インディをはじめ、数々のレースで活躍するプロレーシングドライバー・ロジャー安川氏が、北米でしか販売されていない魅力的な車を日本のみなさんに紹介します。

外見は日本モデルとほとんど同じだが、エンジンは2.5Lシングルターボ

スバル インプレッサSTI フロントスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫 スバル インプレッサSTI リアスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑北米モデルのインプレッサSTIは5ドアハッチバックで、外見も日本モデルとほとんど同じです。日本には17インチのオプションもありますが、北米モデルには18インチホイールのみでBBSのホイールを装備したパッケージが用意されています
去年フルモデルチェンジをしたスバル インプレッサSTIは、北米モデルも5ドアハッチとして販売されています。ヨーロッパではハッチバックの人気は高いですが、北米での人気は今一つといったところです。にもかかわらずハッチバックのデザインにこだわったのは、パフォーマンスの向上を狙ったからであり、事実その通りだと実感するような内容に仕上がっています。
2008年モデルのインプレッサSTIの外見は日本モデルとほとんど同じですが、中身に多少の違いがあります。
その一番の違いはエンジンにあります。日本モデルは2Lのツインスクロールターボエンジンなのに対し、北米モデルは2.5Lのシングルスクロールエンジンが搭載されています。

スバル インプレッサSTI インパネ|ロジャー安川の米国自動車浪漫 スバル インプレッサSTI 3連メーター|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑インテリアに関しては至ってシンプル。ライバルでもある三菱 ランサーエボリューションよりも若干質感の高さを感じさせてくれます。日本仕様と同じシートは、ホールド感も高いので、ワインディングでも身体をしっかり押さえてくれます
ベースモデルとなる、北米モデルのインプレッサWRXも2.5Lエンジンが搭載されているので、自然な流れかもしれません。北米モデルのSTIは北米の道路状況などに合わせて、トルク重視の設定となっているようです。実際に車に乗り込みアクセルを踏むと、あっと言う間に5000rpmに到達し、エンジンの図太さを感じさせてくれます。日本モデルと比較すると、エンジン設定は少しマイルドにセッティングされているという印象を受けます。
ハンドリングに関しても、日本モデルにはブリヂストン RE050のハイグリップのタイヤが装着されているのに対して、北米モデルにはダンロップ SP Sport600が装着されています。北米モデルは、タイヤのグリップ力が車のパフォーマンスに負けているようで、サーキット走行をすると厳しいのですが、街中走行では十分なパフォーマンスを発揮してくれます。

スバル インプレッサSTI エンジン|ロジャー安川の米国自動車浪漫 スバル インプレッサSTI 走り|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑日本の2Lエンジンに対し、北米モデルには2.5LのEJ257シングルスクロールのボクサーエンジンを搭載。トルクの太さとエンジンサウンドは乗っているとラリードライバーになった気分にさせてくれます
スバルの電子制御のスバル・インテリジェント・ドライブ(SI-Drive)は優れもので、スポーツシャープモードに設定すると、確実にトルクカーブが上がり走りを楽しませてくれます。逆にインテリジェントモードに替えるとしっかりと燃費をセーブして走ることができます。SI-Driveのモード設定に関しては日本と同じで、3モードに分かれています。
北米モデルのインプレッサSTIは、日本モデルよりも総合的にマイルドに仕上がっています。これは北米マーケットの年齢層拡大を狙っているからでしょう。インプレッサSTIには、もっと鋭い走りを求めてしまう自分としては、日本モデルのままで北米でも販売してもらいたかったと少々残念に感じます。

主要諸元のグレード:インプレッサSTI 駆動方式:4WD トランスミッション:6MT 全長×全幅×全高:4415mmX1796mmX1476mm ホイールベース:2624mm 車両重量:1530kg 乗車定員:5名 エンジン種類:DOHC ターボ 水平対向4気筒 総排気量:2.5L 最高出力:305ps/6000rpm 最大トルク:40.1kg-m/4000rpm 10・15モード燃費(km/L):- ガソリン種類/容量:無鉛プレミアム/64L 車両本体価格:$34,995(約350万円)
(Tester/ロジャー安川 Photo/竹内英士)