【新型】日産 デイズ|ベーシックな軽ワゴンに上質さをプラス
2019/09/20
スズキ ワゴンR、ダイハツ ムーヴという軽自動車の定番モデル。
日産は、三菱と共同で軽自動車を開発した際に、まず定番カテゴリーである軽ワゴンに新型車を投入しました。それが初代デイズです。
免許取りたての人からファミリー、そして高齢者まで、多くの人に選ばれる軽ワゴンはビジネス用途も多くなります。
そのため、各社は装備が充実したグレードから価格にこだわったグレードまで、様々なタイプを用意しています。
そんな中、デイズは他社とは違うアプローチでグレードを展開。
それは2019年3月にフルモデルチェンジした2代目でより顕著に現れました。
そんな新型 日産 デイズをこの記事では紹介します。
【グレード】標準モデルとハイウェイスターに、ボレロを加えた3展開
新型デイズは、多くの軽自動車と同様にデザインが、標準モデルとカスタムモデルの2種類に分かれています。
カスタムモデルは「デイズハイウェイスター」という名称で、スポーティな雰囲気を強調しています。
さらに、グリルやライトのデザインを変更した女性向けのカスタマイズカー、ボレロもラインナップ。
標準モデルとボレロは自然吸気(NA)エンジン、ハイウェイスターにはNAとターボ搭載モデルを用意。それぞれ、前輪駆動(FF)と四輪駆動(4WD)が設定されています。
そしてハイウェイスターには、減速時の運動エネルギーで発電してリチウムイオンバッテリーに充電し、蓄えた電力でモーターを回してエンジンの補助動力とする、スマートシンプルハイブリッドが搭載されています。
▼新型デイズ(2WD)の価格表(消費税8%税込)
▼新型デイズ(4WD)の価格表(消費税8%税込)
【エクステリア】メッキを多用し、スポーティさと高級感を両立
新型デイズは標準モデル、ハイウェイスターともに、精悍な印象を強調して高級感を高めることで、ライバルモデルとの差別化を図っているのが見て取れます。
フロントフェイス中央には、日産のアイデンティティであるVモーショングリルを配置。
ハイウェイスターは、このVモーショングリルを大型化して存在感を強調しています。
ボディサイドには、エッジの効いたキャラクターラインを入れることでシャープな雰囲気に。
一般的にカスタム系は押し出しを強くし、軽自動車とは思えないような迫力を出す方向にデザインされていますが、デイズハイウェイスターはその路線とは一線を画し、スポーティな雰囲気を高めていることがわかります。
それを強調するのが、LEDを2段に配列したヘッドライトとクリスタルでしょう。
押し出しというよりも上質な雰囲気を漂わせることで、無駄をそぎ落としたアスリートのような印象が与えられているのがわかります。
デイズシリーズのデザインでもうひとつ注目したいのが、ツートーンカラーを含め全部で17バリエーションも用意されたボディカラー。
定番のパールやブラック、シルバーだけでなく、ソーダブルーやプレミアムサンシャインオレンジ、プレミアムオリーブなど、華やかなカラーも数多く設定されているので、車選びがより楽しくなりそうです。
【インテリア】新プラットフォームで先代より広さが増した室内
インテリアで目を引くのが、インパネ中央にある大きなモニター。新型デイズには、ディーラーオプションで9インチナビゲーションシステムが用意されています(軽初採用)。
これまではDINサイズの関係で7インチまでのナビしか入らず、また軽はインパネが狭いので、エアコンやシフトノブなどの操作性を悪くするため大型モニターをフローティングさせて配置するのが難しかったのです。
デイズはその問題をクリアし、軽でも大きなモニターで地図などを見ることができるように。モニター設置部は、周囲にピアノブラックの枠を付けることで高級感を高めています。
エアコン操作部は、先代でも好評だったタッチパネル式を採用。頻繁に使う温度調整は温度を上げるときと下げるときで異なる音を出すことで、運転中でも前方から目線をそらさずに操作状況を把握できるようにしています。
インテリアカラーは標準車がベージュ、ハイウェイスターがブラック基調にブルーを配色したエボニーと、ブラックとブラウンのコンビネーション、そしてボレロはオフホワイトとピンクのツートーンカラーになります。
新型デイズは、新しい軽自動車用のプラットフォームを採用。これにより室内の左右方向、前後方向ともにゆとりある空間が生まれました。
とくに後部座席のひざ回りは、先代より70mmも広い710mmというミニバン並みの広さを実現しています。
【運転支援システム】プロパイロットを軽初採用
日産が展開する高速道路での同一車線運転支援技術「プロパイロット」が、ハイウェイスター系の「プロパイロットエディション」に搭載されています。
プロパイロットは渋滞や長時間の巡航走行で、アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作を車がアシスト。先行車との車間距離を保ちながら追従走行を行います。
また、エアバッグが展開されるような事故に遭ったときに自動通報され、専門のオペレーターが警察や消防に連絡を取る「SOSコール」を全グレードオプション設定しています。
SOSコールは運転中に急病が発生したとき、あおり運転に遭ったときなどに自分でボタンを押してオペレーターに連絡を取ることもできます。
他にも「エマージェンシーブレーキ」や「踏み間違い衝突防止アシスト」、「車線逸脱警報」、「車線逸脱防止支援システム」、「ハイビームアシスト」を全グレード標準装備しています。
【価格】価格自体は上がったがお得度もアップ
新型デイズと先代同クラスのグレードの価格を比較すると、新型の方が2万円程度高くなっています。
先進安全装備が標準化され、ハイウェイスター系にはスマートシンプルハイブリッドも搭載されていることを考えれば、新型の価格はお得な印象を受けました。
また、共同開発された三菱 eKワゴンの価格は2WDでMが129万6000円、Gが137万7000円(いずれも消費税8%税込み)。
スタイルは大きく異なりますが、eKクロスの価格は2WDでMが141万4800円、Gが155万5200円、ターボモデルのTが163万6200円(いずれも消費税8%税込み)。
単純比較はできませんが、日産 デイズの方が数万円安く手に入る印象です。
【エンジン・燃費】街中での力強さに加え、高速道路での安定感がアップ
新型デイズのWLTCモード燃費は、NAのFFが21.2km/LでターボのFFが19.2km/Lになります。
NA、ターボともに新開発の660ccエンジンが搭載されました。
このエンジンは低速での力強さがあるため信号待ちからの発進などで、NAモデルでもストレスなく運転できるのが印象的。
軽自動車のメイン用途である街中での扱いやすさが高められているのは、すべてのユーザーにとって大きなメリットです。
そして今回、新型デイズには「プロパイロット」が搭載されました。
プロパイロットの使用シーンは高速道路です。
いまや軽自動車は普通車からのダウンサイジングを含め、家族のファーストカーとして多くの人が選んでいます。高速道路を使ってレジャーを楽しむ機会も多いでしょう。
プロパイロットは、高速道路を走る際の疲労を軽減してくれる先進装備ですが、新型デイズは街中だけでなく高速道路を走行する際の安定感の高さに驚かされました。
これは新型デイズから採用された新しいプラットフォームによる、剛性の高さと滑らかなサスペンションの動きが利いているから。
車線変更をするときも、スッと思いどおりに行うことができる。こういう基本性能が高められたからこそ、プロパイロットをオンにしたときもシステムが車両を制御しやすくなり、結果として安心して支援をゆだねることができるのだと思います。
さらに新型デイズではフロントシートに日産の高級車に多く採用される、「ゼログラビティシート」を初採用。
このシートは背もたれに中折れ式のパッドを使い、背もたれ全体で背中を支えられるようにしたものです。
これにより、体を自然にシートにゆだねられるようになりました。日産のデータによると、2時間連続走行した場合にゼログラビティシートは一般的なシートに比べて約30%も疲労が軽減されるといいます。
また、シートのクッション材に柔らかい素材を使うことで、ソファのような座り心地を実現。
NAでも力不足を感じることはほとんどありませんでしたが、高速道路を移動する機会が多いならターボモデルを選んだ方がいっそう快適な移動を楽しめるでしょう。
【中古車】プロパイロット付きは年末にかけて流通量が増えそう
2019年9月現在、新型デイズの中古車が約140台カーセンサーnetに掲載されています。
届出済み未使用車だけでなく、ディーラーの試乗車だったものが中古車として流通し始めているので、今後はさらに流通量が増えてくるでしょう。
流通量が多いのは標準モデルのXとS、そしてハイウェイスターXになります。
車両本体価格は、新車価格より10万~15万円ほど安くなっているものが多い印象。
プロパイロットが備わる届出済み未使用車の流通量は少なめ。
多くの人にプロパイロットの利便性を感じてもらうため、試乗車ではプロパイロットエディションが用意されるケースも多かったので、プロパイロットが欲しい人はそれらが市場に出てくるのをまめにチェックしてみることをオススメします。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
【関連リンク】
あわせて読みたい
- 【スズキ MRワゴンの中古車を買うなら】オススメの選び方や相場、グレードなどを徹底解説
- アウトドアブームの過熱を引き金に、規格外に車内が広い車の注目度が上がる!?
- 【総予算100万円!】格安90’sミニバンを自分仕様に仕上げて遊ぶ(後編)
- 先代BMW 3シリーズ(F30型)を買うなら、総額150万円以下が狙い目だ!
- 【トヨタ タンクの中古車を買うなら?】オススメの選び方や相場、グレードなどを徹底解説
- 現行型ヴォクシーの平均価格が200万円切り目前|迫力重視の「煌」も、燃費重視のハイブリッドも買い時到来
- 【総予算100万円!】格安90’sミニバンを自分仕様に仕上げて遊ぶ(前編)
- 2022年モデルのGT-Rニスモ、スペシャルエディションを投入
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- 【フェルディナント・ヤマグチ×編集長 時事放談】自動車業界と半導体について(前編)