環境性能も経済性も大切ですが、エコだけが車の魅力ではありません。走ってこその車。高い運動性能をギュッと詰め込んだスポーツカーに人気上昇の兆しがあります。例えば、ホンダ S660は今から発注しても年内納車が難しいほどの人気ぶり。このトレンドが加速すれば、スポーツカー時代が一気にやってくる可能性もあるのです。

ニューモデル

■マクラーレンのエントリーモデルはまるで格が違う(carview発|6月4日)

『2015年6月3日、マクラーレンはスポーツシリーズのマクラーレン570Sと540Cを日本国内にて正式発表した。2015年4月のニューヨークショーで発表された570S、上海モーターショーで発表された540Cは、ともに新たに設定されたマクラーレンのスポーツシリーズを構成するモデル。スーパーカーよりも多くのユーザーをターゲットとした、スポーツカーのエントリーグレードとなる』

マクラーレンといえば「憧れの……」というより「雲上の……と」いう形容さえしっくりくるブランドですが、ついにエントリーモデルをリリースしました。

エントリーモデルとはいってもカーボン製のボディシェルにアルミを組み合わせた骨格や、V8のツインターボエンジンをミッドシップにするなど、技術構成は上位のスーパーシリーズと同じ。

そのお値段は540馬力の540Cは2188万円、570馬力の570Sは2556万円。「リーズナブルです」や「よりお求めやすくなった」などと口が裂けても言えませんが、ひとまずワクワクするのは無料、いえプライスレスですからね。

▲上位の650Sなどはスーパーシリーズと呼ばれるのに対して、スポーツシリーズの第1弾として発表された570S ▲上位の650Sなどはスーパーシリーズと呼ばれるのに対して、スポーツシリーズの第1弾として発表された570S
▲最も「お安い」540C。ちなみに価格は、あくまで2188万円スタート。オプションを選ぶとお値段も加速します ▲最も「お安い」540C。ちなみに価格は、あくまで2188万円スタート。オプションを選ぶとお値段も加速します

スクープ

■ついにスープラが来たる!?(autoblog発|6月3日)

『ファンサイト「SupraMKV.com」の管理人は、米国特許商標庁の公式サイトにおいて、トヨタが“S-FR”を車やパーツなどに使われる名称として商標登録したことを発見した』

次のスープラは「S-FR」と呼ばれるかもしれないという憶測が広まっているようです。名称のスタイルからすればトヨタブランドではなく、LEXUSブランドでの登場となるのでしょうか。

F1から撤退してしまったとはいえ、トヨタはスポーツカー文化の醸成に熱心です。例えば「86(ハチロク)」のリリースにあたっては、アフターパーツメーカーに車両データを開示する仕組みや、オーナーイベント、ノベルティグッズのための数々のコラボレーションなど、斬新な取り組みに積極的です。

そのトヨタが打つ次なる(?)一手がスープラなのであれば、その盛り上げ方、スポーツカームーブメントの作り方にも注目したいところです。

▲写真はカリフォルニアにあるトヨタのデザイン研究所が手がけたコンセプトカー、トヨタFT-1のもの。次期スープラと目されています ▲写真はカリフォルニアにあるトヨタのデザイン研究所が手がけたコンセプトカー、トヨタFT-1のもの。次期スープラと目されています

業界

■TVR、復活のノロシ(TVR発|6月3日)

『英国のスポーツカーブランド、TVRが雄叫びを上げて戻ってくる。コスワースによる新作エンジンを載せるだけでなく、F1のデザイナーとしても知られるゴードン・マレーも開発に加わる』

スポーツカーの名門、TVRが本格的に復活するにあたって、待望の新型車について以下のように説明しています。

「あらゆる面において英国式であること、TVRの伝統やDNAを確かに受け継いでいること。そしてV8エンジンを積んだFRであり、クーペとコンバーチブルを用意。思わず息を呑むほどのルックスと性能にもかかわらず、超絶のコストパフォーマンス……」

これが本当であれば、TVRがスポーツカームーブメントの一翼を担うことになっても不思議はありません。コンセプトカーをまだ見ることはかないませんが、期待して良いのではないでしょうか。

▲右がF1マシンやマクラーレンのロードゴーイングレーシングカーなどを手がけてきたゴードン・マレーさん。その手腕には定評があります ▲右がF1マシンやマクラーレンのロードゴーイングレーシングカーなどを手がけてきたゴードン・マレーさん。その手腕には定評があります

チューニング&モディファイ

■EVスポーツが唸りを上げる(livedoor発|6月3日)

『電子楽器メーカーの「ローランド」が、京都大学由縁のEVベンチャー「GLM」とのコラボにより、EVスポーツカー用のサウンド・システムを開発したと発表しました。~(略)~従来になかった近未来的でアクティブなサウンドを車内ステレオ・スピーカーから大迫力でアウトプットすることで、EVスポーツカーの魅力を飛躍的に高めた』

EVのスポーツカーにとって、アタマの痛い問題がサウンド。ドラマティックなエキゾーストサウンドがないため、スポーツカーとしての迫力に欠けると言われることがあります。GLMがリリースしたトミーカイラZZも同じ悩みを抱えていたのでしょう。

そこで手を差し伸べたのが音のプロフェッショナルであるローランド。同ブランドのシンセサイザー技術を使い、加減速や坂道などモーター負荷に合わせて、ダイナミックに変化する走行音をドライバーへ聴かせることに成功。

実は、ガソリン車でも車内のスピーカーで排気音を鳴らし、実際の排気音と合成させてドライバーに聴かせている車も実在します。

スポーツカーにとって、それほどサウンドチューニングが重要視されているということ。EVのサウンドチューニングがスポーツカーの新しい地平線を切り拓いてくれるかもしれません。耳を澄まして待ちましょう。

▲国産初の量産EVピュアスポーツカーのトミーカイラZZ。99台の限定生産 ▲国産初の量産EVピュアスポーツカーのトミーカイラZZ。99台の限定生産
▲これが本体ユニット。サウンドタイプを数種類用意しており、好みによって選択できるようになっているとのこと ▲これが本体ユニット。サウンドタイプを数種類用意しており、好みによって選択できるようになっているとのこと

まとめ

欧州を中心に、スポーツカーやクラシックカーの相場が高騰していると言われています。古いものの価値を認めて、シッカリと温存していくための環境も整っています。このような分野においても自動車先進国でありたいものですね。

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

text/ブンタ photo/マクラーレン、トヨタ、TVR、ローランド