単なる“A1 5ドア”ではない

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3ドアではルーフアーチにボディと異なる色が選択できたが、5ドアではさらにルーフやスポイラーまで選べるコントラストルーフを用意
昨年、アウディのエントリーモデルとして登場したA1に新たな仲間として加わったのはA1スポーツバック。5ドア、そして5人乗りのA1である。とは言っても、単にドア枚数を増やしただけではない。居住性向上のためにルーフは後方に約80㎜延ばされており、リアウインドウの傾斜も緩められている。全高が6㎜増えているのはルーフ形状の違いによるものだが、全幅が5㎜広がっているのは、実はドアノブの位置が変わったためだ。

メカニズムは基本的にA1と同様。パワートレインは最高出力122psの1.4TFSIユニットと7速S-トロニックの組み合わせだ。スタートストップシステムやエネルギー回生システムも搭載される。

従来は3ドアだけだったA1。日本市場ではこのスポーツバック、まさに待望のモデルと言えるだろう。狙いは30〜40代の生活にこだわりを持つファミリー層だという。

生活の“質”を向上させるコンパクトカー

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6.5インチTFTディスプレイをダッシュボード上に配置。エンターテインメント機能などを統合制御するMMI3G Plusも標準とする
率直に言えば、スタイリングはやはり3ドアのほうがトンガっている。けれど直接見比べるのでもない限りは、こちらも存在感は十分以上である。後席は広々とまでは言えないが、このクルマを求める人には、多分大きな問題ではないだろう。それより注目は後席が3人掛けとされたこと。実はドア数以上に使い勝手に効くはずだ。

A1のデビューから1年半の間に熟成が進んだらしく、走りは全体にしっとりと上質感が増している。それでいてフットワークの小気味良さはそのまま。エンジンにも扱いやすさだけでなく回す楽しみがあって、街中でも軽快感を満喫できる。

ドアが増えたと言っても、実用性では容量自慢の日本のライバルには敵わない。けれどデザインで、走りで、生活の質を上げてくれるという意味では、これ以上のコンパクトカーはないのでは?日本のユーザーには、きっとウケるに違いない。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 1.4 TFSI
全長×全幅×全高(mm) 3970×1745×1440
車両重量(kg) 1220
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1389
最高出力[ps/rpm] 122/5000
最大トルク[Nm/rpm] 200/1500-4000
車両本体価格 293万円
Tester/島下泰久  Photo/向後一宏