自動車メーカー広報担当者に聞いた「東京モーターショーの今後」

例年に比べると、こぢんまりしている第41回東京モーターショー。輸入車メーカーがほとんど来日せず、国産メーカー主体で開催している。出展台数も減ったし、目を引くスーパーカーもほとんどない。

車離れが進んでいると言われるなか、ある種“地味”なショーに客足はどうなる? 単刀直入に「今後はどうなると思うか?」とメーカーの広報担当者に聞いてみた。

東京モーターショーは消滅するのか?~メーカー直撃編2~|日刊カーセンサー

輸入車メーカーの出展が手控えられ、一見寂しく見える今回の東京モーターショー。しかし、今後はアンケート結果のようなコンセプトで開催すれば、再び世界から注目されるのは間違いないのではないだろうか

PICK UP VOICE
トヨタ自動車 広報部 孫煒さん|日刊カーセンサー

トヨタ自動車 広報部
孫 煒さん

環境に気遣いながらも、走って楽しい車がたくさん出展されていると思います

三菱自動車 商品戦略本部 鴛海尚弥さん|日刊カーセンサー

三菱自動車 商品戦略本部
鴛海 尚弥さん

“ハチロク”(トヨタFT-86)という響きが、とても気になっています

日産自動車 広報部 本多明夫さん|日刊カーセンサー

日産自動車 広報部
本多 明夫さん

ホンダのU3-Xがどうやって動くのか、実際に見てみたいと思っています

ホンダ技研工業 広報部 日下部多門さん|日刊カーセンサー

ホンダ技研工業 広報部
日下部 多門さん

手軽なスポーティカーになっている、トヨタFT-86が気になりますね

環境技術で優位の日本に、さらに求めたいことは!?

今、自動車産業は未曽有の変革期にある。CO2排出量削減が求められる昨今、自動車はハイブリッド化、プラグインハイブリッド化、電気化、そしていずれは燃料電池化という道を辿るのであろう。東京モーターショーの出品車両は、そんな将来を映し出しているかのようだ。

現在のところ、日本のハイブリッド技術は進んでいる。つい先日、電気自動車も市販化され、日本は世界有数のエコ先進国。対するドイツ勢は、ターボやスーパーチャージャーを組み合わせることで小排気量化を進め、さらに出遅れたハイブリッドにも乗り出している。

とはいえ、エコを追求するからといって、運転する楽しさが損なわれるわけではない。環境性能を確保しながら、ちゃんと車としてのパフォーマンスも追っている。ひいては、車離れを食い止めようとしているのだ。それは前回お伝えした通り。

「車好きなら誰もが知っているネーミングを使ったFT-86コンセプトが、どう若者に響くのか気になります」と答えたのは三菱自動車の鴛海さん。ハイブリッド車で成功しているトヨタは環境技術を前面に打ち出しながらも、FT-86コンセプトや4000万円弱のスーパーカー、レクサスLFAなども披露。エコ・コンシャスなオーディエンスも、従来の車好きも満足させている。
「車を手に入れ、どう使って楽しむか、という夢を伝える場になれば、もっと東京モーターショーにお客様がいらっしゃるかもしれません」と鴛海さんは続けた。運転する楽しさを、あえて全面に押し出してきたのがFT-86コンセプト。アンケート結果の「環境技術発信地になる」は、今の日本の技術をもってすれば、すぐにクリアできるだろう。

だからこそ、優れた環境技術のお披露目だけでなく、その楽しみ方まで発信することが、今後の東京モーターショーの存在意義なのかもしれない。環境に優しいのはもちろん、走って、使って、楽しさを感じさせてくれる車が、東京モーターショーには求められている。
トヨタ プリウス プラグインハイブリッド|日刊カーセンサー

日本の技術の幅を示す一例が、トヨタのプリウスプラグインハイブリッド。ハイブリッドと電気自動車の中間的存在を、このようにすぐ市販化できる力があるのだ

VOICE of carcensor.net

ハイパワー、ハイパフォーマンスよりも、低燃費、CO2削減で車を楽しむ時代が来ている

text by 古賀 貴司