イマドキ、2ドアクーペのスポーツモデル、しかもサーキットで楽しい仕掛けがいっぱい、さらには大排気量自然吸気エンジン付き、と聞けば、オーナーの我儘以外の何物でもないだろう。最近の欧州スポーツカーがトルクフルで単に速いだけになってしまったとお嘆きのあなたに、ぜひ イマドキ、2ドアクーペのスポーツモデル、しかもサーキットで楽しい仕掛けがいっぱい、さらには大排気量自然吸気エンジン付き、と聞けば、オーナーの我儘以外の何物でもないだろう。最近の欧州スポーツカーがトルクフルで単に速いだけになってしまったとお嘆きのあなたに、ぜひ

どうやらようやくドイツプレミアムに追いついた!?

今ごろになって、欧州Dセグメント相当のクーペモデルで勝負しようだなんて、レクサスは本気か狂気か、乗る前には判断もつきかねた。

確かに、格好はいい。いいのだけれど、少なくとも日本じゃこのスタイル、はっきり言って絶滅危惧種。車の格好いいの基準が変わってしまった今、このカタチを見て反応できる若い世代がいったいどれだけいるというのか…。

RCのスポーティバージョン、Fスポーツ。大きく張り出したフェンダーフレアが特徴的 RCのスポーティバージョン、Fスポーツ。大きく張り出したフェンダーフレアが特徴的
RC Fには専用のステアリングやハイバックシートを装着。エンジン音の聞こえ方をシャープにするASCも備わった RC Fには専用のステアリングやハイバックシートを装着。エンジン音の聞こえ方をシャープにするASCも備わった

しかし、そのライドフィール、ドライブテイストは、そんな危惧を吹き飛ばすに十分なフィニッシュレベルに達していた。

ドイツプレミアムのスポーツブランド系と肩を並べる乗り味と、場合によっては超越する官能性を手に入れていたのだから(もっとも、それすら古い! とドイツ方面から言われそうだが)。

RC350 Fスポーツもかなりのレベルに達していたけれど、やっぱりRC Fが凄かった。パワーアップした5L V8は、トルクの盛り上げをあえて高回転域寄りにチューンすることで、今となっては貴重な高回転型NAフィールを実現。ロックアップの利いたATと相まって、回して楽しめるという点が手放しでうれしい。ことによると、最新のBMW M4よりエモーショナルかも。乗り心地は全域で良好。弾力をしっかりと保ったまま、フラットな塊感をもって、路面の凸凹や継ぎ目をリズミカルにこなしていく。がっしりと固められたライドフィールがベースモデルとはハッキリ異なっている。

サーキットでは面白いように曲がる。FR車として、世界で初めてトルクベクタリングデフを採用したからだ。豪快なエグゾーストノートと鋭敏なハンドリングが“F”の美点だ。

レクサスで最もパワフルなRC FのV8。後輪左右の駆動力を最適配分するTVRもオプションで装着 レクサスで最もパワフルなRC FのV8。後輪左右の駆動力を最適配分するTVRもオプションで装着

【SPECIFICATIONS】
■グレード:RC F ■乗車定員:4名
■エンジン種類:V8DOHC ■総排気量:4969cc
■最高出力:477/7100[ps/rpm] ■最大トルク:530/4800-5600[N・m/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:8AT
■全長×全幅×全高:4705×1850×1390(mm) ■ホイールベース:2730mm

text/西川淳 photo/トヨタ自動車