▲人気の高いSUVカデゴリーのティグアン。ディーゼル+4WDモデルが追加され、試乗する機会を得たのでその模様をレポートする ▲人気の高いSUVカデゴリーのティグアン。ディーゼル+4WDモデルが追加され、試乗する機会を得たのでその模様をレポートする

高トルク、低燃料費に加え、懸念していたトラクション性能も良くなるか

FFベースのプラットフォームを使ったフォルクスワーゲン ティグワン。先代は2008年に登場し、コンパクトSUVの中では作りの良さに度肝を抜いたことを覚えている。

そして、次世代を見据えて作った、新型プラットフォームのMQBをベースに、フォルクスワーゲンとして初めてのSUVモデルとして、2017年に日本に登場したのが2代目ティグワンである。

このクラスと価格からするとクオリティが高いことが特徴であるが、SUVでありながら4WDの日本導入がなかった。しかし今回、ティグワンにTDIと呼ばれるディーゼルモデルが導入されることによって4WDシステム4MOTIONが採用された。

今回の試乗会場は山中湖の湖畔である。フラットなところもあれば山間部も高速も試乗できる、オフロードを除いたポテンシャルを確かめられるエリアだ。

MQBというプラットフォームは剛性が高く様々な車種に適合できる。この優れた部分がクローズアップされ、乗用車モデルでは高いパフォーマンスを発揮していた。

一方、エンジン搭載位置が高くなってしまうティグアンは、DSGトランスミッションということもあり、2WDはトラクションが十分ではないと感じていた。

発売当初から4MOTIONを望んでいたので、待ちわびたという印象は否めない。今回よりトルクの大きい2Lディーゼル搭載ということもあったのではないかと思う。ようやく骨格にあったトラクション性能を得たのである。

トルクはガソリン車でいえば3.5Lであるが、カタログ上の燃費と市場の燃料費を考えるとパフォーマンスバリューは高い。

安定した走りを可能にする4MOTIONと力強い2Lディーエルエンジン

試乗したモデルはRラインという上級グレードで、装備は申し分ない。安全性能もメーカーは大きくはうたわないものの、人知れずアップデートしているので期待して乗り込む。

エンジンを始動するとEA288型は振動も気にならずに動き出す。パサートへこのEA288エンジンのパワーアップ版が搭載されているが、振動もエンジン音もティグアンよりも気になった。

つまりティグアンの方が静かということだ。アクセルを開けて静々と走り出すと、大きなトルクがゆったりとした扱いやすいフィールだ。

極端な立ち上がりもなく、トルクは申し分ないが出力の発生はいたって優しい。7速DSGのマナーも滑らかで踏み込んだキックダウン時も不愉快な要素がない。

▲19インチのホイール仕様でもゴツゴツ感もない。そしてとてもかっこいい。これは大切な事である ▲19インチのホイール仕様でもゴツゴツ感もない。そしてとてもかっこいい。これは大切なことである

気になっていたトラクションもさすがフルタイム4WDで、配分を上手にまかない安定感ある発進加速である。山間部も悠々と走ると、FFモデルとは比べられない安定感がある。

このパフォーマンスと品質の高さと、スタビリティも良くなって燃料費もハイオクに比べるとお得感ある軽油であるから、購買意欲も湧くというものであろう。

FFモデルよりも乗り心地がとても良くなっている。欧州の2Lディーゼルエンジンはいくつかあるが、もっともマイルドな雰囲気のエンジンと言える。

▲コストも考えた仕様なので噴射システムなどにも一層よくなる仕様も今後できるであろう ▲コストも考えた仕様なので噴射システムなどにも一層よくなる仕様も今後できるであろう

何はともあれ、本格的なSUVで、しかもパフォーマンスも優れたモデルの導入をひとつのキッカケとして、どんどん真面目で良質なモデルを輸入してほしい。

Photo:奥隅圭之
Photo:奥隅圭之
Photo:奥隅圭之
text/松本英雄
photo/奥隅圭之

【SPECIFICATIONS】※試乗車
■グレード:TDI 4モーション Rライン ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC+ターボ ■総排気量:1968cc
■最高出力:110(150)3500-4000 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:340(34.7)/1750-3000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7AT
■全長x全幅x全高:4500 x 1860 x 1675(mm) ■ホイールベース:2675mm
■ガソリン種類/容量:軽油/63(L)
■JC08モード燃費:17.2(㎞/L)
■車両価格:524万円~(税込)