▲SモデルにRSモデルとアウディのスポーツモデル戦略は実に巧み。標準モデルを軸にきちんと性格分けされている点もうまい。最近は販売の現場でもメルセデスやAMGと比較の遡上にあがることが多いというが、さもありなん。RSならその勢いは90%超かと ▲SモデルにRSモデルとアウディのスポーツモデル戦略は実に巧み。標準モデルを軸にきちんと性格分けされている点もうまい。最近は販売の現場でもメルセデスやAMGと比較の俎上に載せることが多いというが、さもありなん。RSならその勢いは90%超かと

洗練の塊。アウディらしさが凝縮されている

アウディにあって、メルセデスやBMWにないもの。それがこのセグメントの5ドアクーペ、A7/S7/RS7だ。ファストバックスタイルゆえCLSや6グランクーペとは明らかに雰囲気が異なる。1970年代のアウディ 100クーペSをルーツにもつというが、街で見かけたときに不思議と目にとまるデザインだ。

登場以来4年を経てマイナーチェンジが施された。外観上の最大の特徴は19個のLEDを組み合わせたマトリクスLEDヘッドライト、そしてリアのLEDランプには流れるように点灯するターンインジケーターが装備されたことだ。

まずA7に乗り込む。レザーやウッドパネルの選択肢が増え、洗練度が高まった。また後席は使い勝手向上のため従来の2座から3座仕様へと変更されている。3.0TFSIは23ps出力向上しながら燃費も良くなった。操作系も乗り味もすべてが滑らか。静粛性も高められているように感じた。

一方、S7は少々足を固めステアリングも重く、スポーティさが加味されている。しかし刺激的なわけではない。これがデフォルトの味付けだと言われても、何ら不満はない。

RS7は別物の佇まいをみせる。アウディは「RSモデルはアウディのスポーツモデルの開発生産部門である100%出資子会社「quattroGmbH」が手がける究極の高性能プレミアムスポーツです」とうたっているが、たとえアクセルを踏み込まなくとも560ps/700Nmを御する感覚は格別だ。ギアボックスは8段AT。ドイツ本国ではオプションのDRC(ダイナミック ライド コントロール)付きスポーツサスペンションを標準装備する。しかし、それでいてしなやかな乗り心地に驚かされる。まさに洗練の塊だ。

▲ベーシックモデルのA7。バンパーやテールパイプの形状を変更、リアコンビランプにもLEDを採用する ▲ベーシックモデルのA7。バンパーやテールパイプの形状を変更、リアコンビランプにもLEDを採用する
▲MMIも進化し、携帯回線で接続するアウディコネクトを導入。RS7の本革シートはハニカムパターンに ▲MMIも進化し、携帯回線で接続するアウディコネクトを導入。RS7の本革シートはハニカムパターンに
▲アイドリングストップなどに加え、V8エンジンには気筒休止システムを採用。RS7の0→100km/h加速は3.9秒 ▲アイドリングストップなどに加え、V8エンジンには気筒休止システムを採用。RS7の0→100km/h加速は3.9秒

【SPECIFICATIONS】
■グレード:RS7 SPORTBACK ■乗車定員:4名
■エンジン種類:V8DOHCターボ ■総排気量:3992cc
■最高出力:560/5700-6600[ps/rpm]
■最大トルク:700/1750-5500[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:8AT
■全長×全幅×全高:5010×1910×1425(mm) ■ホイールベース:2915mm
■車両重量:2050kg
■車両本体価格:1772万円(税込)

text/藤野太一 photo/河野敦樹