部品メーカーに聞いた「これからの課題」

一般的に、車は3万点以上の部品で構成されている。なかでもパワートレイン関連部品は、それだけで約1万5000点に上る。

しかし、電気自動車になると部品は3000点ほどに減ると言われている。既存部品メーカーは生き残りをかけた戦いが、近い将来待ち受けている。

東京モーターショーは消滅するのか? ~部品メーカー直撃編2~|日刊カーセンサー

ガソリンやディーゼルなど内燃式エンジンの効率化が当面の目標ではあるものの、すでに次世代動力源に対する部品の開発競争は激しいものになっている

PICK UP PARTS SUPPLIER
アイシン化工|日刊カーセンサー

アイシン化工

ACテロコア1811という補強充填材を展示していた。
これを使えば、車体の軽量化が図れる

日立オートモーティブシステムズ|日刊カーセンサー

日立オートモーティブ
システムズ
ハイブリッド用のインバーターや、エンジンマネージメントシステムで強みをもつメーカー

日本特殊陶業|日刊カーセンサー

日本特殊陶業

スパークプラグに用いるセラミック技術を活用し、水素製造モジュール開発に取り組んでいる

NHKニッパツ|日刊カーセンサー

NHKニッパツ

高周波振動伝達を防ぐ「とつばね」が発表されていたマウント類として今後、普及しそう

しばらくは、ガソリンやディーゼルエンジンの効率化が図られるが…

今回の東京モーターショーで確実に言えることは自動車の長期展望、すなわちエコである。車はハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、そして燃料電池車へと姿を移していくのは間違いない。

この大きな流れによって自動車メーカーはもちろん、部品メーカーにも、大変革が迫られている。電気自動車が必要とする部品点数は、一般的に少なくなると言われている。内燃式エンジンの部品を流用するものもあるだろうし、まったく新しい部品の開発も求められるだろう。

しかし、だからといって内燃式エンジンが絶滅するわけでもない。電気自動車はたしかにエコだが、リチウムイオンがまだまだ高値。改善されつつあるとはいえ航続距離の短さ、充電に必要なインフラ整備の確保などハードルは残されている。家庭で充電できるとはいえ、普通のコンセントでは時間がかかる。ちょっと触れておくなら、電気自動車を作る際に必要なレアメタルの安定かつ大量供給確保も、話題になっている。

その点ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車は、内燃式(ガソリンやディーゼルの)エンジンを電気モーターと併用する。つまり、内燃式エンジンがしばらく絶滅することはない。そして内燃式エンジンはまだまだ改善の余地がある、というのが部品メーカーの大方の意見だ。だが、危機感はひしひしと伝わってくる。

例えばNGKブランドでスパークプラグを開発しているメーカー、日本特殊陶業。PSPEプラグと呼ばれる、高効率スパークプラグや普段目にすることのないセンサー類を展示していた。そんな内燃式エンジン部品を得意とするメーカーが既存技術を活用しながら、次の時代を見据えた研究・開発に取り組んでいる。

「現在、水素製造モジュールの研究・開発をしています」と語ってくれた担当者。来る燃料電池時代に水素は欠かせない。燃料電池時代が到来して内燃式エンジンが万が一減るようなことがあっても、そのインフラに一役買うことで生き残りを図ろうというのだろう。こういった部品メーカーによる将来を見据えた動きこそが、リスクヘッジであり、企業が成長を続けるために必要不可欠な要素だ。

とつばね|日刊カーセンサー

これがNHKニッパツの「とつばね」。今後のマウント類に採用されそうな部品を開発していた

VOICE of carcensor.net

電気自動車や燃料電池車の登場で、内燃式エンジン以外の研究開発が進んでいる

text by 古賀 貴司