ホンダの航空機事業子会社「ホンダ エアクラフト カンパニー」が2014年5月にスイスのジュネーブで行われたビジネス航空ショー「ヨーロピアン ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(EBACE2014)」にて、ビジネスジェット機「HondaJet」量産1号機を初公開した。

ホンダは車とバイクのみならず発電機、芝刈り機、除雪機、船外機(ボート用エンジン)など、動力の技術を生かした多くの製品を製造しているが、1986年に研究開発がスタートした航空機もついにラインナップに加わることとなった。

公開された機体はパールグリーンにメタリックゴールドのストライプ塗装が施されている。ほかにシルバー、赤、黄色、青の全5色展開となる。

搭載されるエンジンはホンダとゼネラル・エレクトリック社(GE)が折半出資した合弁会社「GE Honda エアロ エンジンズ」製の量産型ターボファンエンジン「HF120」。このエンジンは低燃費、耐久性、低騒音、低エミッションを兼ね備え、今後のスタンダードとなるものだという。

今後、地上での機能試験を行い、2014年夏には初飛行を予定。現在は生産工場にて9機の組み立てが進んでいる。2014年6月には10機目が加わり量産体制が本格化してゆく。開発責任者でもある藤野道格社長は「我々にとって最も重要なことは2015年1月~3月にFAAの型式証明を取得し、HondaJetのデリバリーを開始することです。このマイルストーンに向けて全力を尽くしています」と語っている。

ホンダ エアクラフト カンパニーのホームページには、「Honda の長年にわたる夢」という言葉が書かれている。本田技研工業の創業者である故・本田宗一郎氏にとって飛行機の製造は長年の夢だったという。その意思を受け継いだエンジニアたちが実現したホンダ製ジェット機の量産化を、本田宗一郎氏は雲の上から笑顔で祝福しているはずだ。

フライングシビックとも呼ばれるHondaJet量産1号機。ジェットエンジンが主翼の上部に設置されているのが大きな特徴だ

フライングシビックとも呼ばれるHondaJet量産1号機。ジェットエンジンが主翼の上部に設置されているのが大きな特徴だ

HondaJetのパイロットトレーニング用フルモーション・レベルD・フライトシミュレーター。トレーニングは2014年後半から開始予定

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