アウディ A8【ニューモデル試乗】(大谷達也)
カテゴリー: アウディの試乗レポート
タグ: セダン
2014/05/29
デザインはシンプルでアクの強さはあまりないが、ラグジュアリーサルーンのなかからアウディというブランドを選ぶ行為は乗り手の個性を主張することに他ならない。安易に他人に迎合しない、自分らしさを大切にする都会派のあなたにぴったりなチョイスだ。
完成の域に近づいたバウハウス・デザイン
脈々と受け継がれているドイツ伝統のデザイン思想
シンプルだとかクオリティ感が高いとか、アウディデザインを説明する言葉はいくつか思いつくけれど、最近の彼らの作品を見ていると、どんどんバウハウスに近づいているような気がする。
バウハウスは1919年から14年間だけドイツに存在した美術や建築を専門に取り扱う教育機関。その機能美あふれるシンプルで力強いデザインは、現代の芸術家や建築家にも大きな影響を与えたとされる。
私は、最近までアウディのチーフデザイナーを務めていたヴォルフガング・エッガーに尋ねたことがあるが、彼もバウハウスの影響を受けていることをはっきり認めた。無駄を排し、それでいながら圧倒的な存在感を放つアウディのスタイリングには、実はドイツ伝統のデザイン思想が脈々と受け継がれていたのだ。
完成度のあくなき追求
ビッグマイナーチェンジを受けた新しいA8にも、バウハウスの影響はしっかりと見て取れる。最大の特徴は25個のLEDチップを駆使し、必要な箇所だけスポットライトのように照らし出すマトリクスLEDヘッドライトの採用だが、私はその機能よりも、シンプルで力強いその造形のほうに目を奪われてしまった。
走りも一層磨かれていた。ロードノイズが一段と抑えられたほか、従来型でわずかに残っていた乗り心地の“あいまいさ”が消し去られ、ダンピングの利いた安定感あふれる乗り味が楽しめる。エンジンも細かい改良を施して出力アップと燃費向上を同時に達成している。
完成度のあくなき追求。技術者たちのそんな姿勢にも、バウハウスの伝統は確実に受け継がれているようだ。
SPECIFICATIONS
グレード | 4.0 TFSI quattro | ||
駆動方式 | 4WD | ||
トランスミッション | 8AT | ||
全長×全幅×全高(mm) | 5145×1950×1465 | ||
ホイールベース(mm) | 2990 | ||
車両重量(kg) | 2040 | ||
乗車定員(人) | 5 | ||
エンジン種類 | V8DOHCターボ | ||
総排気量(cc) | 3992 | ||
最高出力[ps] | 435/5100-6000 | ||
最大トルク[N・m] | 600/1500-5000 | ||
車両本体価格(万円) | 1275 |