O邸・各フロアに明確なキャラクターを与えられた家 + 河野有悟
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2013/04/19
生活をオペレーションする。ガレージを臨むギターの部屋
多趣味なご夫婦が建てた家は、それぞれの趣味を満喫できる造作が施されている。また、各フロアは用途が明確に分けられ、過ごす人のマインドを変えられることが特徴だ
3つの趣味を同時に満喫できる贅沢なガレージ
神奈川県大和市。東名高速道路や国道16号線といった主要幹線道路が近くを走り、東京都内や横浜からもアクセスはよい土地だ。訪れたO邸は、その中心地にある。付近は大型スーパーマーケット、レストランなどが軒を連ね、車や人の往来が激しい地域。その一角に、周囲と少し趣の異なるO邸があった。
正面から見ると、コンクリート打ち放しの3階建ての2階部分に、丸い穴が開いてアクセントに。1階はアルミ製の美しいシャッターを備え、その左側には2つのドアが設けられている。「2世帯住宅なのかな?」と思ったが、玄関は向かって左端のドア。その右手にあるやや幅の広いドアは、オートバイ専用の出入り口とのこと。たしかに、よく見ると玄関へは2段の階段でアプローチするが、オートバイ用はゆるやかなスロープとなっている。シャッターは音もなくスルスルと開閉する。これは建築家河野有悟さんのこだわりで、「コンクリート打ち放しの家には、このタイプかウッディなタイプのどちらかを提案しています」というアイテムだ。
ガレージ内には、ベイサイドブルーのR34GT-R。そして、ピュアレッドのミニ クロスオーバーが格納されていた。無機質なイメージが強いコンクリート打ち放しだけに、鮮やかなボディカラーの2台によって華やいだ印象に変わる。ガレージ奥の壁には広いガラス窓がはめ込まれ、まるでオペレーションルームのような佇まい。中を覗くとたくさんのギターが壁に掛けられ、どうやら趣味の部屋らしい。GT-R側の壁には2つの小窓が設けられ、適度な自然光をガレージ内にもたらしている。左手にはオートバイ用のスペースが…と思いきや、ベビーカーや自転車、その他趣味のアイテムがギッシリ山積みだ。
「もともと家内のオートバイを置くためのスペースなのですが、出産後は子育てに専念するためにオートバイはお休みしているのです」と施主のOさん。奥さまは、ほかにもスキューバダイビングなど、とてもアクティブに趣味を楽しんでいらっしゃる様子。じつはミニ クロスオーバーは奥さま専用で、MT車。
「2台とも4WDターボでMT車なんて、面白いでしょう?」そういって笑うOさん。「ギター部屋」には趣味の車関係の書籍やコミックが書棚に並べられ、さらに何本ものギターが壁から整然と掛けられている。奥にはテラスがあり、現在4歳になるお嬢さんの遊び場にもなっているという。
「土曜日の夜は、ここにお酒をもって来て、車を眺めながらギターを弾くんです。ベタでしょ?」いやいや、ベタどころか3つの趣味を同時に満喫できるなんて、このうえない幸せだろう。
O邸は、1階がガレージと趣味の部屋。2階がリビング&ダイニングルームと和室。3階が寝室やバスルームというレイアウト。3つのフロアを結ぶ動線はらせん状の階段となっている。リビングルームから見上げると、3階天井まで高い吹き抜けとなっていて、とても開放的な雰囲気。その吹き抜けに沿って放射冷暖房式の空調システムが設けられている。この直線的に伸びるデザインが、よりいっそう高さや広がり感を強調しているようだ。
趣味のための1階。食事や団らんのための2階。身体を休めるための3階と、O邸の各フロアは明確なキャラクターが与えられている。土曜日の夜、または休日の朝に、1階へ続く階段を下りるO夫妻。それぞれ趣味は異なるが、そのルートは、日常から非日常へスイッチを切り替える空間という意味では共通している。
「各フロアに与えられた明確なキャラクター」
建築家:河野有悟
tel.03-5948-7320 http://www.hugo-arc.com
主要用途:専用住宅
構造:鉄筋コンクリート造 敷地面積:99.83㎡ 延床面積:121.84㎡
設計プロデュース:LDKホーム
設計・監理:河野有悟建築計画室
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・木村博道 photos / KIMURA Hiromichi
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