スズキ スイフトスポーツ▲ダウンサイジングが主流の今、あえて"テンロク"を堪能してみませんか?

3代目スイフトスポーツは胸熱なテンロクスポーツ

90年代をピークに、コンパクトスポーツの心臓部として隆盛を極めた4気筒の1.6Lエンジン。ざっと振り返るだけでも、トヨタ AE86から採用が始まった4A-G型や、VTECを搭載してNAながらリッター100psを達成した、ホンダ B16A型とシビックタイプRに搭載された専用チューンのB16B。

打倒タイプRを目標にテンロクNA最強となる200psをマークした日産SR16VE型、MIVECを備えてジムカーナなどの競技で活躍した三菱 4G92型、ユーノスロードスターに採用されたマツダB6-ZE型など枚挙にいとまがありません。

当時、1.6Lエンジンが盛況だった理由には、1気筒当たりの排気量が400~500ccが理論上の適正値で効率が良い、という説もありますが、最も大きな理由としては、当時各車が参戦していたモータースポーツのレギュレーションが1.6Lまで、という排気量制限があったことが大きく影響していると思われます。

しかし、今ではそのレギュレーションも改められ、自動車税区分的にも不利となる(2Lクラスと同等額になってしまう)テンロクスポーツは絶滅危惧種となってしまいました。

とはいえ、皆さんの中には「テンロクスポーツ」という言葉に興奮を覚えてしまう人も少なからず存在することでしょう。ただ、AE86やシビックなどの代表車種は価格が軒並み高騰中……。

なので今回は、比較的安価に狙える最後の(?)テンロクスポーツ、3代目スズキ スイフトスポーツをご紹介します!
 

実はラリー参戦から生まれたモデル

スズキ スイフトスポーツ▲こちらが今回紹介する3代目スズキ スイフトスポーツです

2011年末に登場した3代目スイフトスポーツは、先代と同じく1.6LのM16A型エンジンを搭載しています。このエンジンは、当時スイフトが参戦していたジュニアWRCのレギュレーション(排気量1640cc未満の前輪駆動車)に沿ったものだったのです。

搭載されるテンロクエンジンは、先代より11psアップの136psを発生し、ギアも1段増えた6速MTと組み合わされ(CVT仕様も存在)、軽量化された1トンそこそこの車重と相まって、ホットハッチと呼べる仕上がりとなっていました。
 

スズキ スイフトスポーツ▲6900rpmで136psを発揮するM16A型エンジン
スズキ スイフトスポーツ▲内装も革巻きのステアリングはじめとしたスポーティな仕上がり
スズキ スイフトスポーツ▲240km/hまで刻まれたスピードメーターがポテンシャルの高さを物語ります

なお、スイフトスポーツのイメージカラーでもあるイエローは、当時のラリーカーがまとっていたカラーをイメージしたものであり、当のラリーカーはその速さから「イエローブリッド(黄色い弾丸)」という異名が付けられたほどだったのです。
 

そんな3代目スズキ スイフトスポーツはいくらくらい?

2011年から2016年にかけて製造・販売されていた3代目スイフトスポーツですが、まだ高年式ということもあって、スポーツモデルとしてもタマ数は豊富な部類。執筆時点では全国で246台がヒットしました。

この中でMTモデルは166台なので、市場の7割弱がMT車となる計算。このあたりはさすがスポーツモデルといったところでしょうか。

ですが、スポーツモデルでありながら、修復歴車が20台程度と少ないというのも3代目スイフトスポーツの特徴と言えるかもしれません。

比較的高年式の3代目スイフトスポーツではありますが、安いものでは総額60万円台から見つけることができ、80万円ほどの予算があれば、5~6万km台、100万円くらいあれば2万km台のものも狙えるといったところ。

逆に高年式低走行の個体は総額で150万円台と、新車価格が170万円ほどだったことを考えるとあまり旨味がない印象。

中にはターボ化などのハードなチューニングがなされた元デモカーのような個体もありますが、このあたりは上級者向けと言えるかもしれません。
 

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スズキ スイフトスポーツ(3代目)×全国

2代目スズキ スイフトスポーツも楽しめるテンロクスポーツ

スズキ スイフトスポーツ▲テンロクといえば2代目スイフトスポーツも忘れてはいけない存在。3代目よりニュートラルな顔つきが好みという方も多いはず

4気筒のテンロクスポーツで忘れてはならないのが、先代の2代目スイフトスポーツです。

3代目のベースとなったテンロクエンジンを搭載し。先述のとおり出力は劣るものの、125psを発生。最高出力を発揮する回転数は6800rpmと高回転志向なエンジンなので、十分スポーティな走りが楽しめます。

2代目スイフトスポーツもジュニアWRCの参戦を前提としたモデルなので、エンジンやサスペンションには専用品が採用されており、旧モデルといえども素性の良さは侮れません。

しかも、こちらだと走行5万km台のMT車でも総額50万円台~とグッとお手頃になります。

アフターパーツも豊富に揃っていますから、自分好みにカスタマイズしたい! という方には、車両代で抑えた分をカスタム費用に充てる。そんな選択もありだと思います。
 

スズキ スイフトスポーツ▲3代目と同様に赤いステッチを施されたステアリングを採用。シンプルな内装ですが、逆に無駄のない感じがスポーティです

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文/小鮒康一、写真/尾形和美
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。