海外メディアの皆さんに聞いた「世界のモーターショーでのNo.1」

前回は東京モーターショーで一番気になる車を聞いた。では、今年開催された海外でのショーも含め、世界は今、どんな車に興味をもっているのだろうか。

というわけで、東京モーターショーを取材していた海外メディアの人たちに、東京モーターショーも含め、世界のショーで見た、今年最も気になった車を聞いてみた。

東京モーターショーは消滅するのか? ~海外メディア直撃編2~|日刊カーセンサー

1位のプジョーBB1とは、コンパクトな電気自動車。しかし、その主張は街乗りの電気自動車であるというところではなく、スタイリングやインテリア、運転などあらゆる点での「革命」だという

PICK UP VOICE
オランダ:AUTOWEEK フランク・ジェイコブスさん|日刊カーセンサー

オランダ:AUTOWEEK
フランク・ジェイコブスさん

レクサス LF-Aはトヨタの本気度がうかがえ
走りが楽しみ

ドイツ:CAR MEN イェーグ・フライドリッヒさん|日刊カーセンサー

ドイツ:CAR MEN
イェーグ・フライドリッヒさん

ホンダ スカイデッキ、面白くって実は気になる一台

インド:CNBC特派員 スワティ・カンデルワルさん|日刊カーセンサー

インド:CNBC特派員
スワティ・カンデルワルさん

BB1みたいな車が、渋滞と空気汚染の激しいインドに必要

フランス:ジャーナリスト ギソリン・フメールさん|日刊カーセンサー

フランス:ジャーナリスト
ギソリン・フメールさん

BB1はとにかく可愛らしいし、デザイン的遊びも
ユニーク

エコ一辺倒だけでは、世界のユーザーは納得しない

地球温暖化の原因といわれているのが、CO2。アル・ゴア元アメリカ副大統領の、映画化もされた「不都合な真実」が世界に大きな影響を及ぼした。本当は排出権取引を普及させるためなのでは、という穿った見方もあるが、このトレンドは止められない。車が目の敵にされているような気配があるなか、実は牛のゲップのほうが車よりCO2排出量が多いという説もあるそうだ。とはいえ自動車業界全体がCO2削減の方向で、奮闘努力しているのは事実だ。

トヨタが世界で初めて量産化に成功したプリウスも、誕生から10年以上たっている。独壇場に思われたハイブリッド車市場には、ほかの自動車メーカーも乗り出しはじめた。そして、電気自動車の市販化も急加速している。と同時に、ヨーロッパではディーゼルが進化し続けているし、アメリカでもディーゼルは受け入れられ始めている。ポルシェはディーゼルに手を出さないと明言していたにもかかわらず、いつしかカイエン(イギリス仕様など)にはディーゼルモデルをラインナップしているほど。

電気自動車に至っては、既存の自動車メーカー以外による進出が活発化している。グーグルの創業者たちが出資したテスラー社が代表例だし、そのほかにも新興メーカーが相次いで誕生している。内燃式エンジンを開発する難しさに比べれば、電気自動車は参入しやすい背景があるのだろう。そんな中、海外メディアの人たちが一番気になったのは、フランクフルトモーターショーで披露された、プジョーの電気自動車だ。

「BB1はアーバンモビリティの提案として大胆かつ、チャレンジングな電気自動車だと思いました」と答えてくれたのはインドCNBS特派員、カンデルワルさん。1kmあたりの電気代はガソリンよりも安く、1kmあたりに必要な電力発電時のCO2排出量もガソリン燃焼よりも低い。問題は航続距離や電池のコストだが、いずれ解決策が見出されることだろう。と同時に、電気自動車は内燃式エンジン車に比べれば、重量物の配置に自由度が高い。よって、これからは車のカタチが大きく変わってくるのかもしれない。

しかし、さらに突っ込んでいろいろ聞いてみると、プジョーBB1は「面白いデザインだとは思うが、必ずしもカッコイイとは思わない」ということがわかった。環境技術は環境技術で評価するが、それを備えた上で、さらに魅力あるデザインを世界は求めている。日本メーカーもここをおさえれば、もっと世界から認められ、さらには東京モーターショーの復活へとつながるのではないだろうか。



日産 エッセンス|日刊カーセンサー

日産 エッセンスは高級スポーツクーペのコンセプトカー。ハイブリッドシステムを採用している。こんな美しいエコカーの登場を、世界は待っているのではないだろうか

VOICE of carcensor.net

環境技術に注目が集まるも、世界はもっとカッコイイ車のデザインを求めている

text by 古賀 貴司