BMW 3シリーズグランツーリスモ|ニューモデル試乗

リアシートは3分割可倒式で、フラットにすれば荷室容量は1600Lにまで拡大。まさに大型SUVなみ。後席の広さは5シリーズにも匹敵する。後席重視で家族や親孝行するもよし、趣味で荷室をフル活用するもよし。走り好きSUV&ミニバン卒業組に

大きく新しくなっても不変なものがある

デザインがスタイルを“太って”見せない

「長く、軽く、低く、広く見せるために、どの面をとってもダイナミックで、ねじれている」。この3シリーズGTを担当した日本人デザイナーの永島譲二氏はBMWデザインの今をそう話していた。

実際にこのGTは3シリーズセダンに比べてホイールベースは110mm長く、背は70mm高い。後席は3シリーズとは思えない、足が組めるほどの広さで、荷室容量はツーリングより25Lも大きいのだから、数値上はもはやひとクラス上の、太った3シリーズを思わせる。

しかし、デザインがそうは見せない。単に3シリーズをリアハッチ化した車のように思うかもしれないが、実は外板はほとんど新設計。そして3シリーズが本来もつシャープさは失われていない。

ヒップポイントもやや高く、X1にも近いと聞いていたが、セダンから乗りかえても違和感はない。というよりも乗降性が高くなり、見晴らしも良くなった。

セダンよりマイルドな味付け

モデルは320i、328i、335iが用意されており、335iスポーツに乗る。ダウンサイジング加給器付きエンジンばかりが話題になり、いまどき直6かV6かなんて議論は誰もしないだろうが、乗ればこの3L直6エンジン、素直にいいなと思う。ただし700万円超とかなりいい価格になってしまうのだが・・・。

いまBMWはミニを含め、数々の派生モデルを生み出す商品戦略を取っている。そして、このGTはセダン、ツーリングとSUVの間を埋める役割を担い市場へ投入されたというわけだ。その体躯に合わせて乗り味はセダンよりもマイルドな味付けになっている。その名のとおりロングツーリングを楽しむのが向きだ。

しばらくステアリングを握りながらふと感じる。それでも変わらない何かがあり、BMWはBMWであるということ。それをあらためて考えさせられた。

フロントのホイールハウスに流れ込む空気をサイドに設けたエアダクトから放出するエア・ブリーザーを装備。スポーティーさと実用性を重ね備える

フロントのホイールハウスに流れ込む空気をサイドに設けたエアダクトから放出するエア・ブリーザーを装備。スポーティーさと実用性を重ね備える

フロントのシートポジションはセダンと比べて約60mm高くなった。リアシートは8~27度まで15段階でリクライニングできる

フロントのシートポジションはセダンと比べて約60mm高くなった。リアシートは8~27度まで15段階でリクライニングできる

ツインスクロールターボや直噴システム、バルブトロニックなどを備える2種類の2L直4ターボと306ps/400N・mの3L直6ターボを用意

ツインスクロールターボや直噴システム、バルブトロニックなどを備える2種類の2L直4ターボと306ps/400N・mの3L直6ターボを用意

SPECIFICATIONS

グレード 335i Gran Turismo Sport
駆動方式 2WD
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 4825×1830×1510
ホイールベース(mm) 2920
車両重量(kg) 1740
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直6DOHC
総排気量(cc) 2979
最高出力[ps/rpm] 306/5800
最大トルク[N・m/rpm] 400/1200-5000
車両本体価格(万円) 750
Tester/藤野太一 Photo/向後一宏