「いいクルマとはどういうものか」。偶然もらった輸入車が教えてくれた|Carsensor IN MY LIFE


「クルマってものによって、こんなに違うって知りませんでした」。そう語るK.Tさん(32歳)は、ユニークな体験談の持ち主。東証一部上場企業に勤める営業マンの彼は、担当する会社の社長から輸入車を譲り受けた。地方出身で「クルマがある生活の楽しさ」は知っていたが、クルマ自体にはそれほど興味がなかった。期せずして譲り受けた輸入車に乗るうち、彼のそんな考えは少しずつ変わっていったという……

この物語は、取材を通して聞いた実話をベースにしたもの。クルマにまつわる、人間ドラマだ。

BMWとの出会いが僕の価値観を変えてくれた

いいクルマに興味がなかった。そもそも、いいクルマってなんだ? そんなことも分からなかった、このクルマに出会うまでは……。

都心にある勤務先と、自宅を往復する毎日。通勤は電車だし、営業として飛び回るのもほとんどが電車だ。クルマは週末の買い物だとか、たまのゴルフへ行くのに使うくらい。実のところ、走れば何でもよかった。そう思っていた。

BMW 1シリーズ

2年前の、ある日。取引先の社長と僕は来期のための商談をしていた。ここの社長はプライベートで一緒にゴルフへ行くくらい、僕のことを買ってくれている。

「今日は話があるんだよ!」

「どうしたんですか、何でも言ってください」

「ほら、あれ。良かったらあげるよ。気に入って乗り回していたから、かなり走行距離が進んで、ところどころヤレちゃってるけどね。まだまだ走れるよ!」

そう言って社長が指差した方向に目をやると、駐車場に1台のBMWが止まっていた。え、あれを僕に? 正直、驚いた。そしてクルマをもらえることよりも、僕のことをそれくらい気に入ってもらっていることが実は嬉しかった。どんなクルマだったとしても僕は「ありがとうございます!」と言ってもらっていた。たまたま、それが高級そうな輸入車だった。

BMW 1シリーズ

それまで乗っていたコンパクトカーを手放して、さっそくBMWの名義を変更した。車名はBMW 116i。ドイツ車メーカーのBMWの中では一番小さな、ハッチバックモデル。今まで、ちょっといいクルマだとか、高級そうなクルマには興味なかったのだが、乗ってみて軽くショックを受けた。今まで乗っていた国産車に比べると少し乗り味が硬いとは思ったけれど、長距離運転でも疲れが少ない。そして、もっと驚いたのは、周りの人の反応だった。

「え、Tさんのクルマってこれなの!?」

妻が学生時代の友達とアウトレットモールまで買い物へ行ったとき、僕は2人を迎えにいった。妻の友達は僕のクルマを見て、まるでショーウインドウで素敵なバッグでも見つけたような声を上げた。

彼女は大学時代に妻とバドミントンでペアを組んでいた。親友であり、永遠のライバルでもある。そんな彼女が目を輝かせたものだから、クルマに興味のなかった妻もBMWを見る目が少し変わった。

BMW 1シリーズ

「今日は、お目当てのものは見つかりました?」

「どうしても欲しかったバッグがあったんです!」

妻の友達は、昔から愛用していたブランドのバッグを何度も修理して使っていたらしいけれど、ついに新調したのだとか。しかも、まったく同じモデルというから、そうとう気に入っているようだ。

僕は妻の友達が大切に抱えているショッパーを預かってリアのハッチを開けた。気のせいだろうか、ちょっといいクルマだとラゲージスペースも単なる荷物を置く場所に見えない。大切なものを収めておくのにふさわしいスペース、ちょっとした宝箱。このクルマに乗ってから「クルマの扱いが変わったね」と妻に言われた。洗車の回数も増えたし、室内をキレイに保つのが気持ちいい。僕のカーライフは完全に変わった。

BMW 1シリーズ

「後ろの座席、とっても座り心地がいいですね!」

裕子の友達は、あのときの僕と同じように感激したのかもしれない。

「今度、彼氏がクルマを買い替えるって言っていたから、このクルマを紹介したいの。ねぇ、何ていうクルマか教えてください」

僕が伝えると、彼女はスマートフォンですぐに検索した。

「やっぱり、意外にお高いのね。彼の言っていた予算をオーバーしているかも……」

確かに。新車で買おうとすると、そうなるはず。

「実は今度、僕も買い替える予定なんです」

そう言うと、妻の友達は驚いたようだった。

「え、どこか気に入らないんですか? 」

……そうではない。僕がとても気にいっているように、前オーナーの社長も気に入っていて、どこへ行くにも、これに乗っていた。だから走行距離がとても多い。今度の車検を機会に乗り替えるつもり。

BMW 1シリーズ

「次は何にするんですか?」

実は、まったく同じクルマ。正確には、マイナーチェンジ後のモデルにするんだ。同じクルマを選ぶなんて人生初だ。だけど、それくらい気に入っている。しかも中古車なら、僕の予算内に収まる。

「なるほど、中古車なら私の彼にも手が届きそう!」

そう言って妻の友達は目を輝かせた。ちょっといいクルマの良さは乗らないとわからない。だけど一度乗ると感激が伝播する。自分に縁がないと思っていたクルマに引きあわせてくれた、取引先の社長にあらためて感謝した。

新しいクルマが納車されたら、もちろん社長に報告に行くつもり。商談そっちのけで、またクルマ談義が長引きそうだ。

「いいクルマとはどういうものか」。偶然もらった輸入車が教えてくれた

カーライフを変えてくれる“ちょっといいクルマ”に乗る


突然、知り合いの社長から譲り受けたBMW 1シリーズ。「クルマなんて全部同じ」と思っていたけど、その違いに驚いた。だから次に乗るのも、ちょっといいクルマが良かった。それは、具体的にいうと、1シリーズとメルセデス・ベンツ Aクラス、アウディ A3スポーツバック。国産のコンパクトカーもいいけれど、僕はドイツ車のシックな雰囲気に惹かれた。

文/ブンタ 写真/阿部昌也 スタイリング/柴山陽平 ヘアメイク/速水昭仁[Les Doigts] モデル/青木敬、戸上亜矢佳、さとうかよこ

CREDIT

MAN:ストライプシャツ7900円、キャメルケーブルニット1万2000円/バナナ・リパブリック(バナナ・リパブリック0120-771978)、デニムパンツ3万3000円/フレーム デニム(エストネーション03-5159-7800)、スニーカー9900円/アディダス オリジナルス(アディダスグループお客様窓口0570-033-033)メンズ(ジャケット スタイル) ジャケット10万3000円/ラルディーニ、シャツ1万4000円/エストネーション、タイ1万5000円/マタビシ(すべてエストネーション03-5159-7800)、トラウザー3万円/PT01(エストネーション03-5159-7800)、メガネ3万9000円/オリバーピープルズ(オリバーピープルズ 東京ギャラリー03-5766-7426)
WOMAN1: カーデイガン9100円、ワンピース1万8000円、サンダル1万4000円/以上すべてバナナ・リパブリック(バナナ・リパブリック0120-771978)、バック1万1800円/フリークス ストア(フリークス ストア渋谷03-6415-7728)
WOMAN2:シャツ2万5000円、タンクトップ1万7000円、デニムパンツ2万7000円/以上すべてエージー(エージー ジャパン03-5946-8990)、シューズ8900円/フリークス ストア(フリークス ストア渋谷03-6415-7728)、ショルダーバック2万3000円/バナナ・リパブリック(バナナ・リパブリック0120-771978)
LOCATION:ベイサイドマリーナホテル横浜

※掲載内容有効期限:2016年10月16日