▲円形交差点「ラウンドアバウト」の運用が9月1日に開始された。さっそく東京都多摩市のラウンドアバウトに行ってきたのだが…… ▲円形交差点「ラウンドアバウト」の運用が9月1日に開始された。さっそく東京都多摩市のラウンドアバウトに行ってきたのだが……

話題の「ラウンドアバウト」に突撃!

2014年9月1日、信号のない環状交差点「ラウンドアバウト」の改正道路交通法が施行された。巷ではそこそこ話題になっているようで、当日はテレビや新聞でも取り扱われていた。「これは特ダネ的なやつでは?」と思った筆者は、もそもそと現場に向かった。出先に「お前、他にも仕事あるやろ……」的な編集長の視線を感じたが、おもしろいネタが私を呼んでいるのだ。気にしてはいけない。

さて、取材に行く前にラウンドアバウトについて軽くおさらいを。ラウンドアバウトは信号機がないため渋滞が少なくなる上、交差点内が一方通行で、十字型の交差点と比較した際の交錯点も少なく、そのため事故率が下がるというメリットがある。ただ、その交通ルールが浸透するまでは事故が増えるのではないかと懸念もされていた。そのルールとは下記の通りだ。

(1)入るときは徐行で進入し、交差点内は右回り(時計回り)に走ること
(2)交差点内を通行している車を優先すること
(3)交差点から出るときは左側の方向指示器で合図し、交差点を出るまで継続させること


うっかり間違っちゃいそうなのは(3)か。出るときはウィンカーが必要だが、入るときはウィンカーを出さなくて良い。進入時は、視覚的には分岐を左に曲がっているので、思わず左折のウィンカーを出してしまいそうだ。

交通はスムーズになったものの!?

そんなラウンドアバウトの中で、今回、調査に向かったのは都内で唯一導入された多摩市にある桜ケ丘の交差点。なんでも1日には「警察官が車を止めて交通ルールなどを書いたチラシを配った」とのこと。おそらく現場では、ルール変更によるドライバーのとまどいや混乱など、様々な問題が起きているに違いない!!

というわけで、ココからは写真とともに完全ドキュメントでお送りする。編集長、どデカい手土産、持って帰りますからねっ!

▲で、多摩市のラウンドアバウトは小高い丘の上にあった。その入り口の少し手前には見慣れぬ標識が! ふむ、長年培われてきた記者としての勘が、面白いネタがあると告げているな…… ▲で、多摩市のラウンドアバウトは小高い丘の上にあった。その入り口の少し手前には見慣れぬ標識が! ふむ、長年培われてきた記者としての勘が、面白いネタがあると告げているな……
▲って……あれ? 混乱どころか、車もほとんど通ってないんですけど? いや、待て。まだ慌てるような時間じゃない。もう少し様子をみよう ▲って……あれ? 混乱どころか、車もほとんど通ってないんですけど? いや、待て。まだ慌てるような時間じゃない。もう少し様子をみよう
▲って……車、KONEEEEEEEEE! あまりに交通量が少なすぎて、普通にクルクルできたし。ヤバい、仕事半分投げてきたのに! ▲って……車、KONEEEEEEEEE! あまりに交通量が少なすぎて、普通にクルクルできたし。ヤバい、仕事半分投げてきたのに!
▲いや、待て。進入口の近くに交番がある。あそこのお巡りさんに話を聞ければ、何とか記事になりそうだ。危ない危ない…… ▲いや、待て。進入口の近くに交番がある。あそこのお巡りさんに話を聞ければ、何とか記事になりそうだ。危ない危ない……
▲って……ポリス、INEEEEEEEEE! これは完全に編集長に怒られる!! 畜生、このまま手ぶらで帰れるか。こうなったら、徹底的に調査してやる! ▲って……ポリス、INEEEEEEEEE! これは完全に編集長に怒られる!! 畜生、このまま手ぶらで帰れるか。こうなったら、徹底的に調査してやる!
▲そんなワケで、ラウンドアバウト沿いにある「多摩市桜ヶ丘いきがいデイサービスセンター 」へアポなし取材。すると、優しいスタッフの方々が諸々教えてくれた! ▲そんなワケで、ラウンドアバウト沿いにある「多摩市桜ヶ丘いきがいデイサービスセンター 」へアポなし取材。すると、優しいスタッフの方々が諸々教えてくれた!
▲スタッフの話によると「この桜ケ丘の交差点はだいぶ前からあるので、9月1日以降はむしろ、これまでなかった諸々の白線が引かれ、交通はむしろスムーズになった」という ▲スタッフの話によると「この桜ケ丘の交差点はだいぶ前からあるので、9月1日以降はむしろ、これまでなかった諸々の白線が引かれ、交通はむしろスムーズになった」という
▲ただ、今までなかった一時停止線が引かれたことで、地元のドライバーは多少混乱したそうだ。と、ここで「本当に皆、ルール守れているのか?」という疑問が ▲ただ、今までなかった一時停止線が引かれたことで、地元のドライバーは多少混乱したそうだ。と、ここで「本当に皆、ルール守れているのか?」という疑問が
▲そこで交差点に張りついて、野鳥の会よろしく調査を開始。特に、ウィンカーの出し方は間違いやすそうなので、進入と退出に注視したい。って、あのトラック、進入時にウィンカーを出した。さっそくNG、と ▲そこで交差点に張りついて、野鳥の会よろしく調査を開始。特に、ウィンカーの出し方は間違いやすそうなので、進入と退出に注視したい。って、あのトラック、進入時にウィンカーを出した。さっそくNG、と
▲あのミニバンも左ウィンカーを出している。さすがに進行方向や一時停止は白線で書かれているので間違えるドライバーはいないが、方向指示器の正しい使い方に関してはやはり一難ありそうだ ▲あのミニバンも左ウィンカーを出している。さすがに進行方向や一時停止は白線で書かれているので間違えるドライバーはいないが、方向指示器の正しい使い方に関してはやはり一難ありそうだ
▲お、あの車はちゃんと進入できているし、退出時にきちんと左のウィンカーを出している。どうやら正しく進入できている人は、ルールを理解している傾向にあるようだ ▲お、あの車はちゃんと進入できているし、退出時にきちんと左のウィンカーを出している。どうやら正しく進入できている人は、ルールを理解している傾向にあるようだ
▲あの車はNGだ。出るときは普通に左折するから間違わなそうなものだが……。って、そうか。曲線がゆるいラウンドアバウトだと、自分が入ってきた道の正面にある出口を通る場合、直進だと思ってウィンカーを出さない人が多いのか? ▲あの車はNGだ。出るときは普通に左折するから間違わなそうなものだが……。って、そうか。曲線がゆるいラウンドアバウトだと、自分が入ってきた道の正面にある出口を通る場合、直進だと思ってウィンカーを出さない人が多いのか?
▲この車はOK、と。30分ほど観察してみたが、正しく通行できていたのは21台、間違えていたのが56台。正解率は27%だった。ちなみに、タクシーはきちんと通行できている割合が高く、3分の2は正しい方法でラウンドアバウトを走っていた ▲この車はOK、と。30分ほど観察してみたが、正しく通行できていたのは21台、間違えていたのが56台。正解率は27%だった。ちなみに、タクシーはきちんと通行できている割合が高く、3分の2は正しい方法でラウンドアバウトを走っていた
▲結果、多くのドライバーがきちんとルールを把握していないことがわかった。ルールの認識があいまいなまま交通量が多い場所に導入された場合、渋滞の発生や事故など様々なトラブルが起きそうだなと、なんとか無事に取材ができ、安堵して崩れ落ちる筆者であった ▲結果、多くのドライバーがきちんとルールを把握していないことがわかった。ルールの認識があいまいなまま交通量が多い場所に導入された場合、渋滞の発生や事故など様々なトラブルが起きそうだなと、なんとか無事に取材ができ、安堵して崩れ落ちる筆者であった
text&photo/たけだたけし(編集部)