際立つ洗練。世界最速最良のFFスーパースポーツに進化

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コンセプト

ステアリングを握るたび熱くなれる車を!

久しぶりにホンダDNAが前面に表れた車の登場だ。クリエイティブムーバーの成功によってホンダ自らが火をつけたRVブームを横目に、タイプRでは徹底して走りの楽しさへのこだわりに集中。それも生半可なアプローチではなく、車体、シャーシ、パワートレイン、足回りそれぞれのエキスパートが渾身の力を振り絞って、世界最強のFFハンドリングスポーツに仕立て上げたという。

結果として登場したインテグラタイプRは、塊感のあるクーペルック一本に整理された。シリーズとしては北米アキュラ向けが主体という現状を反映したものだが、この一本化は集中力を高めるには効果的だった。タイプRのために鍛え上げられたボディは、そのままiSの質的向上にも直結したという。
室内&荷室空間

走らなくても凄さが伝わる快感インターフェイス

ドアをバンッと閉めたときの剛性感。今度のタイプRは、シートに座ったその瞬間から、完成度の高さを予感させた。そして、イタリアのモモに革張りを任せたステアリングや、レカロのフルバケットなどのインターフェイスに身体を委ねていると、タイプR特有の世界にグイグイ引き込まれていく自分を意識することになった。

それは高性能モデルにありがちな緊張を伴う不安な感覚ではなく、むしろ安心感さえ抱かせる信頼のブランドにも似た深い味わいだ。試乗したのは外装色に合わせて青いレカロシートを採用したモデル。すべてのタッチにプロフェッショナルな剛性感と正確さがあって、ついついその気にさせられる。こういったところで個性を表現できる車は、少ない。
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ドライブフィール

大人の鑑賞に堪える魅惑のハンドリングマシン

今回の試乗の焦点は、鷹栖PG(プルービンググラウンド)で味わったプロトタイプとの違い。すなわち箱根に舞台を移して行われた評価のキモは、鷹栖PGの限界走行で得られた快感が、それよりずっと速度域の低い状況でも再現されるのか?ということだった。

結論から言ってタイプRは、オープンロードでも十分楽しめる車だった。一般公道は、テストコースに比べると2~3割方速度限界が下がる傾向にある。鷹栖PGで見せた刺激的だがコントロールは容易という特性は、ことによると箱根レベルでは確認できないかも……、そんな予測が杞憂に過ぎなかったことは走り出してすぐ判明した。この切れ味鋭い乗り味は、駆動方式の優劣という価値観をしばし忘れさせる魅力的なものだ。
こんな人にオススメ
わたしはFR好きだ。FFには基本的にクールな立場を取っている。しかし、今回のタイプRのように走りの楽しさという本質に立ち返り、プロフェッショナルなセットアップを試みた結果に対しては、尊敬の念をもって接したい。ホンダDNAの神髄に触れたいと思う人に。
SPECIFICATIONS
グレード タイプR
駆動方式 FF
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4385 x 1725 x 1385
ホイールベース(mm) 2570
車両重量(kg) 1180
乗車定員 4人
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1998
最高出力 162kW(220ps)/8000rpm
最大トルク 206N・m(21.0kg-m)/7000rpm
車両本体価格 259万円
写真:渡邉英昭 文:伏木悦郎