ボルボXC60 T5|ニューモデル試乗

デンソーのエンジニアがプレゼンで述べた「世界No.1エンジンを目指した」が印象的だった。エンジンスペックはライバル視するBMW 328iに比肩し、ボルボ初のエコカー減税100%対象になった。499万円(T5)、選ぶ際、これくらいのワガママはいいんじゃない?

スウェーデンとニッポンの素敵なコラボ

新パワートレインを支える日本勢

4気筒エンジンにありがちなザラつきがない。またDCTからATへの変更がその滑らかさをより一層引き立てている。

このモデル最大のポイントは、約6年もの歳月をかけて開発された新パワートレインDrive-Eだ。フォードグループ時代のT5エンジンを、独自の2L4気筒直噴ターボに置き換えた。それに新型の8速ATを組み合わせ、従来比+5ps&30N・m、燃費は23%も向上している。

実はこれらを支えているのが、エンジン制御のデンソー、ミッションのアイシン、という日本勢。

エコプラスモードは“日本的おもてなし”

従来モデルでも動力性能に不満があったわけではないが、より力強く、低速からすっと動き出す。従来の6速ATをベースに上下にワイドレンジ化された8速ATは、意識しなければ何速で走っているのかわからないほどきめ細かく変速を繰り返す。

2014年モデルから備わったパドルシフトを駆使して、パパパンとシフトダウンを試みると、意外にダイレクト感があってスポーツ走行も楽しめる。

またこのモデルからエコプラスモードが備わった。センターコンソールのスイッチを押すと、エアコンに始まり、出力、変速を制御、さらにスタートストップシステムは7km/h以下で作動し、6km/h以上で走行中にアクセルを抜くとコースティングする。涙ぐましいほどの努力、日本的おもてなしのようだ。

このモードでも想像していたようなパワー不足は感じない。アイドルストップしてから復帰への制御に関しても進化を感じた。

いま自動車界はイタリア+ドイツのコラボが強いと言われるが、スウェーデン+日本も、大いにありだと思う。

昨年、新しくなったエクステリアデザインを踏襲している。ルーフレールのカラーはT5がブラック、それ以外はシルバーと違いがある

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エレガンス/エコ/パフォーマンスで表示を替えるメーターまわりや黒を基調としたカラーリングなど、インテリアも変わらない

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ガソリン直噴エンジンとしてクラストップの燃圧を誇るインジェクターや高性能ターボなど、各部の効率化を追求している

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SPECIFICATIONS

グレード T5
駆動方式 FF
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 4645×1890×1715
ホイールベース(mm) 2775
車両重量(kg) 1770
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1968
最高出力[ps/rpm] 245/5500
最大トルク[N・m/rpm] 350/1500-4800
車両本体価格(万円) 499
Tester/藤野太一 Photo/向後一宏