チャイルドシートは何歳まで(いつまで)必要? 義務年齢や法律、免除されるケース、選び方を紹介!
2023/07/31
チャイルドシートは何歳まで・いつまで必要なの?
小さな子供とのドライブを楽しむうえで欠かすことのできないものがチャイルドシートだろう。
しかし、「チャイルドシートはいつからいつまで使う必要があるのか?」という問いに対して、すぐに回答できる人は少ないかもしれない。
そこで、この記事ではチャイルドシートを使用しなければいけない期間など、基本的な情報をまとめている。大切な子供の命を守るうえで大事なことなので、ぜひしっかりとおさらいしてほしい。
チャイルドシートが義務づけられる年齢
チャイルドシートは6歳未満の乳幼児に着用の義務が課せられている。
使用が義務化されたのは、2000年4月1日の道路交通法の改定から。もう20年以上も前のことだから当たり前だと思うかもしれないが、新米パパママにとっては初耳でも不思議はない。
ベビーを迎える前に、出産準備の一環として愛車にはチャイルドシートの用意を。そして周囲の先輩パパママからもぜひリマインドしてあげてほしい。
ちなみに違反点数は1点。罰金はないが、大事な子供の命を危険にさらしてしまうのは、なにより恐ろしいと肝に銘じよう。
チャイルドシートを装着する理由
道路交通法では「幼児用補助装置」と表現されるチャイルドシート。つまりチャイルドシートは、シートベルトでは確実に固定できない体格の子供を固定するための補助装置、というわけだ。
生まれたての赤ちゃんは頭が大きくて、からだはふにゃふにゃと柔らかく、ひとりで座ることもできない。首や腰が据わっても、大人とは体のバランスも違えば、関節を支える筋肉も未発達だ。そして学童期になっても、大人とは腰や肩の位置が違えば、シートベルトだけで安全に体を固定することはできない。
車のシートベルトは一般的に身長140~145cm以上を対象としていて、6歳の平均身長は約116cmといわれる。つまり義務年齢の6歳を超えても、シートベルトだけでは安全が確保できないということだ。
6歳を超えてからも、少なくとも身長140cmまで、できれば身長150cmくらいまでは、補助してあげることが望ましいといえるだろう。
ちなみにドイツでは12歳未満、身長150cm以下、イタリアでは体重36kg、身長150cm以下は、チャイルドシートの着用が義務になっている。
チャイルドシートの種類
チャイルドシートと一言に言っても、実はいくつかに分けることができる。
「新生児期から首が据わるまでの乳児用」、「首が据わって自分で座れるようになってからの幼児用」、「およそ100~150cmの身長に対応する学童用」の3つに分けられ、乳児用はベビーシート、幼児用はチャイルドシート、学童用は背もたれのあるタイプはジュニアシート、背もたれのないタイプはブースターシート、ブースタークッションとも呼ばれる
チャイルドシートを選ぶ際のポイント
実際に流通する商品には、乳児期から幼児期まで使用できるものや、幼児期から学童期まで使用できるものなどがあるので、その商品がどういった体格に適応しているか、きちんと確認して選びたい。
子供の成長スピードは個人差が大きいから、年齢よりも身長を目安にして、成長過程に合わせたチャイルドシートを選ぶことが大切だ。
ちなみに、2023年9月から従来の「R44」から移行することが決まっている、より安全性の高い安全基準「R129」では、側面衝突試験が義務化される他、対象基準が従来の体重から身長へと改められている。
チャイルドシートの取り付け方法
チャイルドシートの取り付け方法は、ISOFIXで固定するタイプとシートベルトで固定するタイプの2種類がある。取り付けが簡単、確実で、取り付けミスが起こりにくいのは、ISOFIXタイプで、前述の新安全基準「R129」ではISOFIXが必須とされている。
車側では、2012年7月以降に発売された新車には、ISOFIX対応アンカレッジを装備することが義務づけられている。逆にいうと、それ以前の車にはISOFIX対応アンカレッジが装備されていないこともある。愛車がISOFIX非対応で、従来型のR44規格のシートベルトで装着するタイプを使いたい場合は、2023年9月以降は在庫限りとなるので早めのチェックが必要だ。
また、後部座席の広さやシート形状、シートベルトの長さ、室内高、床の形状などによって取り付けられるチャイルドシートが限定される場合もある。チャイルドシートを購入する際は、必ず適合表などで取り付け可能か確認して選ぶようにしよう。
チャイルドシートが免除されるケース
以上、チャイルドシートを安全に使う方法を示してきたが、実は道路交通法施行令(第26条の3の2の第3項)によって、チャイルドシートの使用義務が免除されることがある。
以下がその内容だ。
1 座席の構造上、チャイルドシートを固定することができないとき。
2 定員内の乗車で、乗車人員が多人数のため乗車する幼児全員にチャイルドシートを使用すると全員が乗車できなくなるとき。
3 幼児が負傷している等、チャイルドシートを使用することが療養上又は健康保持上適当でないとき。
4 著しい肥満や、その他幼児の身体の状態により適切にチャイルドシートを使用できないとき。
5 チャイルドシートを使用したままでは、授乳等の日常生活上の世話ができないとき。
6 バス・タクシーなど、一般旅客運送事業の用に供される自動車運転者が当該事業の旅客である幼児を乗車させるとき。
7 道路運送法第80条第1項ただし書の規定による許可を受けて人の運送の用に供される自動車運転者が当該運送のため幼児を乗車させるとき。
8 応急救護のため医療機関、官公署等へ緊急に搬送する必要がある幼児を乗車させるとき。
ただし、停車して授乳やおむつ替えをする、事前に確認できるタクシー利用の際にはチャイルドシートを用意してもらうなど、可能な限りチャイルドシートを使用した方が安全なのはいうまでもない。
また、レンタカーやカーシェア、あるいは知人の車に乗せてもらうときには、使用義務は免除されない。タクシーやバス利用の際に免除されることと混同してしまわないように、気をつけよう。
警視庁によると、チャイルドシート不使用者の致死率は、適正使用者の約4.6倍にもなるという。子供の安全のためにはチャイルドシートを正しく使う必要があると、改めて肝に銘じてもらいたい。
※記事内の情報は2023年7月18日時点のものです
ライター
竹井あきら
自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。