アウディ R8 (島下泰久)【ニューモデル試乗】
カテゴリー: アウディの試乗レポート
2013/06/03
見据えるライバルはポルシェ 911カレラ4など。見た目はこんなに「スーパーカー」しているけれど、実は日常性はさほど遜色ない。これを涼しい顔で普段使いできる、そんな気概のある人にゼヒ乗ってほしい
Sトロニックを得て快適性も走りも飛躍的に進化
Sトロニックへの変更だけでも評価大
全身にアウディならではのソソる技術が満載されたR8は、この手のスーパーカー的領域に片足を突っ込んだリアルスポーツカーの中では、もっとも高い洗練度とフレンドリーな使い勝手を持つ1台だ。
それだけに惜しかったのがRトロニックと呼ばれるシングルクラッチの2ペダルギアボックス。その滑らかさを欠く変速は、街中でもサーキットでも走りのリズムを阻害していたし、率直に言ってブランドの先進イメージにもそぐわなかった。新しくなったR8、変更箇所はあまり多くはないが、このRトロニックが、遂にデュアルクラッチのSトロニックに置き換えられたことだけを取っても、その価値はきわめて高い。
雨のサーキットでその恩恵をフルに享受
雨のサーキットでの試乗では、早速その恩恵をフルに享受することとなった。Rトロニックで旋回中に変速なんてしたら、きっと変速の度に挙動が乱れて、結構スリリングだったはずだ。一方、タウンスピードでも変速は格段に滑らかになったから、デートのときなど同乗者への気遣いがずいぶん少なくなるに違いない。
大きな変更はそれぐらいだが、雨の中でもV10の525psのパワーを持て余すことなく解き放てるシャシー性能の高さは、依然として圧巻だ。トリッキーだという印象の強かったV10でもそうなのだから、きっと見えない部分で熟成も進んでいるのだろう。あるいはV8ならば、より一層の一体感を味わえるのかもしれない。
ところで待望のSトロニックの採用の一方で、今まで設定のなかったV10の6速MT仕様が今回、同時に追加されていることもお伝えしておこう。R8は通勤にだって難なく使える高い日常性をもっているが、逆にハレの日のとっておきの1台とする人にとっては、この選択肢はアリかも。アウディジャパン、なかなかわかってくれているじゃないかと嬉しくなってしまったのだった。
SPECIFICATIONS
グレード | Spyder 5.2 FSI quattro | ||
駆動方式 | 4WD | ||
トランスミッション | 7DCT | ||
全長×全幅×全高(mm) | 4440×1905×1245 | ||
ホイールベース(mm) | 2650 | ||
車両重量(kg) | 1810 | ||
乗車定員(人) | 2 | ||
エンジン種類 | V10DOHC | ||
総排気量(cc) | 5204 | ||
最高出力[ps/rpm] | 525/8000 | ||
最大トルク[N・m/rpm] | 530/6500 | ||
車両本体価格(万円) | 2339 |
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