ルノー ルーテシア ルノー・スポール|ニューモデル試乗

ルノーの新たなデザイン戦略がフルに打ち出されたエクステリアはなかなかアグレッシブなもの。サウンドパイプという吸気音を室内に取り込む演出もうまい。5ドアでATで、日常も我慢する必要はない。はじめての車というだけじゃなく、もう一度車を楽しみたいという人にも

あえて、今はじめての1台と言われたら

より門戸が開かれた

駐車場に車を停めて思わず腕組みして考えてしまった。しみじみいい。

新型はもしかすると、マニア受けする要素は減ったように思えるかもしれない。3ドアの設定はなくなり、5ドアになったこと。MTがなくなり、デュアルクラッチの6速EDCになったこと、レスポンスが売りの2LのNAがいまどきの1.6L直噴ターボになったこと…。しかし、それはより門戸が開かれたということだ。

ルノーが売りにしているシャシーには「スポール」と「カップ」の2種類が用意される。ざっと言えば前者は17インチタイヤを履き、後者は18インチで、サスペンションはそれぞれに合わせてチューニングされている。先代までは日本にはいずれかのみが導入されてきたが、この新型では選べるようになった。

ディーラーはぜひ試乗車を2台揃えてほしい

カップの素直なハンドリングと乗り心地の良さに驚いた。バンプストップラバーの代わりに、セカンダリーダンパーを内蔵する“ダンパーインダンパー”のようなものと説明されたが、フロントサスに採用されたHCCが、いい仕事をしている。スポールはよりしなやかにロールを許す。でも、これまでのようにサーキット派はカップで、街乗り派はスポール、みたいな単純は選択は難しい。申し訳ないが、ディーラーはぜひ試乗車を2台揃えてほしいと思うくらいだ。

その昔、それまで車はトヨタしか知らず、プジョー106に乗って天啓を受け、そのままフランス車街道をまっしぐらに進んだ先輩を思い出した。この車で輸入車生活をはじめたら、きっとその後の価値観は大きく変わると思う。

カップはスポールより車高が3㎜低められ、スプリングレートは前27%、後20%高められている。タイヤはスポールが17インチ、カップが18インチとなる

カップはスポールより車高が3㎜低められ、スプリングレートは前27%、後20%高められている。タイヤはスポールが17インチ、カップが18インチとなる

ブラックを基調にシートベルトやフィニッシャーなどに差し色としてオレンジを配しスポーティさを演出。全ボディ色共通のインテリアカラーとなる

ブラックを基調にシートベルトやフィニッシャーなどに差し色としてオレンジを配しスポーティさを演出。全ボディ色共通のインテリアカラーとなる

カムシャフトタペットに摩擦による損失を低減する、F1由来のDLCコートを採用する。0→100km/h加速は旧型より0.2秒速い6.7秒

カムシャフトタペットに摩擦による損失を低減する、F1由来のDLCコートを採用する。0→100km/h加速は旧型より0.2秒速い6.7秒

SPECIFICATIONS

グレード CHASSIS CUP
駆動方式 FF
トランスミッション 6速DCT
全長×全幅×全高(mm) 4105×1750×1435
ホイールベース(mm) 2600
車両重量(kg) 1280
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1618
最高出力[ps/rpm] 200/6000
最大トルク[N・m/rpm] 240/1750
車両本体価格(万円) 309
Tester/藤野太一 Photo/向後一宏