▲「程度の良いキャデラック エルドラドだなぁ」とウットリするような車ですが…… ▲「程度の良いキャデラック エルドラドだなぁ」とウットリするような車ですが……

いくら程度がよくても2000万円オーバー!? いったいなぜと思っていたら……

アメリカの大手インターネットオークションサイト「eBay」を眺めていたら、珍しい車に出くわしました。「トパーズ・ファイアーミスト」と呼ばれる金色の1968年式キャデラック エルドラドです。

走行距離は、たったの1万6339マイル(約2万6000km)。やっぱりアメ車の古いのはアメリカで探すに限るよなぁ……、なんて考えながら「Buy it now(即決価格)」を見てビックリ!

イチ、ジュウ、ヒャク……。思わず数えてしまいました。まさかの22万9900ドル(日本円換算約2300万円)!確かに金色のエルドラドは151台しか生産されていないレアな車。1968年式ながらエアコン、パワーウィンドウ、パワーシート、集中ドアロックを完備している高級車です。とはいえ、この値段は……。

そう思ってエルドラドの画像をまじまじと見ると、フロントフェンダーに穴が開いているではありませんか!?

▲なんでも元オーナーが、エンジンがかからずイライラして携帯していた拳銃で愛車めがけてぶっ放したとか…… ▲なんでも元オーナーが、エンジンがかからずイライラして携帯していた拳銃で愛車めがけてぶっ放したとか……

はい、ここでピンと来たアナタは相当なアメ車通かロック・ファンです(笑)。そう、この車両、あのエルヴィス・プレスリーがひと目惚れして買ったエルドラドなんです!

▲車両の歴史を解説する録音・再生機能が付いた等身大のエルヴィス像、新車時の車検証コピーもセット販売 ▲車両の歴史を解説する録音・再生機能が付いた等身大のエルヴィス像、新車時の車検証コピーもセット販売

当該車両、「King Of Rock'n Roll」らしい(?)ロックな逸話付き

前述の銃痕は、ある日、エルドラドのエンジンがかからずイライラしたエルヴィスが拳銃を取り出し、エルドラドめがけて撃った穴です。

ちなみに、エルヴィスは結構な癇癪持ちとしても有名で、エルドラドのほかにもデトマソ パンテーラにいたっては、車の鍵がささっておらず(自宅駐車場では鍵を差しっ放しにするのがルール)、それでスグにエンジンをスタートできず、車内で発砲したエピソードも残っています。

エルドラドに話を戻しましょう。これは、愛娘が生まれた1968年2月までエルヴィス自身がステアリングを握っていた車で、程なく嫁(のちに離婚)の継父にエルヴィスがプレゼントしたものです。その後、オーストラリアに輸出され、エルヴィス・プレスリー展に数年飾られた後、オーストラリアのクイーンズランド州にある「メンフィス・ロックカフェ博物館」で展示されてきました。その後、複数のオーナーを経てアメリカへ凱旋帰国。そして、今回の販売と相成ったそうです。

現在はeBayで出品されており、現地時間で7月27日昼過ぎまでオークションが開催されています(日本時間では7月28日早朝)。そして、万が一買い手が付かなかった場合でも「Daniel Schmitt & Co.」というクラシックカー販売店で購入できるとのこと。興味がある方は、ぜひこの“伝説”の車の行く末を見守ってみてはいかかがでしょう?

text/古賀貴司(自動車王国)