品あるボディの中身は、レースカーの血を引くV12エンジン

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コンセプト

高級で高性能な英国のスーパーカー

アストンマーチンは1914年に創設されたイギリスのスポーツカーメーカーで、その歴史には“波乱万丈”という言葉がピッタリくる。

ル・マン24時間で総合優勝するなど名声も得たが、経営不振で倒産したり経営者が変わったことも何度かある。最近はフォード傘下に入り、ジャガーとともにプレミアムオートモーティブグループ(PAG)を形成、発表するモデルは常に高級で高性能なスーパーカーだ。現在のラインナップはこれまでのデザインを踏襲したDB7ヴァンテージと、より大柄で革新的なV12ヴァンキッシュの2モデル。いずれも6LのV12エンジンを積み、車両価格も1500万円を超える。

DB7の発表は1993年。ヴァンテージとは最強モデルを指す名称だ。ボディタイプはクーペとコンバーチブルの2種類が用意されている。
室内&荷室空間

上品な色調が特徴。ドラポジは比較的良好

ヴォランテとはコンバーチブルモデルのことを指す。その幌は電動でワンモーションだが、2カ所あるフックは手で外すというもの。幌自体はリアトランクの上部に収納される。ドライビングポジションはやや高めだがシートの調整幅が大きく、この手のスーパーモデルとしてはしっくりとくるポジションがとれる。このおかげで全長4.7m、全幅1.8mというボディサイズもつかみやすい。

リアシートはレッグスペースが狭く背もたれが垂直に立っているので、正直人が座るのには適さない。イギリスでは、いわば愛犬用シートなのだろう。もちろん、シートベルトは3点式が装着されているが。内装はアイボリーとブリティッシュグリーンの組み合わせで、上品な色調だった。木目が使われていない点にも新しい時代を感じさせる。
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ドライブフィール

速くスムーズに走れるMTモード付き5AT

V12エンジンは420ps、54.5kg-mという途方もないスペックをもつ。さらにメーカー発表の動力性能は、スタートから100km/hまで5秒以内、ATでも最高速は266km/hという。確かにV12エンジンの吹け上がり音は上品ではなく豪快で、かつてル・マンで活躍したスポーツカーの血筋を受け継ぐもの、という感じだ。ミッションは6MTと5AT、そして今回試乗したタッチトロニックというマニュアルシフトモード付きの5ATが用意される。

このタッチトロニックだがDレンジホールドでもあり余るトルクがアクセルの動きにただちに反応し、マニュアルモードを使う気にならないほどに速く、スムーズに走ることができた。ただしコーナリングはあまり得意でない。オープンにして攻めると、リア足回りの動きが少しギクシャクしていた。
こんな人にオススメ
ヴォランテの車両価格は1675万円。同価格帯の車となると、BMW Z8が1660万円、AMG CL55が1700万円、ポルシェ911ターボが1680万円、フェラーリモデナが1645万円だった。僕ならこの中から、品の良いアストンマーチンを選ぶ。この品の良さがわかる人にこそ勧めたい。
SPECIFICATIONS
グレード ヴァンテージ
駆動方式 FR
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4700×1830×1270
ホイールベース(mm) 2590
車両重量(kg) 1920
乗車定員 4人
エンジン種類 V型12気筒DOHC
総排気量(cc) 5935
最高出力 309kW(420ps)/ 6000rpm
最大トルク 542N・m(54.5kg-m)/5000rpm
車両本体価格 1675.0万円
写真:芳賀元昌 文:石川真禧照