▲ナンバープレートの活用シーンとしては、有料道路で表示された登録情報から車種区分に応じた料金の収受や駐車場での入庫時にカメラでナンバーを撮影・認識し、登録データと照合して出庫時に自動でのゲート開閉などを行っている▲ナンバープレートの活用シーンとしては、有料道路で表示された登録情報から車種区分に応じた料金の収受や駐車場での入庫時にカメラでナンバーを撮影・認識し、登録データと照合して出庫時に自動でのゲート開閉などを行っている

汚れで読み取れないナンバープレートは道交法違反に

世間で話題になっている「マイナンバー」だが、自動車の方の「ナンバー」にも動きがあることをご存じだろうか。昨年12月28日、国土交通省は自動車のナンバープレートの表示に関わる新基準を公表。これは、2016年4月1日に施行される道路運送車両法と自動車検査独立行政法人法の一部法律改正に合わせたものである。具体的には、カバーなどで覆ったり、シールなどを貼り付けたりすることを明確に禁止。また、汚れたままの状態や回転させての表示も禁止される。

しかし、ナンバープレートに関する法律が改正されるとはいえ、車のナンバーについての知識はあまりない人が多いだろう。そこで今回は、思わずヘェーと言ってしまうような、ナンバープレートに関する面白い話を集めてみた。

▲現在のナンバーは、1951年の「道路運送車両法」による登録制度の確立から始まっている。普通・小型および軽自動車とも、「地域名」が頭文字からフルネーム表示になったのは1964年から。普通・小型自動車の「分類番号」が2桁になったのは1967年、3桁となったのは1999年からだ▲現在のナンバーは、1951年の「道路運送車両法」による登録制度の確立から始まっている。普通・小型および軽自動車とも、「地域名」が頭文字からフルネーム表示になったのは1964年から。普通・小型自動車の「分類番号」が2桁になったのは1967年、3桁となったのは1999年からだ

ナンバープレートは色も形も様々!?

そもそも、ナンバープレートには、大きく分けて3つの種別がある。ひとつは、冒頭に触れた「自動車登録番号標」。これは、普通自動車や小型自動車などに付けられるもの。白プレートは自家用で、緑プレートは事業用の車となる。次に「車両番号標」。こちらは軽自動車や二輪小型自動車につけられるナンバーの正式名称で、黄色プレートが自家用で、黒プレートが事業用の車となる。最後は、原付バイクに付けられる「原動機付き自転車番号標」だ。

その他にも、街中で見ることはほとんどないかもしれないが、大使館関係の車には外務省が発行する青のナンバープレートが付けられている。また、天皇陛下および皇族が乗車する御料車のナンバープレートは円形で、銀色地に金文字で「皇」の字があしらわれている。

▲大使館関係の車に付けられる青プレート▲大使館関係の車に付けられる青プレート
▲御料車のナンバープレート。私たちが普段見ているナンバープレートとは色も形も全く違う▲御料車のナンバープレート。私たちが普段見ているナンバープレートとは色も形も全く違う

ナンバープレートに表記されている内容とは?

では、表記されている文字はなにを意味しているのか。まず、「地名」は、その車の使用本拠地を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所の名称や所在地を表している。

例外として、「経済圏等一定のまとまりのある広く認知された地域」、「登録自動車数10万台以上」などの条件を満たしていれば、地域名を表示したナンバープレートを導入することも可能だ。いわゆる「ご当地ナンバー」である。現在は29の地域が採用しており、有名どころでは「富士山」などがある。東京でも昨年11月から「世田谷」が採用され話題となった。

ちなみに、125cc以下のミニバイクでは観光名所のイラストなどをあしらったナンバープレートが採用されているが、現在、車でもイラスト入りを採用できるように、国土交通省が検討会議を開いている。

▲写真は国土交通省自動車局自動車情報課の資料より抜粋▲写真は国土交通省自動車局自動車情報課の資料より抜粋

ナンバープレートには使われない文字があった

上部に書かれている3桁の数字は車の分類番号だ。例えば、300番台ならば乗用の普通自動車、800番台ならば特殊用途自動車となる。また、左に書かれているひらがなは事業用や自家用など用途の区別。有名なのはレンタカーに表記される「わ」だろう。最近では「れ」ナンバーのレンタカーも増えてきている。その他、自家用には「さすせそたちつてとなにぬねのはひふほまみむめもやゆらりるろ」が、事業用には「あいうえかきくけこを」が割り当てられている。

さて、この文字をよく見ると、使われていない字があることがわかる。それは「お」「し」「へ」「ん」の4文字。以前は、クイズ番組などで定番の問題だった。「し」は「死」、「へ」は「屁」を連想することから、「お」は「あ」と似ているから、そして「ん」は発音しづらいことから採用されていないといわれている。

また、アメリカ軍基地周辺で見かけることの多い「Y」の文字を記載したナンバー。これは駐留軍人の私用車などに割り当てられるもので、この他に「E」「H」「K」「M」「T」「よ」がある。

地域によって異なるナンバーの人気

4桁の数字は「一連指定番号」と呼ばれ、登録自動車の自家用・事業用、および軽自動車の自家用では好きな数字を選択することもできる。いわゆる「希望ナンバー制」のことで、希望番号には「抽選対象希望番号」と「一般希望番号」がある。

「抽選対象希望番号」は特に人気が高い数字。全国一律で「1.7.8.88.33.555.777.888.1111.2020.3333.5555.7777.8888」の14通りの番号が設定されている。地域によっては、全国一律の14通り以外に追加された番号もある。毎週1回月曜日に抽選を行い、当選した人のみが取得できる。

「抽選対象希望番号」以外はすべて「一般希望番号」。こちらは希望した番号がすべて払い出しされていない限り、取得することができる。

全国自動車標板協議会が発表した資料によると、3ナンバー車での一番人気は、ほとんどの地域で「1」。それ以外では「3」と「8」が目立つ。特に「8」は関西エリアで人気があった。そんな中、4桁の数字が一番人気だった地域がある。それが、「富士山(山梨)」「富士山(沼津)」。数字は「3776」。言わずもがな、富士山の標高である。

一方、5ナンバーでの一番人気は、4桁の数字が目立つ。中でも多いのが「2525」と「1122」だ。もちろん、「富士山(山梨)」「富士山(沼津)」は「3776」が人気だ。また、あくまで個人的な感想だが、ポルシェ 911は、やたら「911」ナンバーを付けている気がする。

ちなみに、ナンバーに使われない文字があるように、下2桁に「42」(死に)と「49」(敷く)は希望ナンバー以外では使用されない。

意外に奥深いナンバーの表記。 渋滞時にうんちくとして披露すれば、いい暇つぶしになるかもしれないぞ。

text&photo/コージー林田