▲これみよがしにアピールするわけではなく、でも乗り手は最高の快楽に浸れるR8のあり方を支持する人は、きっと少なくないはず。先代と見分けのつかない外観は地味すぎるとも思うが、周囲を楽しませず歓び独り占めという意味では、究極の大人の我儘かも!? ▲これみよがしにアピールするわけではなく、でも乗り手は最高の快楽に浸れるR8のあり方を支持する人は、きっと少なくないはず。先代と見分けのつかない外観は地味すぎるとも思うが、周囲を楽しませず歓び独り占めという意味では、究極の大人の我儘かも!?

周囲を楽しませず歓び独り占め

先代ではガヤルドとの間に、実はパワートレインぐらいしか共通点はなかったアウディR8だが、新型ではウラカンと多くを共用している。アルミとCFRPを組み合わせたプラットフォーム=車体の基本部分は、共同で開発されたということだし、改良型の5.2L V10エンジンやギアボックス、電子制御式4WDシステムも、やはりハード的にはほぼ同じものだ。

では走りも似ているのか? まずビックリさせられるのがボディの剛性感の高さで、610psを誇る高性能版、V10 Plusのかなり硬めのサスペンションをもってしても、乗り心地に荒さを感じさせることはない。正直、先代R8はたくさんのライバルたちが出てくる中、ここが見劣りしつつあっただけに、この進化は大きい。

そして、この強靭なボディと新しい4WDシステムが織り成すハンドリングがもう絶品だった。ドライ路面に特化して、ESPもオフになる新設の“パフォーマンスモード”でサーキットを走らせたときには、盤石の安定感に支えられ、素晴らしいコントロール性を堪能した。4速で入る高速コーナーでのシビレるようなドリフト、タイトコーナーでのパワーオーバーステアなど、とにかく自在に操れて、決して破綻しないのだから恐れ入った。

V10エンジンの吹け上がり、リニアなレスポンスもサイコー。ターボ全盛の中、NAを貫いてくれた決断には、惜しみない賞讃を送りたい。

新型R8は、期待以上に楽しませてくれる車だった。見た目も走りもウラカンのように派手で主張が強いわけではないが、その分こちらは様々な場面で質の高い走りの魅力を堪能させてくれる。オーナーになれば、満足度は相当高いはず。良い意味でアウディにしか作れない、そしてアウディが作るべきスーパースポーツに、新型R8は仕上がっていたのだ。

▲ルミ製アウディスペースフレーム(AFS)も進化、CFRPとの複合により200kgに軽量化された ▲アルミ製アウディスペースフレーム(AFS)も進化、CFRPとの複合により200kgに軽量化された
▲"ドライブセレクトやスタート/ストップボタンなどを配したステアリングを採用。各種情報はメーター部の画面に表示される" ▲ドライブセレクトやスタート/ストップボタンなどを配したステアリングを採用。各種情報はメーター部の画面に表示される

【SPECIFICATIONS】
■グレード:5.2 FSI quattro ■乗車定員:2名
■エンジン種類:V10DOHC ■総排気量:5204cc
■最高出力:610/8250[ps/rpm]
■最大トルク:560/6500[n・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4426×1940×1240(mm) ■ホイールベース:2650mm
■車両重量:1454kg

text/島下泰久 photo/アウディ ジャパン