▲33年ぶりに戻ってきた愛車を前に「GMさんも粋なことしてくれるぜっ!」とご満悦のジョージさん ▲33年ぶりに戻ってきた愛車を前に「GMさんも粋なことしてくれるぜっ!」とご満悦のジョージさん

ミシシッピ州からデトロイトまでGMが搬送…の太っ腹

10年ひと昔とは言いますが、昔々の3昔くらい前に盗まれた車が奇跡的に発見され、なんとメーカーも巻き込んでの一大オーナー返還イベントに…という、なんとも車が大好きなアメリカ人らしいビッグな話題がデトロイトから届きました。

アメリカはミシガン州デトロイトに暮らすジョージ・タリー(George Talley)さん(71)が、愛車のシボレー コルベット(1979年型)を盗まれてしまったのは1981年のこと。そのコルベットが33年も経ったこの6月にミシシッピ州で発見された…って、もうそれだけでビックリなこのニュース。

もちろん、オーナーのジョージさん、盗難届はすぐに出したそう。でも、そう簡単に還ってくるモノではないのがこの手の盗難事件の常。まして舞台が広大なアメリカともなれば、これはもう仕方ないでしょ、の泣き寝入り状態。そんなコルベットとの思い出も薄れかけたある日、ミシシッピ州警察から入った突然の朗報に、ジョージさんも狂喜乱舞したそうです。

さてさて、見つかったは良いが、発見場所のミシシッピ州からジョージさんの住むミシガン州までは、ゆうに1,250キロもの距離があります。御年71歳のご隠居さんでなくても、見つかったから取りにおいでよ♪ レベルの距離じゃないわけです。ジョージさんも、さて、どうしたもんか…と困り果てているところへ、この奇跡のニュースを聞きつけた救世主が現れたのです。

その救世主とは、シボレー コルベットの製造元でもある天下のゼネラル・モータース、GM副社長のマーク・ロイス(Mark Reuss)氏。自身も古くからのコルベットファンであるロイス氏は、この話をラジオで聞き、すぐにこのコルベットの搬送をジョージさんに申し出た…という次第。

そして、さらにこのコルベットのレストアまでも引き受けたということで、あれよあれよという間に「コルベット好きはみんな仲間だぜ、そうだろ? ブラザー!」的展開となったようです。

▲ジョージさんへのコルベット返還イベント ▲ジョージさんへのコルベット返還イベント

ロイス氏は、「私も長い間コルベットに乗っていますが、コイツには我々ファンを搔き立てる特別なパッションを感じます。今回の話を聞き、コルベットは戻るべき場所に戻るべきだと思ったのです」という粋なコメントを残しています。

▲愛車コルベットと33年ぶりの対面を果たすジョージさん ▲愛車コルベットと33年ぶりの対面を果たすジョージさん

▲喜びすぎてまるで子供のようにはしゃぐジョージさん ▲喜びすぎてまるで子供のようにはしゃぐジョージさん

▲「ありがとう! このコルベットを一生大切に乗ることにしたよ!」とジョージさん ▲「ありがとう! このコルベットを一生大切に乗ることにしたよ!」とジョージさん

盗まれた車が、コルベットじゃなかったら、当然この展開はなかったことでしょう。古くても人々に長~く深~く愛されている名車ならではのエピソードですね! それにしても、型が古いというだけで自動車税を割り増しするどこかの自動車大国とは大違い(汗)。車文化の奥深さを見せつけられる、そんな美談じゃありませんか?

text/内藤知己(graaab)