アストンマーティン ラピードS|海外試乗

アストンマーティンの4ドアにわざわざ乗らなくても…。なんて、否定的に考えていたがコロリと強力なファンに転向してしまった。「全員がスピード狂」な家族にもってこい。ふだん使いにスポーツカーを、という方にも最高である

世界で唯一の4ドアリアルスポーツカー

コロリと賛成派に転向

なにもアストンマーティンの4ドアにわざわざ乗らなくても…。なんて、否定的な見解をもつ方も、きっといらっしゃるだろう。何を隠そう、ボクもそのうちの一人、だった。アストンといえば旧型ヴァンキッシュの筋骨隆々な美しさと、V8&V12ヴァンテージの端正な美しさに尽きる、とさえ思っていて、ラピードはおろか、そのベースとなったDB9までも、ややもすると中途半端に思えたもの。ラピードは理解はできるが十分納得できない車であった。これまでは…。

ジュネーブで登場したばかりのラピードSを駆って、スペインはカタローニャの峠道を思う存分走ってみた結果、コロリと賛成派、しかも強力なファン、に転向だ。

それほどまでに新型ラピードSは、「ファン」に仕上がっていたのだった。

注目すべきはグリルだけじゃない

注目すべきはでかいグリルだけじゃない。その奥にしまわれた新型AM11エンジンで、旧型ラピードより19mmも低く搭載されている。だから、ステアリングホイールから前の動きが絶妙にシャープで、ノーズの動きも落ち着いており、自信をもって峠道を攻め込めたというわけ。

もちろん、大幅にアップしたエンジンパワーも利いていて、特に低回転域のレスポンスと高回転域のパワー感が良くなったことで、エンスーなドライビングファンがいっそう増した。

もちろん、2ドアクーペのほうが家族に対してわがままな選択だろう。けれども、これを4ドアセダンだと家族に偽って買っちゃうほうがもっとわがままだ。なぜならコイツは、世界でも他に類を見ない4ドアのリアルスポーツカーなのだから。

実質的なマイナーチェンジ版となるラピードS。アルミ製の大きなグリルが特徴的

実質的なマイナーチェンジ版となるラピードS。アルミ製の大きなグリルが特徴的

他モデル同様、センター部にクリスタルのキーを差し込むエンジンスタートボタンが配される

他モデル同様、センター部にクリスタルのキーを差し込むエンジンスタートボタンが配される

エンジン搭載位置を従来より19mm下げ、さらに低重心に。同時にフードとの空間を広げることで、衝突時の歩行者頭部保護にも貢献する

エンジン搭載位置を従来より19mm下げ、さらに低重心に。同時にフードとの空間を広げることで、衝突時の歩行者頭部保護にも貢献する

SPECIFICATIONS

グレード RAPIDE S
駆動方式 FR
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 5020×2104(with MIRRORS)×1350
ホイールベース(mm) 2989
車両重量(kg) 1990
乗車定員(人) 4
エンジン種類 V12DOHC
総排気量(cc) 5935
最高出力[ps/rpm] 558/6750
最大トルク[N・m/rpm] 620/5500
Tester/西川淳 Photo/アストンマーティン アジアパシフィック