ボルボ S60/V60 T5 R-DESIGN (藤野太一)【ニューモデル試乗】
カテゴリー: ボルボの試乗レポート
タグ: ステーションワゴン
2014/04/08
V60 T5のJC08モード燃費は14.4km/L。実はこれT4の13.6 km/Lをも上回る数値だ。その上T5は、平成27年度燃費基準+10%達成というわけで補助金もあり、T4との価格差はわずか。どちらを選ぶかはあなた次第
進化する“パワートレイン”のダウンサイジング
ボルボの新パワートレイン「Drive-E」
2014年のキーワードは“パワートレイン”。そもそもはエンジンやトランスミッションなど一連の動力伝達機構を意味する言葉だが、これまでのエンジン排気量を小さくするダウンサイジングコンセプトをよりトータルで進化させたものといえる。
いま、各社で取り組みが進められており、例えばマツダのスカイアクティブもこの戦略のひとつだ。ちなみに今シーズンのF1でもエンジンの代わりに、パワートレインという用語が使われている。
「Drive-E」と呼ばれるボルボの新パワートレインは、新開発の直列4気筒2リッター直噴ターボのT5エンジンに、8速ATを組み合わせている。エンジンマネージメントはデンソー、ミッションはアイシンと日本のサプライヤーを採用。ガソリン直噴としてはトップレベルの高燃圧燃料噴射システムなどにより、世界最高レベルの出力と環境性能を両立する。245ps/350Nmという数値は偶然にもBMW328iと同じなのだという。効率を突き詰めたらこうなったというが、なかなか興味深い。
先だってXC60でお披露目された「Drive-E」だが、続いてS60/V60シリーズにも搭載されたというわけだ。これによりS60/V60シリーズは、既存の1.6リッター直4直噴ターボエンジンとDCTを組みあわあせたT4、3リッター直6ターボ+6ATのT6の、そのあいだに位置するT5をラインナップに加えたことになる。さらにボルボによると将来的にはT6も2リッターにダウンサイジング、またハイブリッドの導入も予定しているという。
想像以上にパワフルなエンジン
鮮やかなパワーブルーのV60 T5 R-DESIGNを試乗する。昨年8月にビックマイナーチェンジが施された外観は、以前の角張ったところがより洗練されたとてもクリーンな印象だ。インテリアもデザインと快適性をバランスさせる工夫が随所になされている。あまり知られていないようだが、ステアリングスイッチを使えば、走行中であってもナビゲーションの操作が可能な点などは実用面ではとても便利だ。
エンジンは想像していた以上にパワフル。シフトを左に倒してスポーツモードを選択すれば、箱根ターンパイクの急な坂もものともせず駆け上がる。本当に最新の2リッターは速い。8速のATも従来の6速ATをベースに上下にワイドレンジ化し、6速で直結するギア比となっており、パドルシフトを駆使して小気味の良い走行が可能だ。
またこのモデルからエコプラスモードが備わった。センターコンソールのスイッチをおすと、エアコンにはじまり、出力、変速を制御し、省燃費走行へと切り替わる。スタートストップシステムは速度7km/h以下で作動し、65km/h以上で走行中にアクセルを抜くとコースティング(惰性走行)する。ただし、エコモードといっても十分なトルク感があり非力な感じはない。
またボルボが先鞭をつけた衝突回避ブレーキシティセーフティはもちろん標準で、ACCなどの安全技術の数々はセーフティパッケージとして20万円のオプションで用意される。ここで注目なのが、このS60/V60 T5シリーズは、パワーステアリングが油圧から電動式に変更されている点。これにより燃費の向上をはじめ、車線逸脱を防ぐLKA(レーン・キーピング・エイド)や、縦列駐車支援システムも装備できるようになった。
ボルボでは大半の顧客がこれらの安全装備を選択するという。これからの車は高性能、高効率、そして安全の3本柱が重要なのだ。
SPECIFICATIONS
グレード | S60 T5 R-DESIGN | V60 T5 R-DESIGN |
駆動方式 | FF | |
トランスミッション | 8AT | |
全長×全幅×全高(mm) | 4635×1865×1480 | |
ホイールベース(mm) | 2775 | |
車両重量(kg) | 1600 | 1660 |
乗車定員(人) | 5 | |
エンジン種類 | 直4DOHCターボ | |
総排気量(cc) | 1968 | |
最高出力[ps/rpm] | 245/5500 | |
最大トルク[N・m/rpm] | 350/1500-4800 | |
車両本体価格(万円) | 502.9714 | 523.5428 |