兼ね備えたのが特徴。国内外の複数社から引き合いがあり、2015-2016年の日本メーカー新型車から供給する』
 
一部のスマートフォンなどで実用化されていた曲面タッチパネルが市販車へ搭載されることになりそうです。記事によりますと、樹脂製カバーパネルと高感度フィルムセンサーを一体型して開発し、5-16インチの画面サイズで曲率半径250mmまで可能にしているとのこと。カーナビはもちろん、インストルメントパネルやセンターコンソールへの採用も想定されています。

車載モニターサイズは大型化する傾向にあります。四角い平面がインパネの中央に鎮座するのですから、インテリアデザインは制約を受けていることは否定できません。この曲面によって、かつてなかった造形美のインパネが誕生するかもしれません。期待しましょう。

▲パナソニックが発表した樹脂製カバーパネルと高感度フィルムセンサー一体型の曲面タッチパネル。スイッチ類を実装できる穴あき成形も可能とのこと ▲パナソニックが発表した樹脂製カバーパネルと高感度フィルムセンサー一体型の曲面タッチパネル。スイッチ類を実装できる穴あき成形も可能とのこと

インフラ

■スマートフォンの次はスマートカーの時代(日本経済新聞発|8月5日)

『総務省は電波を利用した自動車の安全運転支援システムをつくるためのセキュリティー指針を公表した。自動車メーカーなどは車同士で通信する機器を搭載することで、衝突事故などを回避しやすくする自動車の開発を進めている。システムの安全性を確保するためにルールづくりの面から後押しする』

あらゆるものがインターネットで繋がることを、かつてはユビキタス社会と言っていました。最近ではIoT(インターネット・オブ・シングス)と呼ばれることが多いようです。

車も例外ではなく、インターネットでデータセンターなどと繋がることになるのに加え、車と車、車と道路などのインフラも繋がることになります。こういった仕組みに対応している車のことをスマートカーと呼ぶことになりそうです。

そのメリットのひとつは、見通しの悪い交差点でも、他車が近づいてきていることがあらかじめわかる……といったことなどが挙げられます。しかし、自動車メーカーごとに異なる接続方法を採用してしまったり、その接続にセキュリティー上の問題があったりしては混乱を招くことになります。

そこで、来たるべきスマートカー時代に備えて、通信や接続方法などにルールを策定しようというニュースです。

▲スマートカーの一例として紹介されるグーグルの自動運転車。従来どおりドライバーが操る車と、自動運転車との間に交わされる相互通信は、より安全な交通社会に欠かせない鍵となりそうです ▲スマートカーの一例として紹介されるグーグルの自動運転車。従来どおりドライバーが操る車と、自動運転車との間に交わされる相互通信は、より安全な交通社会に欠かせない鍵となりそうです

サービス

■どこでもタクシー? コンビニがもっと便利になる(CNET Japan発|8月5日)

『NTTドコモとファミリーマート、金沢市の大和タクシーは8月5日、コンビニエンスストアがタクシー乗り場となる配車サービスを、8月7日から石川県内のファミリーマート42店舗で開始すると発表した。地方のバス・鉄道路線の廃止、縮小や高齢化社会によるドライバー人口の減少などを受け実施することになったという』

またひとつ車社会が便利になりそうです。石川県内のファミリーマート42ヵ所に設置される専用電話(ドコモの通信モジュールを搭載、通話料無料)の受話器を上げるだけで、タクシーの配車依頼ができるようになるとのこと。

すでに、2012年4月から9月にかけて、広島県福山市内のファミリーマート17店舗にて実証実験が行われ、2013年8月からは福岡市内のファミリーマート31店舗、2014年9月からは北九州市内のファミリーマート28店舗でサービスを開始してきた実績があります(それぞれ異なるタクシー会社と提携)。

つまりコンビニエンスストアがタクシー乗り場になるようなもの。このサービス以外にもコンビニエンスストアがEVの急速充電器を設置していたり、車とコンビニの関係はますます深まる予感がしますね。

▲コンビニに設置された専用電話の受話器を持ち上げると、配車センターへ自動的につながります。従来以上にタクシーが利用しやすくなりそうです ▲コンビニに設置された専用電話の受話器を持ち上げると、配車センターへ自動的につながります。従来以上にタクシーが利用しやすくなりそうです

まとめ

自動車の運転とは、とてもプライベートな行いだと思っていたのですが、来たるべきスマートカー時代においては「いつ、どこで、どのように?」などが常に白日のもとにさらされるようになるのかもしれません。それは窮屈なことなのかもしれませんが、集められたデータを有効利用することで、車社会全体がアップグレードされることになるのなら協力せざるをえませんよね。もちろん悪用される(ハッキングされる)可能性だけでなく、企業や官公庁による利用がどこまで許されるのかも気になります。注視していきましょう。

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

text/ブンタ
photo/graaab、パナソニック、google、ファミリーマート