ミニミニバン? いえスモールカーの新たな基準となる一台

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コンセプト

すべてに本気がみなぎるオールブランニュー

スモールカーの最善を期してすべてを白紙の状態に戻し、ゼロスタートでその理想像の再構築を図る。ホンダのブランニュースモールであるフィットは、一見したところ近頃はやりのミニバンルックの最小形にしか見えないのかもしれない。しかし、ボディワークやパワートレイン、シートアレンジに象徴される機能性などをつぶさに見ていくと、そこに注がれたエネルギーの密度の濃さに圧倒される。

スタイリング、パッケージング、ハンドリングという商品性を左右するテーマに加え、資源、環境、安全といった現在問われている重点課題にも積極的に取り組んでいる。21世紀のMM(マンマキシマム・メカミニマム)思想が目指すのは、パーソナルMAXというコンセプトの具現化だ。
室内&荷室空間

ボディサイズを忘れるゆとりの室内空間

フィットのパッケージングは思わず平身抵頭の徹底ぶりで、顧客満足度を追求した結果としてある。まず限られた全長を最大限に生かすべくタイヤを四隅に配置。次に軽量コンパクトで中低速の実用トルクが厚く、燃費排ガス性能に優れたi-DSLエンジンとホンダマルチマチックの組合せによって、キャビンスペースの絶対量を確保。スペース効率の追求は、さらに燃料タンクを前席の直下に置くセンタータンク、フロントストラットやリアH型ビームのド・ディオン式の採用によってと、徹底的にこだわって進められている。

1550㎜以下のタワーパーキングを意識しつつ最大効率を狙った室内の雰囲気は完全にスモールカーの域を脱している。シートアレンジは感動ものだ。
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ドライブフィール

長距離もOKだが真価は普通の走りにある

クラスを意識させない骨太な乗り味。フィットは、スモールカーの常識を完全に打ち破るカッチリした仕立てでまとめ上げられている。とくに法定速度内での静かでスムーズな乗り心地は、兄貴分のシビックを越えてアコードクラスに迫る。エンジン回転数で言うと、高速走行で3000回転を指す120km/hあたりが、快適性を分ける分水嶺となりそうだ。それ以上の高回転域とのギャップは思いのほか大きい。唯一気になる点だ。

今回は旭川から札幌、函館、青函ルートで青森、仙台を経由して箱根まで約1400kmを走破したが、スモールカーらしからぬ安心感の高い走りに終始していた。基本的に平均100km/h走行を要求するわたしの旅行モードにも、十分対応してくれたといえる。
こんな人にオススメ
注目の燃費は、全行程平均で14・5km/L。CMでアピールする23km/Lはどうした?そんな声が聞こえてきそうだが、これはアベ100km/hでのデータ。実用トルクを重視したエンジンとCVTの組合せを考えれば、悪くない結果。スモールカーを求めるすべての人に勧められる一台。
SPECIFICATIONS
グレード 1.3 A
駆動方式 FF
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3830 x 1675 x 1525
ホイールベース(mm) 2450
車両重量(kg) 990
乗車定員 5人
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1339
最高出力 63kW(86ps)/5700rpm
最大トルク 119N・m(12.1kg-m)/2800rpm
車両本体価格 114.5万円
写真:芳賀元昌 文:伏木悦郎