▲今年、39回目を迎えたバンコクモーターショーには海外ブランドも数多く出展していました。ここでいう海外ブランドとは、日本から見た海外ブランドという意味。こちらはメルセデス・ベンツのブースで、ロボットのようなコスチュームとめくるめく照明で、華やかなショーを演出していた。このパフォーマンスは電動化とコネクティビティを象徴したものだったのかもしれない ▲今年、39回目を迎えたバンコクモーターショーには海外ブランドも数多く出展していた。ここでいう海外ブランドとは、日本から見た海外ブランドという意味。こちらはメルセデス・ベンツのブースで、ロボットのようなコスチュームとめくるめく照明で、華やかなショーを演出していた。このパフォーマンスは電動化とコネクティビティを象徴したものだったのかもしれない

パフォーマンスを競い合うドイツ勢。日本ではあまり見かけないメーカーも出展

タイの人たちにとって日本車はすごく身近なもので、私たち日本人が国産車に持っている感覚と同じような目線でつきあっています。

タクシーがカローラだったり、日本製のピックアップトラックが一般的だったりすることが大きな理由でしょう。

なので現地の人の海外ブランドを見る目も、日本人と同様です。今回のショーでは、どのような海外の自動車メーカーが出展していたのか、その様子をレポートしていきます。

派手なパフォーマンスで知られるのがメルセデス・ベンツとBMW。このドイツの2強は競うようにしてステージパフォーマンスを行うことで知られています。

メルセデス・ベンツは、E200クーペとCLS300dの右ハンドル仕様を発表しました。なかでもCLS300dは1950ccの4気筒ディーゼルツインターボで、最高出力は245hp、最大トルクは500N・mと強力なエンジンを積むモデルとなります。

▲ディーゼルでパワフルなエンジンを積むCLS300d ▲ディーゼルでパワフルなエンジンを積むCLS300d

BMWは今年、SUVのX2の導入を日本でも予定していますが、それに先駆けてバンコクモーターショーでX2の右ハンドル仕様車が発表されました。

バンコクモーターショーは、右ハンドル仕様のモデルがワールドプレミアされることが多いショーです。

日本では左ハンドル車も普通に乗れますが、タイは古い車などの場合を除き基本的に左ハンドルは禁止されていますので、右ハンドル仕様のワールドプレミアも多いのです。

▲SUV人気の高いタイでワールドプレミアされたBMW X2の人気は非常に高く、ステージ上の展示車には、つねに人がいるような状態。細かい部分までチェックする人が多かった ▲SUV人気の高いタイでワールドプレミアされたBMW X2の人気は非常に高く、ステージ上の展示車には、つねに人がいるような状態。細かい部分までチェックする人が多かった

アメリカ勢では、フォードとシボレーが目立つ存在でした。

フォードは、55万9000バーツ(約190万円)から設定されているミドルクラスのピックアップトラック、レンジャーの右ハンドル仕様や、SUVのエベレスト(138万9000バーツ・約480万円)なども展示しました。

シボレーは、いすゞ D-MAXと兄弟関係にあるピックアップトラックのコロラド(102万8000バーツ・約350万円)を展示しました。

タイの人々にとっても、アメリカのピックアップは本物というイメージが強く、ブランドとしてもしっかりした地位を築いています。

▲フォードのレンジャーは数多くのモデルが用意されている。アメリカ仕様では、10速ATが用意されることになっているが、タイの現行モデルは6速のMTかATとなる ▲フォードのレンジャーは数多くのモデルが用意されている。アメリカ仕様では、10速ATが用意されることになっているが、タイの現行モデルは6速のMTかATとなる
▲エベレストはT6(実質上のレンジャー)をベースとしたSUV。トラックベースでもSUVになると、タイではとたんに高級志向になり価格もアップする ▲エベレストはT6(実質上のレンジャー)をベースとしたSUV。トラックベースでもSUVになると、タイではとたんに高級志向になり価格もアップする
▲シボレー コロラドは、いすゞ D-MAXとプラットフォームを共有するモデル。横桟グリルやボウタイエンブレムがいかにもアメリカンな雰囲気を強調している ▲シボレー コロラドは、いすゞ D-MAXとプラットフォームを共有するモデル。横桟グリルやボウタイエンブレムがいかにもアメリカンな雰囲気を強調している

日本では見かけないものの、世界では勢力を伸ばしているのがヒュンダイや起亜といった韓国メーカーです。

ヒュンダイは、4列シートのLクラスミニバンのH-1を多数展示しました。ハイエースなどもそうなのですが、タイでは多人数乗車ができるようにミニバンも3列よりも4列の方が主流です。

H-1の価格は128万9000バーツ(約440万円)からと、ピックアップトラックなどと比べると少し高めですが、多人数乗車のモデルは送迎やタクシーなどのビジネスに使われる車ですので、リーズナブルとなるわけです。

一方の起亜は、スティンガーというマッシブなデザインのセダンを展示しました。

3.3LのV6エンジンは370馬力とパワフルで、スタイリング、ポテンシャルともに欧州での評価は非常に高く、注目を集めています。

▲大きめのグリルが与えらているものの、日本のミニバンに比べるとおとなしい顔付きで、圧迫感が少ない雰囲気を持っているヒュンダイ H-1 ▲大きめのグリルが与えらているものの、日本のミニバンに比べるとおとなしい顔付きで、圧迫感が少ない雰囲気を持っているヒュンダイ H-1
▲実車を見るとその迫力に圧倒される起亜のスティンガー。アメリカンマッスルカーの雰囲気とヨーロピアンチューニングカーのきめ細かさが共存している ▲実車を見るとその迫力に圧倒される起亜のスティンガー。アメリカンマッスルカーの雰囲気とヨーロピアンチューニングカーのきめ細かさが共存している

東南アジアのショーで忘れてはならないのが、これなんだっけ? どこかで見たぞ? という車です。

今回それを感じたのがMGです。元々はイギリスのブランドですが、現在は中国資本となっています。

とくに気になったのがSUVのZS。最初に見たときはCX-5の兄弟車かノックダウンモデルかと思ったほどでした。

まねされるということは、それだけ日本車が認められているということですが、ちょっと首をかしげてしまいました。

価格は67万9000バーツ(約230万円)からという設定となっています。MGはリーズナブルなモデルが多いので、バンコク市内でもよく見かけます。

▲CX-5と見間違ってしまったMG ZS。1.5L直4と小さめのエンジンが搭載されている ▲CX-5と見間違ってしまったMG ZS。1.5L直4と小さめのエンジンが搭載されている
text&photo/諸星陽一