今回のテーマ

-アナタが標準化してほしい装備は何ですか?-

7月30日にFMCを行ったイストから「サステイナブルモビリティ」を目指して
トヨタはサイドエアバッグとカーテンシールドエアバッグを全車標準装備することを発表
安全装備や快適装備などユーザーによって欲しい!と思う装備は様々だが
多くの車に触れる機会のあるライターさんに今、標準化してほしい装備を聞いてみました
石川真禧照

2001年にボルボが発表した透き通った
Aピラーの車は早く実現してほしい


石川真禧照さん●自動車生活探検家
●いしかわ まきてる
自動車を生活の道具としての観点からとらえる評論が得意のライター
本誌の企画段階から携わり、創刊以来寄稿を続けている

 標準化してほしい装備の多くは安全や環境に関してのもの。でも大半は電子制御系なので、その標準化は時間の問題というのが多いのが現実だ。コスト面での折り合いがつけばアッという間に普及するはずだ。
 もっと車の基本的な部分での安全性に関しての実用化ということを考えてみた。皆さんは交差点を曲がるときにAピラー(フロントウインドウとドアの間のピラー)が死角になり、歩行者に気づかずヒヤッとしたことはないだろうか。Aピラーがなければ、死角はなくなる。ボルボは2001年にSCC(セーフティ・コンセプトカー)というのを発表したが、この車のAピラーは補強材が入っていたが、透き通っていた。海外のモーターショーに参考出品され、公開されて数カ月後に、スペインでこの安全実験車に乗る機会があったのだ。

 車自体は今思えばつい最近、日本でも発売されたC30のプロトタイプだったが、注目は装備ではなく、そのAピラーだった。運転席に座り、走り出すと、Aピラーから外の風景が見える。とくに右、左折するときにでもナナメ前方に死角がまったくない。これがどれほど運転するのにラクなことか、身をもって体験したのだ。この技術が実用化されれば、歩行者と車の接触事故はかなり減るに違いない。ぜひとも早く実用化してほしい、とそのときボルボの技術者に訴えたのだ。
 しかし、あれから6年を経過したが、まだボルボからそういう車は出てこない。それどころか世界中の自動車メーカーも実用化していない。おそらく、Aピラーにかかる力の大きさや、剛性に問題があるのだろう。しかし、実験車とはいえ、走る状態の車まで作ったのだから、なんとか実用化してほしいと願っている。